猫の鼻の色
猫の鼻の色は含まれるメラニン色素の濃度により、おおよそ以下のような色調になります。
黒
黒は鼻の皮膚に含まれるメラニン色素が最も濃いときに出る色合いです。黒猫、鼻周りが黒い三毛(サビ)猫、鼻周りが黒い白黒猫などで多く見られます。またブルー系統のロシアンブルー、ブリティッシュショートヘアー、シャルトリューのほか、ポイントカラーで有名なシャム猫の鼻も黒くなります。
ピンク
ピンクは鼻の皮膚に含まれるメラニン色素が最も薄いときに出る色合いです。白猫、アルビノ猫、茶トラ(茶白)猫、鼻周りが白い白黒猫などで多く見られます。鼻周りが白い三毛猫でも見られますが、2色だけで白い被毛を持たないサビ猫ではピンクの鼻は見られません。
あずき
あずき色は鼻の皮膚に含まれるメラニン色素が中等度のときに出る色合いです。イエネコの祖先であるリビアヤマネコの鼻の色ですので、元々すべての猫が持っていたワイルドタイプ(突然変異なしの原型)はこの色だと考えられます。現代の猫では被毛パターンが最もヤマネコに近いサバトラで見られますが、部分的に白が入ったサバシロでも、鼻周りがサバ模様だったら鼻はあずき色になります。
まだら
まだらはピンクと黒が入り混じってアポロチョコのように見える模様のことです。三毛猫、白黒猫など複数の被毛色を有した猫で多く見られます。
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猫の鼻の感度
猫の嗅覚は、人間の1万~10万倍の感度を持っていると言われています。これは人間よりも1万倍強烈に臭いを感じるという意味ではなく、空気中に漂っている臭い物質の濃度(のうど)が、人間が感知できる最低濃度の1万分の1~10万分の1でも感知できるという意味です。
においを感知する嗅細胞が密集している嗅上皮(きゅうじょうひ)は、猫では20平方センチメートル(500円玉)程度です。人では2~4平方センチメートル(1円玉)、犬では150平方センチメートル(1000円札)程度ですので、犬よりは劣るものの、人よりははるかに嗅覚が優れているといえるでしょう。また、嗅上皮に接続する形で位置する神経線維の束、嗅球(きゅうきゅう)には、およそ6,700万個の細胞が含まれています。これは人間よりも約1,500万個多い数です。
犬は臭いで獲物の居場所を突き止めますが、猫は主として肉眼や鋭い聴覚によって獲物を発見して狩猟を行います。ですから猫は獲物を発見するために嗅覚を用いるというよりは、目の前の食べ物が食べることが出来るかどうかの最終確認や、縄張り確認の為に鼻を使うことが多いようです。例えば、冷蔵庫から出したばかりのエサをなかなか食べようとしないことがありますが、これはエサからおいしそうな匂いが出ていないため、食べ物として認識していないためだと考えられます。
なお猫の嗅覚は、以下に述べるようないくつかの特殊構造によって機能が高められています。
においを感知する嗅細胞が密集している嗅上皮(きゅうじょうひ)は、猫では20平方センチメートル(500円玉)程度です。人では2~4平方センチメートル(1円玉)、犬では150平方センチメートル(1000円札)程度ですので、犬よりは劣るものの、人よりははるかに嗅覚が優れているといえるでしょう。また、嗅上皮に接続する形で位置する神経線維の束、嗅球(きゅうきゅう)には、およそ6,700万個の細胞が含まれています。これは人間よりも約1,500万個多い数です。
犬は臭いで獲物の居場所を突き止めますが、猫は主として肉眼や鋭い聴覚によって獲物を発見して狩猟を行います。ですから猫は獲物を発見するために嗅覚を用いるというよりは、目の前の食べ物が食べることが出来るかどうかの最終確認や、縄張り確認の為に鼻を使うことが多いようです。例えば、冷蔵庫から出したばかりのエサをなかなか食べようとしないことがありますが、これはエサからおいしそうな匂いが出ていないため、食べ物として認識していないためだと考えられます。
なお猫の嗅覚は、以下に述べるようないくつかの特殊構造によって機能が高められています。
猫の嗅覚を高める構造
- 外鼻孔外鼻孔(がいびこう)とはいわゆる「鼻の穴」のことです。人間を含めた哺乳類の大部分は円形~楕円形の外鼻孔を持っていますが、犬や猫の場合は穴の横に切れ目が入っています。鼻の上に付着している上唇挙筋(じょうしんきょきん)といった小さな筋肉を収縮させると鼻がヒクヒクと開閉し、正面からだけでなくサイドからも空気を取り込むことができるという仕組みです。
- 上唇溝上唇溝(じょうしんこう)とは鼻の中央から口にかけて見られる一直線の溝のことです。毛管作用によって常に水分を蓄えており、におい分子を吸着するのに役立っています。ちなみに人間では「人中」(にんちゅう)と呼ばれる鼻の下の溝に相当しますが、こちらは何のために存在するのかいまだにわかっていません。おそらく単なる痕跡だろうと考えられています。
- 鼻鏡鼻鏡(びきょう)とは鼻の表面にある細かい溝のことです。溝の中は外側鼻腺(がいそくびせん)からの分泌液や鼻涙管(びるいかん)を通じて流れてきた涙によって濡れており、におい分子を吸着するのに役立っています。また鼻の中に含まれる温度センサーは、気化熱の左右差を感知することで風向きを測定することができます。鼻の表面にある複雑な線のパターンは「鼻紋」(びもん)と呼ばれ、ちょうど人間の指紋同様、猫によってそれぞれ違います。2006年、猫の鼻紋を個体識別に利用しようとする試みが実際になされ、専用の特許技術も開発されましたが、あまり浸透しませんでした。
猫の臭腺と習性
猫は自分の体を地面や家具、はては飼い主の体に至るまで、ありとあらゆるものにこすり付ける習性があります。この理由は、猫が臭腺(しゅうせん)と呼ばれる臭いを出す器官をもっており、これが額の両側、唇の両側、顎の下、しっぽ、肉球、肛門の両側に存在しているからです。体をこすり付けて自分の臭いを対象に塗りつけることで、所有権や縄張りを主張しているものと考えられます。後から臭いをかいで自分の臭いを確認することが出来ると、安心するのでしょう。
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猫の臭腺
- あごの下あごの下には「下顎下腺」と呼ばれる腺組織があります。あごの下にできる黒いポツポツ、いわゆる「猫ニキビ」は腺組織から分泌された皮脂成分が毛穴に詰まったものです。こすると悪化しますので、原因や対処法は以下のページをご参照ください。
- 唇の両脇唇の両端には「口周囲腺」と呼ばれる腺組織があります。顔や指を近づけた時にこすりつけてくるのは信頼と親愛の証です。なおあごの下ほどではありませんが、口の端にも黒いポツポツ(猫ニキビ)ができることがあります。
- ひたいの横ひたいの横には「側頭腺」と呼ばれる腺組織があります。毛が薄くなってハゲのようにも見えますが、おそらく分泌成分をこすりつけやすくするために、毛がやや少なくなっているのでしょう。
- しっぽやその根元しっぽやその根元には「尾腺」と呼ばれる腺組織があります。足元にすり寄ってしっぽを巻きつけるようにするのは、匂いをつけて所有権を主張したいからでしょう。なおこの部位から皮脂成分が過剰に分泌されて発症するのが「スタッドテイル」(尾腺炎)です。
- 肛門肛門の近辺には「肛門腺」と呼ばれる腺組織があります。肛門内部のほか、肛門の両側についている肛門嚢の内部にも腺組織があり、排泄物の匂い付けに一役買っています。犬と同様、分泌液が溜まると肛門嚢炎を発症しますので要注意です。
- 指の間指の間には「指間腺」と呼ばれる腺組織があります。ここから分泌される成分は特に「Feline Interdigit Semiochemical」(FIS)と呼ばれ、爪とぎの上に塗りつけておくと、自発的な使用率が高まる可能性が示されています。詳しい解説は以下をご参照ください。
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猫のヤコブソン器官
猫は口蓋(こうがい)の奥にヤコブソン器官と呼ばれる特殊な器官をもっています。「鋤鼻器官」(じょびきかん)とも呼ばれるこの器官は、人間では退化してありませんが、主としてフェロモンと呼ばれる極めて微量な分子成分を感知する働きを持っています。
ヤコブソン器官から伸びる神経線維は、刺激に長時間さらされても機能が衰えないという特徴を持っています。これは刺激に対してすぐに慣れが生じ、「鼻がバカになってしまう」嗅神経とは大きく異なる点です。また、ヤコブソン器官で発生した電気信号を脳に送るまでの神経経路も、通常の匂いとは別ルートをたどります。
ヤコブソン器官から伸びる神経線維は、刺激に長時間さらされても機能が衰えないという特徴を持っています。これは刺激に対してすぐに慣れが生じ、「鼻がバカになってしまう」嗅神経とは大きく異なる点です。また、ヤコブソン器官で発生した電気信号を脳に送るまでの神経経路も、通常の匂いとは別ルートをたどります。
猫のフレーメン反応
オス猫のヤコブソン器官にフェロモン(動物種特有のメッセージを含んだ微量化学物質)が触れると、目の焦点がトロントなって口が半開きになります。これはフレーメン反応(またはフレーメン現象)と呼ばれる生理現象です。猫はこの奇妙な表情を作ることにより、切歯のすぐ裏にあるヤコブソン器官の開口部を広げ、受け取った化学物質を器官内へ運んでいると言われています。
ちなみにこのフレーメン反応は馬やライオンでも同様に見られます。唇をめくり上げる特徴的な動作からリップカール(lip curl)、あるいはゲイプ(gape)などと呼ばれるユニークな行動です。
猫のフレーメン反応
猫のフェイシャルフェロモン
猫が分泌するフェロモンの内、特に顔面部から出されるものをフェイシャルフェロモン(Feline Facial Pheromone, FFP)と呼びます。
2006年に行われた実験で、フェイシャルフェロモンは、慣れない環境に置かれた猫に対して鎮静効果を持つ可能性が示されました(:Kronen et al.)。当実験では、77匹の猫が「アセプロマジン(精神安定剤の一種)のみ処方」、「アセプロマジンとフェイシャルフェロモン」、「フェイシャルフェロモンのみ」、「何も処方しない」という4グループに分割され、ケージ内にいるときと静脈注射を受けているときの様子が、それぞれ観察されました。その結果、フェイシャルフェロモンを受けた猫は、何も処方されなかった猫に比べ、ややおとなしくなる傾向があったといいます。一方、静脈注射を受ける直前の「いやいや」を軽減する効果は見られなかったとも。このことから研究者たちは、フェイシャルフェロモンは見知らぬ環境におかれた猫を幾分か落ち着かせる作用を持つという事実を突き止めました。
また2015年に行われた調査では、ヤコブソン器官の慢性炎症が猫同士の攻撃性を誘発している可能性が示されています。研究者たちによると、ヤコブソン器官に炎症が発生するとフェロモンの感知能力が低下し、結果として猫同士のいがみあいにつながりやすくなるとのこと。私たち人間にはわかりませんが、猫たちの間ではフェロモンという微量分子を介したコミュニケーションが存在しているのかもしれません。 現在、フェイシャルフェロモンにはF1からF5までの5種類が確認されており、上記実験で用いられたのは、「F3」と呼ばれるフェロモンを人工的に精製したものです。フェロモンの詳細については以下。 The Behaviour of the domestic cat
2006年に行われた実験で、フェイシャルフェロモンは、慣れない環境に置かれた猫に対して鎮静効果を持つ可能性が示されました(:Kronen et al.)。当実験では、77匹の猫が「アセプロマジン(精神安定剤の一種)のみ処方」、「アセプロマジンとフェイシャルフェロモン」、「フェイシャルフェロモンのみ」、「何も処方しない」という4グループに分割され、ケージ内にいるときと静脈注射を受けているときの様子が、それぞれ観察されました。その結果、フェイシャルフェロモンを受けた猫は、何も処方されなかった猫に比べ、ややおとなしくなる傾向があったといいます。一方、静脈注射を受ける直前の「いやいや」を軽減する効果は見られなかったとも。このことから研究者たちは、フェイシャルフェロモンは見知らぬ環境におかれた猫を幾分か落ち着かせる作用を持つという事実を突き止めました。
また2015年に行われた調査では、ヤコブソン器官の慢性炎症が猫同士の攻撃性を誘発している可能性が示されています。研究者たちによると、ヤコブソン器官に炎症が発生するとフェロモンの感知能力が低下し、結果として猫同士のいがみあいにつながりやすくなるとのこと。私たち人間にはわかりませんが、猫たちの間ではフェロモンという微量分子を介したコミュニケーションが存在しているのかもしれません。 現在、フェイシャルフェロモンにはF1からF5までの5種類が確認されており、上記実験で用いられたのは、「F3」と呼ばれるフェロモンを人工的に精製したものです。フェロモンの詳細については以下。 The Behaviour of the domestic cat
猫のフェイシャルフェロモン5種
- F1成分は「オレイン酸/カプロン酸/トリメチルアミン-5-アミノ吉草酸/n-酪酸/α-メチル酪酸」で、使途は不明。
- F2成分は「オレイン酸/パルミチン酸/プロピオン酸/p-ハイドロキシフェニル酢酸」で、使途はオス猫のマーキング。
- F3成分は「オレイン酸/アゼライン酸/ピメリン酸/パルミチン酸」で、使途は木の枝や突起物など、一般的なマーキング。
- F4成分は「5β-コレスタン酸/オレイン酸/ピメリン酸/n-酪酸」で、使途はアロラビング。「アロマーキングフェロモン」とも呼ばれる。
- F5成分は「パルミチン酸/イソ酪酸/5-アミノ吉草酸/n-酪酸/α-メチル酪酸/p-ハイドロキシフェニル酢酸」で、使途は不明。
- フェリウェイ
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「フェリウェイ®」とは、猫の顔から分泌されるフェロモン「F3」を抽出し、商品化したものです。フェロモンとは動物の体内で生成され、ある一定の行動を促す作用を持った物質の事を指します。
スプレータイプやリキッドタイプがビルバックから発売されており、効果としては、点滴中の猫を落ち着かせる、顔のこすりつけやグルーミングを活発化する、食事に対する興味を増加させる、尿スプレーを減らす、などがあります。 フェリウェイ
猫と多幸感植物
猫の好きな植物が何種類か知られています。これらの植物に共通しているのは、ある特定の化学基を含んでいるということです。具体的には「7-メチルシクロペンタピラノン」、「7-メチル-2-ピリジン」、「4-メチルベンゾフラノン」の3つが特定されています。また、猫に影響を及ぼす具体的な植物名は以下です。これらの植物には、上記した化学基が含まれているものと推測されます。
キャットニップの活性成分は「シス-トランスネペタラクトン」という長ったらしい物質であり、猫のセンサーに掛かれば、10億分の1から100億分の1のという極めて低濃度でも感知できるといいます。
キャットニップへの反応性は、基本的に常染色体性の優性遺伝子によって遺伝するものです。ですから全ての猫が大好きというわけではなく、成猫の約半数はキャットニップに無反応とも言われています。また、2ヶ月未満の子猫、恐怖を感じている猫、ストレスを感じている猫では反応が薄くなるとも。
マタタビやキャットニップは安全な嗜好品として非常に多くの商品が出回っています。しかし「長期に渡る使用によって、周囲環境の一部を認識できない状態が慢性的に続くようになる」との逸話的な報告もありますので、頭の片隅には置いておきたいものです。
猫の行動に影響を及ぼす植物
- マタタビ
- キャットニップ(西洋マタタビ)
- カノコソウ
- キャットタイム
- 低木スイカズラ
- ミツガシワ
キャットニップの活性成分は「シス-トランスネペタラクトン」という長ったらしい物質であり、猫のセンサーに掛かれば、10億分の1から100億分の1のという極めて低濃度でも感知できるといいます。
キャットニップへの反応性は、基本的に常染色体性の優性遺伝子によって遺伝するものです。ですから全ての猫が大好きというわけではなく、成猫の約半数はキャットニップに無反応とも言われています。また、2ヶ月未満の子猫、恐怖を感じている猫、ストレスを感じている猫では反応が薄くなるとも。
マタタビやキャットニップは安全な嗜好品として非常に多くの商品が出回っています。しかし「長期に渡る使用によって、周囲環境の一部を認識できない状態が慢性的に続くようになる」との逸話的な報告もありますので、頭の片隅には置いておきたいものです。
- マタタビとキャットニップ
-
マタタビは、マタタビ科マタタビ属の落葉蔓性木本で、別名「夏梅」ともいいます。ネコ科の動物はマタタビの臭い(中性のマタタビラクトンおよび塩基性のアクチニジン)に強い反応を示すため「ネコにマタタビ」という言葉が生まれました。ネコ科であるライオン、ジャガー、ヒョウ、ユキヒョウにも有効ですが、なぜかトラにだけはあまり効きません。詳しくは猫とマタタビというページをご参照ください。
キャットニップ(西洋マタタビ, イヌハッカとも)は「猫が噛む草」(cat nip)という意味です。草の精油に含まれるネペタラクトンという物質が猫に対する作用を持っているといわれます。
猫の鼻の形
猫の鼻は口吻(こうふん, muzzle, snout)と呼ばれる部分の先っぽに付いています。この口吻部は人間による選択繁殖によって大きく形が歪められ、品種によって大きな違いが見られるようになりました。その結果、極端に鼻ぺちゃな短頭種の猫が生み出され、健康面においてさまざまな悪影響を及ぼしているようです。
短頭と神経障害
アメリカやオーストラリアの大学からなる共同研究チームは、マズルが短い短頭種の代表格であるペルシャと、ペルシャを基礎猫とし生み出された派生種(ブリティッシュショートヘア・スコティッシュフォールド・セルカークレックス)を対象とし、ペルシャの鼻ペチャを生み出している原因遺伝子を特定しようと試みました。
その結果、「CHL1」と「CNTN6」という2つの遺伝子が関わっている可能性が浮かび上がってきたといいます。これら2遺伝子はともに、人間において神経系疾患と関わりが深いとされているものでした。
短頭と呼吸困難
英国のプリマス大学とエジンバラ大学からなる共同チームは、中国、イギリス、その他の国に暮らす猫の飼い主から猫の顔写真を集め、眠っている時の息づかいとどのような関係性があるかを検証しました。
その結果、「鼻位置比率」と「マズル長比率」の値が低いほど「呼吸スコア」の値が高くなり、また「活動性の低下」、「涙やけ」の報告率も高まったと言います。つまり鼻ぺちゃであればあるほど呼吸が困難になるということです。
短頭と水頭症
短頭と歯並びの悪化
猫の鼻の腫瘍・できもの
猫の鼻に腫瘍やできものができると、形が変形したり呼吸音が変わったりすることがあります。
1997年から2001年の期間、イギリス・ブリストル大学付属の二次診療施設は、少なくとも3週間鼻の症状が継続した猫78頭を対象とした疫学調査を行いました。メス34頭、オス44頭、平均年齢は7.7歳(6ヶ月齢~19歳)、57頭は雑種という内訳です(:Henderson, 2004)。その結果、以下のような疾患比率が確認されたといいます(※合計77頭/A関連性=アクチノミセス関連性)。
悪性腫瘍の猫たち(平均10.3歳)はその他の病気を抱えた猫たち(平均5.6歳)、異物混入の猫たち(平均5.8歳)、および慢性鼻炎の猫たち(平均6.4歳)より明らかに年長という特徴を有していました。その他の特徴は以下です。右側の数字は「診断リスク」で、悪性腫瘍と診断される確率のことを意味しています。
リンパ腫の生存中央値(診断からの余命)は多剤化学療法を受けた場合で98日、受けない場合で28日、その他の悪性腫瘍の生存中央値は100日だったとのこと。日頃から呼吸音や鼻からの排出物をチェックしておくことが重要ですね。
NEXT:汚れの原因と取り方は?
1997年から2001年の期間、イギリス・ブリストル大学付属の二次診療施設は、少なくとも3週間鼻の症状が継続した猫78頭を対象とした疫学調査を行いました。メス34頭、オス44頭、平均年齢は7.7歳(6ヶ月齢~19歳)、57頭は雑種という内訳です(:Henderson, 2004)。その結果、以下のような疾患比率が確認されたといいます(※合計77頭/A関連性=アクチノミセス関連性)。
猫に多い鼻の疾患
診断が難しく専門性の高い二次診療施設に回される症例においては、悪性腫瘍の割合が最も高いようです。悪性腫瘍の猫たちにおける診断時の平均年齢は10.3歳、症状の継続期間は中央値で60日(28~570日)でした。さらに腫瘍の種類別ではリンパ腫21頭、腺腫4頭、癌腫2頭、扁平細胞腫1頭、肉腫1頭、線維肉腫1頭だったとのこと。悪性腫瘍の猫たち(平均10.3歳)はその他の病気を抱えた猫たち(平均5.6歳)、異物混入の猫たち(平均5.8歳)、および慢性鼻炎の猫たち(平均6.4歳)より明らかに年長という特徴を有していました。その他の特徴は以下です。右側の数字は「診断リスク」で、悪性腫瘍と診断される確率のことを意味しています。
鼻の悪性腫瘍・主症状
- 上気道の雑音→異物混入の23倍
- 呼吸困難→慢性鼻炎の9倍
- 片側性排出物→慢性鼻炎の2.7倍
- 排出物中の血液→慢性鼻炎の2.2倍
- 鼻甲介の崩壊→慢性鼻炎の1.5倍
- 鼻中隔の変形→慢性鼻炎の5倍
リンパ腫の生存中央値(診断からの余命)は多剤化学療法を受けた場合で98日、受けない場合で28日、その他の悪性腫瘍の生存中央値は100日だったとのこと。日頃から呼吸音や鼻からの排出物をチェックしておくことが重要ですね。
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猫の鼻の汚れと掃除
人間と同様、猫にも鼻水や鼻くそがあります。大きな特徴と言えば、色が茶色~黒いという点でしょう。猫の鼻の穴にこびりついている鼻くそのようなものが黒くなる原因は、中に含まれるポルフィリンと呼ばれる成分だと考えられます。
ポルフィリン(porphyrin)とは血色素の構成物質である「ヘム」の前駆物質で、血液や血液から生成される涙のほか唾液や尿などにも含まれる成分。猫の鼻水には外側鼻腺から分泌された体液のほか、鼻涙管を通って目から流れてきた涙の成分も含まれますので、このポルフィリンが酸素や日光に触れることで赤茶色に変色するのではないかと推測されます。要するに目頭に「涙やけ」ができるのと同じ理由ですね。
猫が鼻を触らせてくれる場合、ティッシュなどを使ってこすればすぐに剥がれ落ちます。乾いて固まっているような場合は、ウエットティッシュを使って少し湿らせてから取れば大丈夫でしょう。
「鼻の腫瘍・できもの」でも解説したとおり、片方の鼻の穴からだけ血液混じりの分泌物が出ているような場合は悪性腫瘍が疑われます。見つけた場合はなるべくはやく動物病院を受診しましょう。
ポルフィリン(porphyrin)とは血色素の構成物質である「ヘム」の前駆物質で、血液や血液から生成される涙のほか唾液や尿などにも含まれる成分。猫の鼻水には外側鼻腺から分泌された体液のほか、鼻涙管を通って目から流れてきた涙の成分も含まれますので、このポルフィリンが酸素や日光に触れることで赤茶色に変色するのではないかと推測されます。要するに目頭に「涙やけ」ができるのと同じ理由ですね。
猫が鼻を触らせてくれる場合、ティッシュなどを使ってこすればすぐに剥がれ落ちます。乾いて固まっているような場合は、ウエットティッシュを使って少し湿らせてから取れば大丈夫でしょう。
「鼻の腫瘍・できもの」でも解説したとおり、片方の鼻の穴からだけ血液混じりの分泌物が出ているような場合は悪性腫瘍が疑われます。見つけた場合はなるべくはやく動物病院を受診しましょう。