スコティッシュフォールドの基本情報
- 原産
スコットランド - 毛
短毛・長毛 - 体重
2.5~6キロ - タイプ
セミコビー
スコティッシュフォールドの歴史・ルーツ
スコティッシュフォールドの起源は、1961年にスコットランドの農場で生まれた、耳の折れ曲がった「スージー」という名の猫です。この猫が妊娠して子猫を生んだとき、その子猫もまた耳が折れていたといいます。猫好きだったご近所のロス夫妻は、「耳折れ」という特徴が遺伝的な要因であることに気づき、子猫の内の一匹をもらいうけました。夫妻は「スヌックス」(Snooks)と名づけたこの白いメス猫を元にして新たな品種を確立しようと試行錯誤し、最初はブリティッシュショートヘアと交配、のちに遺伝学者パット・ターナーの手でアメリカンショートヘアなどと交配を重ね、現在のスコティッシュフォールドの原型を作り上げました。当初は垂れ耳ウサギ(lop-eared rabbit)にちなんで「ラップ」と呼ばれていましたが、後に「折りたたまれた」という意味で「フォールド(fold)」という名称に変わっています。
ショートヘアーは1978年に、またロングヘアーは1980年半ば頃、CFAに承認されました。一方、「骨軟骨異形成の結果として生じた耳の形を、品種の標準として認めるわけにはいかない」との理由から、FIFeとGCCFではいまだに未公認です。さらに猫の福祉向上に勤める国際的なチャリティ団体「International Cat Care」(ICC)は、耳が折れたスコティッシュフォールドを繁殖することの残酷さを厳しい口調で非難しています。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
ショートヘアーは1978年に、またロングヘアーは1980年半ば頃、CFAに承認されました。一方、「骨軟骨異形成の結果として生じた耳の形を、品種の標準として認めるわけにはいかない」との理由から、FIFeとGCCFではいまだに未公認です。さらに猫の福祉向上に勤める国際的なチャリティ団体「International Cat Care」(ICC)は、耳が折れたスコティッシュフォールドを繁殖することの残酷さを厳しい口調で非難しています。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
スコティッシュフォールドの特徴・性格
スコティッシュフォールドの最大の特徴は、その折れ曲がった耳です。ゆるい1つの折り目(シングルフォールド)、ぴったりした折り目(ダブルフォールド)、三重の折り目(トリプルフォールド)があります。環境や体質によって、徐々に耳が立ってしまう個体もいるようです。
特徴的な面立ちは、しばしば「フクロウ」に例えられます。ボディは筋肉質でがっしりしたセミコビータイプ。短毛・長毛とも被毛は密生していて弾力があり、シルキーな手触りです。毛色は全色OKです。健康面では、多発嚢胞腎や筋ミオパチーを発症しやすいといわれており、耳折れ同士の交配では高確率で骨の形成異常を発症するとも言われています(→骨軟骨異形成)。
スコティッシュフォールドの性格は優しく温和で、愛嬌があります。甘えん坊なのでで、飼い主と遊んだりそばにいることが大好きです。
特徴的な面立ちは、しばしば「フクロウ」に例えられます。ボディは筋肉質でがっしりしたセミコビータイプ。短毛・長毛とも被毛は密生していて弾力があり、シルキーな手触りです。毛色は全色OKです。健康面では、多発嚢胞腎や筋ミオパチーを発症しやすいといわれており、耳折れ同士の交配では高確率で骨の形成異常を発症するとも言われています(→骨軟骨異形成)。
スコティッシュフォールドの性格は優しく温和で、愛嬌があります。甘えん坊なのでで、飼い主と遊んだりそばにいることが大好きです。
スコティッシュフォールドのお手入れ・注意点
スコティッシュフォールドのお手入れは、短毛種なら1日1回の軽いブラッシング、長毛種なら1日2回はしっかりとブラッシングしたいところです。また構造上、耳の中が不衛生になりがちですので、最低一週間に一度は耳のチェックとお手入れをしてあげましょう。
スコティッシュフォールドの動画
スコティッシュフォールドの病気
以下でご紹介するのは文献などで報告されているスコティッシュフォールドに発症しやすい病気のリストです。外国のデータも含まれるため日本の猫には当てはまらない場合もありますが、好発疾患の知識は飼い主にとって重要なため記載しておきます。なお病気に関する詳しい内容や元となっているデータは以下のページで解説しています。
骨軟骨異形成(骨瘤)
骨軟骨異形成(骨瘤)とは文字通り、骨や軟骨が正常に形成されず関節に痛みが発生して正常な運動能力が損なわれる病気。
骨軟骨異形成の症状
骨軟骨異形成の主な症状は、動きたがらない、歩き方がおかしい、高い場所にジャンプできない、高い場所から降りられない、関節を伸ばすと痛がる、しっぽの付け根が硬直するなどです。早ければ生後数週齢の頃から症状を見せ始めます。病気は進行性で、年齢を重ねるごとに手足の先端が変形して膨れ上がり、「骨瘤」と呼ばれる骨の塊が形成されていきます。
骨軟骨異形成の原因
2016年、アメリカとオーストラリアの共同研究チームがヨーロッパ、オーストラリア、アメリカから集められたスコティッシュフォールド44頭、スコティッシュショートヘアー(耳折れ個体の同腹仔で耳が折れてないもの)22頭、ブリティッシュショートヘア14頭、セルカークレックス13頭、ペルシア5頭を対象として大規模なDNA検査を行いました。その結果、細胞のカルシウム透過性イオンチャンネルに関わる「TRPV4」と呼ばれる遺伝子の「V342F」という部位が、どうやら骨や軟骨の異常に関わっているらしいことが明らかになったといいます。これまでスコティッシュフォールドの耳折れ遺伝子は、便宜上「Fd」と表記されてきましたが、正確には上記「TRPV4遺伝子中のV342Fという部位」である可能性が大ということになります。調査に関する詳しい内容は以下のページをご参照ください。
出典)。「優性遺伝」とは両親どちらかから1本でも耳折れ疾患遺伝子を受け継いだら発現するというもので、「不完全」とは遺伝子を受け継いだからといって100%発現するわけではないという意味です。要するに耳折れ遺伝子を受け継いでも、ごくまれに耳折れや骨軟骨異形成を発現しない個体がいるということですが、こうしたイレギュラーが生じる原因についてはよくわかっていません。
2008年に日本の調査チームが行った調査では、不完全優性遺伝で子孫に伝わるとのこと(→骨軟骨異形成の治療
骨軟骨異形成に根本的な治療法はありません。鎮痛薬で痛みを抑えるという方法がありますが、そもそも猫に長期的に投与した時の安全性が確認されている鎮痛薬は存在しません。ですから一生涯投与するとしたら、多かれ少なかれ副作用を覚悟する必要があるいということになります。
放射線療法という治療法もありますが、変形した手足が治るわけではなく、あくまでも痛みの緩和が目的です。また照射のたびに全身麻酔を掛ける必要があり、麻酔のリスクのみならず全身もしくは照射部位に放射線障害が起こる可能性も否定できません。当然高額な治療費もかかります(→出典)。 スコティッシュフォールドの特徴の1つとして「スコ座り」というものがありますが、これは人間に対して愛想を振りまいているのではなく、手足にかかる体重を減らすための苦肉の策です。猫自身が編み出した「緩和ケア」といったところでしょうか。決して「かわいい~!」と呼べるものではありません。
放射線療法という治療法もありますが、変形した手足が治るわけではなく、あくまでも痛みの緩和が目的です。また照射のたびに全身麻酔を掛ける必要があり、麻酔のリスクのみならず全身もしくは照射部位に放射線障害が起こる可能性も否定できません。当然高額な治療費もかかります(→出典)。 スコティッシュフォールドの特徴の1つとして「スコ座り」というものがありますが、これは人間に対して愛想を振りまいているのではなく、手足にかかる体重を減らすための苦肉の策です。猫自身が編み出した「緩和ケア」といったところでしょうか。決して「かわいい~!」と呼べるものではありません。
スコティッシュフォールドの将来
世界各国でスコティッシュフォールドを繁殖すること自体が虐待であるという流れに変わりつつあります。
イギリスでは1974年の時点で既に、聴覚障害やしっぽと手足の変形を理由に、品種協会大手のGCCFが繁殖やキャットショーへの出場を禁止しています。1999年、スコティッシュフォールドの関節炎について初期の報告を行ったオーストラリアのチームは、この猫を苦しみから解放する確実な方法は、耳折れの個体を繁殖に用いないことであると警告しています(→出典)。2015年、重度の関節炎を患うスコティッシュフォールドに関する調査報告を行ったトルコの医療チームは、この品種が一般的におとなしいとされているのは、関節の痛みを我慢しているからではないかとの懸念を表明しています。またおとなしいからといって痛みとうまく付き合っているわけではないとも(→出典)。さらに2015年、同じく重度の関節炎を患うスコティッシュフォールドに関する調査報告を行った日本獣医生命科学大学の医療チームは、耳が折れた個体を繁殖することは残酷であると断言しています(→出典)。
そして近年、猫の福祉向上を目指す国際チャリティー「International Cat Care」(ICC)は、スコティッシュフォールドを安易に繁殖することの非倫理性を強い口調で非難しました。ICCはオーストラリアの獣医学者リチャード・マリク氏の発言を引き合いに出し、「この品種を繁殖することは残酷な虐待であり、ブリーダーは非難されるべきである」とかなり強い口調で糾弾しています。 上記したように、世界的にはスコの繁殖=虐待という認識が広まりつつあります。それに対し日本では、いまだにこの品種が人気品種トップ3に当たり前のように入っており、動物を扱うテレビ番組でも頻繁に子猫を登場させています。しかしペットショップも、テレビ番組も、ブリーダーも、このページで説明したような骨軟骨異形成に関する詳細な情報は教えてくれませんし、そもそも知識すら持ち合わせていません。運良くこのページにたどり着いた方は、スコティッシュフォールドが置かれている現状と苦しみを理解し、なるべく多くの人に伝えていただければと思います。
イギリスでは1974年の時点で既に、聴覚障害やしっぽと手足の変形を理由に、品種協会大手のGCCFが繁殖やキャットショーへの出場を禁止しています。1999年、スコティッシュフォールドの関節炎について初期の報告を行ったオーストラリアのチームは、この猫を苦しみから解放する確実な方法は、耳折れの個体を繁殖に用いないことであると警告しています(→出典)。2015年、重度の関節炎を患うスコティッシュフォールドに関する調査報告を行ったトルコの医療チームは、この品種が一般的におとなしいとされているのは、関節の痛みを我慢しているからではないかとの懸念を表明しています。またおとなしいからといって痛みとうまく付き合っているわけではないとも(→出典)。さらに2015年、同じく重度の関節炎を患うスコティッシュフォールドに関する調査報告を行った日本獣医生命科学大学の医療チームは、耳が折れた個体を繁殖することは残酷であると断言しています(→出典)。
そして近年、猫の福祉向上を目指す国際チャリティー「International Cat Care」(ICC)は、スコティッシュフォールドを安易に繁殖することの非倫理性を強い口調で非難しました。ICCはオーストラリアの獣医学者リチャード・マリク氏の発言を引き合いに出し、「この品種を繁殖することは残酷な虐待であり、ブリーダーは非難されるべきである」とかなり強い口調で糾弾しています。 上記したように、世界的にはスコの繁殖=虐待という認識が広まりつつあります。それに対し日本では、いまだにこの品種が人気品種トップ3に当たり前のように入っており、動物を扱うテレビ番組でも頻繁に子猫を登場させています。しかしペットショップも、テレビ番組も、ブリーダーも、このページで説明したような骨軟骨異形成に関する詳細な情報は教えてくれませんし、そもそも知識すら持ち合わせていません。運良くこのページにたどり着いた方は、スコティッシュフォールドが置かれている現状と苦しみを理解し、なるべく多くの人に伝えていただければと思います。
尿管結石
尿管結石とは、腎臓と膀胱とを結ぶ「尿管」と呼ばれる管状の組織内に結石が生じてしまった状態。猫ではシュウ酸カルシウム結石が大半を占めています。診断は尿内の結晶検査やエックス線撮影で下します。治療は結石の除去と食事療法がメインです。
シュウ酸カルシウム結石
下部尿路症候群(LUTD)とは、膀胱から尿道口をつなぐまでのどこかに結石などを生じてしまう病気。猫ではシュウ酸カルシウム結石やストラバイト結石が大半を占めています。診断は尿内の結晶検査やエックス線撮影で下します。治療は結石の除去と食事療法がメインです。スコティッシュフォールドではシュウ酸カルシウム結石のリスクが報告されています。
コロナウイルス(?)
コロナウイルスとは、ウイルスの表面にまるで太陽のコロナのような突起を持つ一本鎖RNAウイルスの総称。猫では病原性の弱い「猫腸コロナウイルス」(FeCV)と、病原性の高い変異種「猫伝染性腹膜炎ウイルス」(FIPV)があります。今現在、病原性の低い「猫腸コロナウイルス」(FECV)と致死性の高い「猫伝染性腹膜炎ウイルス」(FIPV)を事前に見分ける有効な方法は存在していません。ひとたび後者を発症してしまうと効果的な治療法がなく、二次感染を防ぐための抗生物質の投与、免疫力を高めるためのネコインターフェロンの投与、炎症を抑えるための抗炎症薬の投与などで様子を見るというのが基本方針です。
レーベル先天黒内障
レーベル先天黒内障とは、眼球に外見的な異常はないのに生まれつき目が見えない眼科系疾患。根本的な治療法はありませんので、猫も飼い主も視力障害と付き合いながら暮らしていくことになります。
遺伝病撲滅のために
スコティッシュフォールドは人間の金儲けのために骨軟骨異形成という疾患を背負わされた品種です。この事実は多くの飼い主が知りません。なぜならブリーダーやペットショップ自体がこの事実を知らなかったり、知っていても飼い主(購入者)に積極的に教えようとしないからです。
当サイト内では、スコティッシュフォールドに関して報告されている様々な健康上の問題を日本語でご紹介しています。目的は、この品種が置かれている苦境を一般の飼い主に広く知ってもらうことです。そして金儲けのことしか頭にない質の悪いブリーダーやペットショップが「そんなこと知らなかった」という言い訳ができないようにすることです。
スコティッシュフォールドを遺伝病の苦しみから開放するため、なるべく多くの方にこうした事実を教えてあげてください。以下はこの品種に関する資料です。
スコティッシュフォールドを遺伝病の苦しみから開放するため、なるべく多くの方にこうした事実を教えてあげてください。以下はこの品種に関する資料です。
スコティッシュフォールドのすべて
- 品種の歴史スコティッシュフォールドは前方に折れ曲がった小さな耳を特徴とする猫の一種。1960年の初頭、スコットランドの農場で偶然発見された「スージー」という名のメス猫が持っていた突然変異遺伝子を固定し、強引に作られた品種です(当ページ参照)。
- 耳折れ遺伝子2016年、アメリカ・ミズーリ大学の遺伝学チームが行った調査により、スコティッシュフォールドの耳折れと関節の障害を同時に生み出していると考えられる原因遺伝子が特定されました。
- 遺伝好発疾患スコティッシュフォールドはたった1頭に生じた突然変異を固定して作り出された品種です。遺伝子プールを広げるためさまざまな種類の血統が用いられてきましたが、それでも品種特有の疾患があります。
- 折れ耳と関節疾患折れ耳同士のスコティッシュフォールドを交配させることは禁忌とされています。しかし「折れ耳×立ち耳」のような交配で健康優良児が生まれるかというと、そういうわけではありません。このことは40年以上前から警告されています。
- 骨瘤の治療スコティッシュフォールドに多い骨瘤は一度発症すると治療法がありません。副作用のある鎮痛薬を一生飲み続けるか、全身麻酔を伴う放射線治療を6回に分けて受ける必要があります。それすらできない場合、痛みを抱えながら「スコ座り」をして生きていかなければなりません。
- 繁殖への非難猫の福祉向上に勤める国際的なチャリティ団体「International Cat Care」(ICC)は、耳が折れたスコティッシュフォールドを繁殖することの非倫理性を改めて強調しました。
- 猫好きの進むべき道これから猫好きたちが目指すべきゴールは、拝金主義のブリーダーやペットショップを駆逐し、スコティッシュフォールドを遺伝病から開放してあげることです。