猫の鼻腔狭窄の病態と症状
猫の鼻腔狭窄とは、鼻の穴とそれに続く「鼻腔」と呼ばれる空間が狭まった状態を言います。
この「鼻腔狭窄」と「長すぎる軟口蓋」、「声門の狭窄」といった他の症状が複合した場合は、特に短頭種気道症候群と呼ばれることもあります。先頭に「短頭種」とついているのは、この病変が主に鼻先が短い短頭猫種に発症するためです。
猫の鼻腔狭窄の症状としては以下のようなものが挙げられます。
猫の鼻腔狭窄の症状としては以下のようなものが挙げられます。
鼻腔狭窄の主症状
- 鼻の穴が狭まっている
- 普段から鼻をグーグーならす
- 鼻水をよく飛ばす
- 呼吸が荒くなる
- 呼吸困難に伴うチアノーゼ(酸素不足)
- 熱中症にかかりやすい
猫の鼻腔狭窄の原因
猫の鼻腔狭窄の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
具体的な猫種としては、ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなどが挙げられます。
鼻腔狭窄の主な原因
- 先天性の奇形
具体的な猫種としては、ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなどが挙げられます。
猫の鼻腔狭窄の治療
猫の鼻腔狭窄の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
鼻腔狭窄の主な治療法
- 保存療法 症状が軽い場合は、現状維持を基本とした保存療法が行われます。
飼い主としてまず念頭に置くべきは、呼吸をするのに通常の猫より努力が必要なため、パンティング(あえぎ呼吸)による体温調整が苦手という点でしょう。つまり熱中症にかかりやすいという意味です。特に夏場は室温管理を注意深く行わなければなりません。
鼻腔狭窄と軟口蓋の下垂が併存している場合は、睡眠時無呼吸への注意も必要となります。特に猫が仰向けで寝ているときは、自分自身の軟口蓋が気道をふさいでしまい、息ができなくなってしまいますので要注意です。 - 外科手術 症状が重く、呼吸困難が明らかな場合は永続的な治療効果を狙って外科手術が行われることがあります。
外鼻孔を広げる場合は、鼻の軟骨と周辺皮膚を切除して強引に鼻の孔を広げます。軟口蓋が長すぎて呼吸を邪魔している場合は、炭酸ガスレーザーを用いて扁桃の後ろから切除してしまいます。その他、喉頭や気管がつぶれているような場合は、気管を切開したりします。
2023年に台湾の汎亜動物医院が行った報告では、鼻部背外側の軟骨を切除してスペースを確保してから鼻翼を上方に牽引して縫合するという形成手術により、合併症もなく長期的な改善が認められたとされています。