猫の内臓解剖図
猫は人間と同じ哺乳類(ほにゅうるい)ですので、内臓の構造はほとんど一緒で、主に自律神経系の調整を受けます。
自律神経系(じりつしんけいけい)は内臓の機能を自動的に調節する神経のことです。自らの意志によっては調整できないことから「自律」と呼ばれており、交感神経系(こうかんしんけいけい)と副交感神経系(ふくこうかんしんけいけい)の2つの神経系で構成されています。
主な働きは循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、など、内臓機能全般の調整です。交感神経系は、闘争か逃走か(fight or fright)と総称されるような、身体的活動や侵害刺激、恐怖といったストレスの多い状況において優位となり、逆に副交感神経系はリラックスした時に優位となります。
自律神経系(じりつしんけいけい)は内臓の機能を自動的に調節する神経のことです。自らの意志によっては調整できないことから「自律」と呼ばれており、交感神経系(こうかんしんけいけい)と副交感神経系(ふくこうかんしんけいけい)の2つの神経系で構成されています。
主な働きは循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能、など、内臓機能全般の調整です。交感神経系は、闘争か逃走か(fight or fright)と総称されるような、身体的活動や侵害刺激、恐怖といったストレスの多い状況において優位となり、逆に副交感神経系はリラックスした時に優位となります。
猫の消化器
口から摂取した食物の消化と吸収に関与している消化器系の内臓解剖について解説します。
猫の口腔
口に入って歯で砕かれた食べ物は、食道に送り込まれる前に、舌と口蓋(こうがい)によって上下からプレスされ一つの塊にまとめられます。ここで特筆すべきは、硬口蓋(こうこうがい)に付いている「口蓋ヒダ」とよばれる構造です。猫の舌の表面には「糸状乳頭」というトゲのような突起が、口の奥に向かってびっしりと生えていることは有名ですが、実は口蓋にも似たような構造があります。これが口蓋ヒダで、動物によってある程度数が固定されているというから不思議です。具体的には以下です。
動物種別・口蓋ヒダの数
- ウマ→16~18
- ウシ→15~20
- ヒツジ→14
- ヤギ→12
- ブタ→20~22
- イヌ→9
- ウサギ→15
- ネコ→7
猫の食道
猫の胃
胃は食道から送られてきた食物が一時的に停留する器官で、十二指腸につながります。
胃の壁は3層構造をしており、内側から粘膜層(ねんまくそう)、粘膜下層(ねんまくかそう)、筋層(きんそう)から成ります。
胃粘膜には、「胃小窩」(いしょうか)と呼ばれる微細な穴が無数に並んでおり、その底には、「胃腺」(いせん, 胃底腺とも)とよばれる管状の分泌腺が開口しています。この分泌腺からは、主に、塩酸と消化酵素の一種である「ペプシノゲン」が分泌され、これが一般的に「胃液」(いさん)と呼ばれているものです。胃の主な機能は以下です。
胃の壁は3層構造をしており、内側から粘膜層(ねんまくそう)、粘膜下層(ねんまくかそう)、筋層(きんそう)から成ります。
胃粘膜には、「胃小窩」(いしょうか)と呼ばれる微細な穴が無数に並んでおり、その底には、「胃腺」(いせん, 胃底腺とも)とよばれる管状の分泌腺が開口しています。この分泌腺からは、主に、塩酸と消化酵素の一種である「ペプシノゲン」が分泌され、これが一般的に「胃液」(いさん)と呼ばれているものです。胃の主な機能は以下です。
胃の働き
- 食道から送り込まれた食物を、数時間程度貯留する
- 胃壁から分泌される胃酸によって、食べたものを酸性に保つことで殺菌し腐敗を防ぐ
- 消化酵素のペプシンによって、タンパク質をペプトンまで分解する
- ガストリンを血管内へ分泌してペプシノゲンの分泌を促進し、胃酸分泌を促進する
猫の肝臓
猫の膵臓
膵臓は大きく二つの部分に分かれており、体積の95%以上を「外分泌腺」(がいぶんぴつせん)が占め、残りを「内分泌腺」(ないぶんぴつせん)である「ランゲルハンス島」が占めています。
外分泌腺は主として「膵液」(すいえき)を生成・分泌しており、ここで作られた膵液は膵管(すいかん)を通って十二指腸内部に放出されます。膵液中にはタンパク質分解酵素であるキモトリプシンやトリプシン、炭水化物の分解に働くアミラーゼ、脂質の分解に働くリパーゼなどが含まれており、食物の大雑把な分解に寄与しています。
一方、内分泌腺であるランゲルハンス島は、インスリンやグルカゴンといったホルモンを分泌しており、グルカゴンは血糖を上昇させ、逆にインスリンは血糖を低下させる働きがあります。
なお、膵臓に炎症が生じた状態が膵炎、インスリンの機能不全で血中の糖分が過剰に高まった状態が糖尿病です。
外分泌腺は主として「膵液」(すいえき)を生成・分泌しており、ここで作られた膵液は膵管(すいかん)を通って十二指腸内部に放出されます。膵液中にはタンパク質分解酵素であるキモトリプシンやトリプシン、炭水化物の分解に働くアミラーゼ、脂質の分解に働くリパーゼなどが含まれており、食物の大雑把な分解に寄与しています。
一方、内分泌腺であるランゲルハンス島は、インスリンやグルカゴンといったホルモンを分泌しており、グルカゴンは血糖を上昇させ、逆にインスリンは血糖を低下させる働きがあります。
なお、膵臓に炎症が生じた状態が膵炎、インスリンの機能不全で血中の糖分が過剰に高まった状態が糖尿病です。
猫の小腸
小腸は胃と大腸とを結ぶ消化吸収器官です。
小腸の粘膜は粘膜上皮(ねんまくじょうひ)、粘膜固有層(ねんまくこゆうそう)、粘膜筋板(ねんまくきんばん)で構成されており、栄養素の吸収が主たる機能であるため、小腸内腔の粘膜は、非常に大きな吸収面積をもつ構造になっています。小腸の内壁は輪状のひだになっており、その表面には数百万もの「絨毛」(じゅうもう)と呼ばれる突起があります。この絨毛の表面にはさらに数千の「微絨毛」があり、この構造によって小腸内壁の表面積が著しく増大しています。
胃でおおまかに分解された糖質、タンパク質、脂肪といった栄養素は、小腸においてさらに細かく分解され、上記した微絨毛から吸収されます。微絨毛には消化酵素がいつも待ちかまえており、栄養素がこの酵素と反応して細かく分解されると、すばやく腸壁内に取り込みます。消化吸収しきれなかった不要物は大腸に送られます。
なお、腸内に炎症が起こった状態が腸炎、腸管が何らかの理由によりふさがってしまった状態が腸閉塞です。
小腸の粘膜は粘膜上皮(ねんまくじょうひ)、粘膜固有層(ねんまくこゆうそう)、粘膜筋板(ねんまくきんばん)で構成されており、栄養素の吸収が主たる機能であるため、小腸内腔の粘膜は、非常に大きな吸収面積をもつ構造になっています。小腸の内壁は輪状のひだになっており、その表面には数百万もの「絨毛」(じゅうもう)と呼ばれる突起があります。この絨毛の表面にはさらに数千の「微絨毛」があり、この構造によって小腸内壁の表面積が著しく増大しています。
胃でおおまかに分解された糖質、タンパク質、脂肪といった栄養素は、小腸においてさらに細かく分解され、上記した微絨毛から吸収されます。微絨毛には消化酵素がいつも待ちかまえており、栄養素がこの酵素と反応して細かく分解されると、すばやく腸壁内に取り込みます。消化吸収しきれなかった不要物は大腸に送られます。
なお、腸内に炎症が起こった状態が腸炎、腸管が何らかの理由によりふさがってしまった状態が腸閉塞です。
- キャットガット
- 「キャットガット」(catgut)とは、楽器の弦やテニスラケットのガットとして用いられる動物の腸のことです。直訳すると「猫の内臓」ですが、実際に使われているのはウシ、ヒツジ、ブタなどの腸で、猫のものが使われているわけではありません。
猫の大腸
猫の呼吸器
口や鼻から吸い込んだ酸素を、体内の二酸化炭素と交換する呼吸器系の内臓解剖について解説します。
猫の気管
猫の肺
肺は横隔膜と肋間筋(ろっかんきん=ろっこつの間にある筋肉)に囲まれた左右二つある器官です。
喉頭から伸びる気管は肺に到達してから細気管支へと分岐し、その後幾度も分枝を重ねて膨大な数の「肺胞」(はいほう)と呼ばれるブドウのように密集した微細器官へと形を変えます。ここがガス交換を行う場所で、一般的な猫の肺胞面積は20平方メートルほどです。肺胞では外気から取り込んだ酸素と、体内で生じた不要物としての二酸化炭素が交換されますが、この交換過程が「呼吸」です。
肺が膨らむときは、横隔膜や肋間筋が胸腔(きょうくう)を広げ、胸腔が陰圧になることで肺が立体的に引っ張られてに膨らみます。これはちょうど「ふいご」の要領と同じです。一方、肺が縮むときには筋肉は使われず、肺自身が縮もうとする力で収縮して空気を排出します。
なお、肺に炎症が起こった状態が肺炎、肺胞が異常にふくらみ、壊れてしまった状態が肺気腫、胸の中に余分な空気が混入することにより、肺が圧迫されて呼吸困難に陥ってしまった状態が気胸です。
喉頭から伸びる気管は肺に到達してから細気管支へと分岐し、その後幾度も分枝を重ねて膨大な数の「肺胞」(はいほう)と呼ばれるブドウのように密集した微細器官へと形を変えます。ここがガス交換を行う場所で、一般的な猫の肺胞面積は20平方メートルほどです。肺胞では外気から取り込んだ酸素と、体内で生じた不要物としての二酸化炭素が交換されますが、この交換過程が「呼吸」です。
肺が膨らむときは、横隔膜や肋間筋が胸腔(きょうくう)を広げ、胸腔が陰圧になることで肺が立体的に引っ張られてに膨らみます。これはちょうど「ふいご」の要領と同じです。一方、肺が縮むときには筋肉は使われず、肺自身が縮もうとする力で収縮して空気を排出します。
なお、肺に炎症が起こった状態が肺炎、肺胞が異常にふくらみ、壊れてしまった状態が肺気腫、胸の中に余分な空気が混入することにより、肺が圧迫されて呼吸困難に陥ってしまった状態が気胸です。
猫の横隔膜
横隔膜は胸腔(きょうくう)と腹腔(ふっくう)の境界にある円蓋状の筋肉で、血管や食道を通すための「大動脈裂孔」(だいどうみゃくれっこう)・食道裂孔(しょくどうれっこう)・大静脈孔(だいじょうみゃくこう)と呼ばれる穴があります。
遠く離れた首に存在しいる頚髄(けいずい)から起こる頚神経によって支配されており、仮に首から下の脊髄が損傷を受けて肋骨が上下動できなくなっても、横隔膜を動かすことによってかろうじて呼吸を確保することができます。
横隔膜は「膜」というと呼ばれているものの筋肉でできており、これが収縮すると円蓋状から平板状に変形して胸腔内の体積を広げます。こうすることで、ちょうど「ふいご」をふくらませるように空気を肺の中に取り入れることが出来るのです。肋間筋と並び、重要な呼吸筋です。
なお、横隔膜に強い力が加わって破れ、腹部臓器が胸腔内に押し出された状態が横隔膜ヘルニアです。
遠く離れた首に存在しいる頚髄(けいずい)から起こる頚神経によって支配されており、仮に首から下の脊髄が損傷を受けて肋骨が上下動できなくなっても、横隔膜を動かすことによってかろうじて呼吸を確保することができます。
横隔膜は「膜」というと呼ばれているものの筋肉でできており、これが収縮すると円蓋状から平板状に変形して胸腔内の体積を広げます。こうすることで、ちょうど「ふいご」をふくらませるように空気を肺の中に取り入れることが出来るのです。肋間筋と並び、重要な呼吸筋です。
なお、横隔膜に強い力が加わって破れ、腹部臓器が胸腔内に押し出された状態が横隔膜ヘルニアです。
猫の循環器
血液を体の隅々に行き渡らせる循環器の内臓解剖について解説します。
猫の心臓
心臓は全身に血液を拍出するポンプです。心臓はそのほとんどが「心筋」(しんきん)と呼ばれる筋肉で構成されています。心筋には、筋肉の収縮・拡張により血液を送る「固有心筋」(こゆうしんきん)と、固有心筋を動かすための電気刺激の発生と伝導を行っている「特殊心筋」(とくしゅしんきん)があります。これらの心筋の働きによってリズミカルな収縮が生み出され、ポンプのように血液を全身に届けるという仕組みです。なお体重5キロの猫の場合、およそ330mlの血液を体内に保有しています。
心臓の右心室(うしんしつ)から出る「肺動脈」(はいどうみゃく)は、酸素濃度の低い血液を肺に送ります。肺に送り込まれた血液は肺胞においてガス交換が行われ、再び酸素を充填(じゅうてん)した状態になります。酸素をたっぷり含んだ血液は、肺から出る「肺静脈」(はいじょうみゃく)を通って心臓の「左心房」(さしんぼう)へと入ります。左心房から「左心室」(さしんしつ)へと送り込まれた血液は、心臓の強力なポンプ作用によって「大動脈」(だいどうみゃく)を経由して全身に行き渡り、血液中の酸素を体の隅々まで送り届けます。酸素を細胞へ渡し終えた血液は、「大静脈」(だいじょうみゃく)を通って心臓の「右心房」(うしんぼう)へと戻り、さらに右心房から「右心室」(うしんしつ)へと送られた血液は、再び「肺動脈」(はいどうみゃく)を通って肺へ送り込まれます。
このようにして心臓は、肺で酸素を充填された血液を、体の隅々に届けるという役割を果たしています。
なお、心臓そのもの、もしくは心臓とかかわる臓器に何らかの異常が生じ、血液を送り出す機能に障害がおこった状態が心不全、心臓の筋肉である心筋(しんきん)になんらかの異常が起こり、心臓の機能が損なわれた状態が心筋症です。
このようにして心臓は、肺で酸素を充填された血液を、体の隅々に届けるという役割を果たしています。
なお、心臓そのもの、もしくは心臓とかかわる臓器に何らかの異常が生じ、血液を送り出す機能に障害がおこった状態が心不全、心臓の筋肉である心筋(しんきん)になんらかの異常が起こり、心臓の機能が損なわれた状態が心筋症です。
猫の血液
血液は血管の中を流れる体液であり、赤血球、白血球、血小板を主な成分としています。
赤血球(せっけっきゅう)は内部に含まれるヘモグロビンの作用により、体中の細胞へ酸素を運搬します。赤血球は主に骨髄の中で生成され、古くなると脾臓において分解されますが、そのサイクルはおよそ80日です(人の場合は120日)。
白血球(はっけっきゅう)は免疫細胞であり、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除するように機能します。
血小板(けっしょうばん)は血液を凝固させる働きを持ち、万が一血管が破れてもすばやく修復して血液の流出を最小限に食い止めます。
なお、血液中の赤血球が破壊されることにより、全身へ酸素が行き渡らなくなってしまった状態が溶血性貧血、腎臓の機能が低下することで尿素を含む老廃物の排出がうまくいかず、血中の老廃物濃度が高まってしまった状態が尿毒症、骨髄内にある造血細胞が遺伝子変異を起こし、異常な増殖を繰り返すことで正常な細胞の生成を阻害してしまった状態が白血病です。
赤血球(せっけっきゅう)は内部に含まれるヘモグロビンの作用により、体中の細胞へ酸素を運搬します。赤血球は主に骨髄の中で生成され、古くなると脾臓において分解されますが、そのサイクルはおよそ80日です(人の場合は120日)。
白血球(はっけっきゅう)は免疫細胞であり、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除するように機能します。
血小板(けっしょうばん)は血液を凝固させる働きを持ち、万が一血管が破れてもすばやく修復して血液の流出を最小限に食い止めます。
なお、血液中の赤血球が破壊されることにより、全身へ酸素が行き渡らなくなってしまった状態が溶血性貧血、腎臓の機能が低下することで尿素を含む老廃物の排出がうまくいかず、血中の老廃物濃度が高まってしまった状態が尿毒症、骨髄内にある造血細胞が遺伝子変異を起こし、異常な増殖を繰り返すことで正常な細胞の生成を阻害してしまった状態が白血病です。
猫の泌尿器
血液の中の老廃物を尿として体外に排出する泌尿器系の内臓解剖について解説します。
猫の腎臓
腎臓は背中側に左右二つあり、血液からの老廃物や余分な水分の濾過(ろか=こしとること)を行っています。
腎臓は「ネフロン」と呼ばれる機能単位から構成されており、またネフロンはさらに「ボーマン嚢」(ぼーまんのう)と「腎細管」(じんさいかん)という微細構造に細分されます。猫の場合、ネフロンの75%が機能しなくなるまでは、飲み水の量や尿量は顕著に変わらないと言われています。
腎臓の濾過機能により、人間では1日約1.5リットル、猫では1日約60ミリリットルの尿が体外に排泄されます。猫は乾燥地帯に暮らしていたリビアヤマネコの子孫であるため、貴重な水分を余り体外に出さないように進化してきました。結果として猫の尿量は少なく、その代わりに濃度が濃いという特徴があります。ちなみに猫の腎臓は人間と違い、腎機能が正常でも尿に大量のタンパク質を排泄するというユニークな生理現象を持っています。 また腎臓には内分泌作用もあり、腎臓に流れ込む血流量の低下を感知して「レニン」と呼ばれるホルモンを分泌し、血圧と尿量を調節しています。さらに、尿細管では「エリスロポエチン」を分泌し、骨髄での赤血球の産生を促進します。
なお、腎臓内に炎症が起こった状態が腎炎、腎臓が機能不全に陥り、体にとって有害な物質を体外に排出できなくなった状態が腎不全、尿の通り道である尿路(にょうろ)のうち、膀胱以下に相当する下部尿路に病変が生じた状態が下部尿路症候群です。
腎臓は「ネフロン」と呼ばれる機能単位から構成されており、またネフロンはさらに「ボーマン嚢」(ぼーまんのう)と「腎細管」(じんさいかん)という微細構造に細分されます。猫の場合、ネフロンの75%が機能しなくなるまでは、飲み水の量や尿量は顕著に変わらないと言われています。
腎臓の濾過機能により、人間では1日約1.5リットル、猫では1日約60ミリリットルの尿が体外に排泄されます。猫は乾燥地帯に暮らしていたリビアヤマネコの子孫であるため、貴重な水分を余り体外に出さないように進化してきました。結果として猫の尿量は少なく、その代わりに濃度が濃いという特徴があります。ちなみに猫の腎臓は人間と違い、腎機能が正常でも尿に大量のタンパク質を排泄するというユニークな生理現象を持っています。 また腎臓には内分泌作用もあり、腎臓に流れ込む血流量の低下を感知して「レニン」と呼ばれるホルモンを分泌し、血圧と尿量を調節しています。さらに、尿細管では「エリスロポエチン」を分泌し、骨髄での赤血球の産生を促進します。
なお、腎臓内に炎症が起こった状態が腎炎、腎臓が機能不全に陥り、体にとって有害な物質を体外に排出できなくなった状態が腎不全、尿の通り道である尿路(にょうろ)のうち、膀胱以下に相当する下部尿路に病変が生じた状態が下部尿路症候群です。