猫の急性腎不全の病態と症状
猫の急性腎不全の原因
猫の急性腎不全の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
エチレングリコール中毒が多い理由としては、物質の入手のしやすさと、甘みがついていること、そして人間の側の毒性に対する知識不足が挙げられます。アメリカにおいては不凍液に苦みを付けようという動きがあるものの、日本においては依然として甘みがついたままです。間違って口に入れても途中で吐き出されることがないため、特に冬場は安易に道路わきにまき散らさないなどの配慮が必要となります。
猫の急性腎不全の主な原因
- 腎臓そのものの異常 腎臓自体が障害されたために起こる急性腎不全で、「腎性急性腎不全」とも呼ばれます。具体的には急性糸球体腎炎やネフローゼ症候群のほか、薬物、毒物、閉塞などです。
- 腎臓への血流悪化 腎臓自体は正常であるにもかかわらず、腎臓に流れ込む血流が悪化したために生じた急性腎不全で、「腎前性急性腎不全」とも呼ばれます。具体的には出血、大量の下痢、脱水、ショック、心不全、心筋症、血管収縮薬や拡張薬の過剰な投与、長時間の麻酔、熱中症などです。
- 排尿の停滞 腎臓でつくられた尿を体外へ排泄するための経路が閉塞したために発症する急性腎不全で、「腎後性急性腎不全」とも呼ばれます。具体的には下部尿路症候群に伴う尿管、膀胱、尿道の炎症や閉塞などです。
エチレングリコール中毒が多い理由としては、物質の入手のしやすさと、甘みがついていること、そして人間の側の毒性に対する知識不足が挙げられます。アメリカにおいては不凍液に苦みを付けようという動きがあるものの、日本においては依然として甘みがついたままです。間違って口に入れても途中で吐き出されることがないため、特に冬場は安易に道路わきにまき散らさないなどの配慮が必要となります。
猫の急性腎不全の治療
猫の急性腎不全の治療法としては、主に以下のようなものがあります。多くの場合は入院治療が必要です。なお現在検証されている「AIM」を用いた治療法の可能性に関してはこちらの記事をご参照ください。
猫の急性腎不全の主な治療法
- 対症療法 まずは症状の軽減を目的とした治療が施されます。例えば高窒素血症の改善を目的に、輸液、ホルモン剤投与、腹膜灌流(ふくまくかんりゅう=腹の中に灌流液を入れて1時間位してから回収する)、血液透析(腎臓を模した機械に血液を流す)、窒素化合物を吸着させる薬剤の投与などの治療が施されます。
- 栄養補給 吐き気が治まったタイミングで炭水化物や脂肪など、タンパク質以外の栄養素を補給します。吐き気が続いている場合は静脈カテーテルを用いて非経口的にエネルギーを送り込みます。
- 基礎疾患の治療 別の疾病によって急性腎不全が引き起こされている場合は、それらの基礎疾患への治療が合わせて施されます。