猫のネフローゼ症候群～症状・原因から予防・治療法まで

　猫のネフローゼ症候群とは、高度のたんぱく尿により血中のたんぱく濃度が極端に低下した状態を指す腎臓疾患群の総称です。
　腎臓の機能単位であるネフロンの中には糸球体（しきゅうたい）と呼ばれる血管の塊があり、ここが機能不全に陥ると血液の正常な濾過ができなくなります。その結果、本来であれば遮断されるはずの血中たんぱく質が尿中にもれ出てしまい、低たんぱく血症、および高たんぱく尿を同時に引き起こします。すると血管内外の浸透圧バランスが崩れて水分の異常な移動が起こり、体がむくむなどの症状として発現します。 　猫のネフローゼ症候群の症状としては以下のようなものが挙げられます。

• 全身のむくみ
• おなかがふくれる（腹水）
• 高たんぱく尿
• 低たんぱく血症
• 血中コレステロール上昇
• ぐったりして元気がない
• 食欲不振

　猫のネフローゼ症候群の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。

• 基礎疾患　血液から老廃物を濾し取っている糸球体の機能不全を招く全ての疾病が原因となりえます。具体的には急性糸球体腎炎、糖尿病、白血病、心不全、中毒、アレルギー、免疫疾患、アミロイドーシスなどです。
• 遺伝　この病気を発症しやすい幾つかの品種が確認されています。具体的にはアビシニアン、オリエンタル、シャムです。これらの品種では腎臓に「アミロイド」と呼ばれるタンパク質が沈着しやすく、その結果として当症を発症します。

　猫のネフローゼ症候群の治療法としては、主に以下のようなものがあります。

• 基礎疾患の治療 　別の疾病によってネフローゼ症候群が引き起こされている場合は、それらの基礎疾患への治療が施されます。
• 対症療法 　現れた症状に対し、そのつど症状の軽減を目的とした治療が施されます。おなかに溜まった水が生活に支障をきたしている場合は、穿刺（せんし）によって水を抜きます。高血圧が認められる場合は降圧のための各種アプローチが取られ、場合によっては血管拡張薬を投与します。またやや血が固まりやすい傾向があるため、血栓を予防するための薬が投与されることもあります。
• 食餌療法　高たんぱく食は糸球体への負担を増やすため、低たんぱく食が推奨されます。