猫の脂肪肝の病態と症状
猫の脂肪肝とは、肝臓に脂肪がたまって機能が損なわれた状態のことで、肝リピドーシスとも呼ばれます。
診断する際は、肋骨の下あたりから長い針を差し込んで肝臓の細胞を吸い取り、その中の脂肪(トリグリセリド)の量を測ります。半分以上に脂肪が蓄積している状態が「脂肪肝」です。顕微鏡で肝細胞を観察すると、「脂肪空砲」と呼ばれる特徴的な変性も見られます。 肝臓は解毒、ビタミンやホルモンの生成、炭水化物、脂質、タンパク質の合成や分解、消化酵素の生成など数百の役割を担っていますので、この器官に不具合が起こって正常に機能しなくなると、様々な症状が現れます。
猫の脂肪肝の主な症状は以下です。この病気は猫の肝臓疾患の中で最も多いものですので、飼い主がいち早く黄疸や食欲不振と増進といった初期症状に気づいてあげることが重要になります
診断する際は、肋骨の下あたりから長い針を差し込んで肝臓の細胞を吸い取り、その中の脂肪(トリグリセリド)の量を測ります。半分以上に脂肪が蓄積している状態が「脂肪肝」です。顕微鏡で肝細胞を観察すると、「脂肪空砲」と呼ばれる特徴的な変性も見られます。 肝臓は解毒、ビタミンやホルモンの生成、炭水化物、脂質、タンパク質の合成や分解、消化酵素の生成など数百の役割を担っていますので、この器官に不具合が起こって正常に機能しなくなると、様々な症状が現れます。
猫の脂肪肝の主な症状は以下です。この病気は猫の肝臓疾患の中で最も多いものですので、飼い主がいち早く黄疸や食欲不振と増進といった初期症状に気づいてあげることが重要になります
猫の脂肪肝の主症状
- 食欲不振
- 嘔吐
- 下痢
- 肝腫
- 黄疸(歯茎や白目が黄ばむ)
猫の脂肪肝の原因
猫の脂肪肝の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。猫の肝臓に脂肪がたまるのは、本来肝臓から脂肪組織へと移動するはずの脂肪が、なぜか肝臓内にとどまってしまうことが原因です。ですからこの脂肪の運搬を妨げる全てのことが、脂肪肝の直接的・間接的原因になりえます。
猫の脂肪肝の主な原因
- アポタンパクの不足 体内の脂肪はアポタンパクと呼ばれる分子によって肝臓から脂肪組織へと運搬されます。しかしこのアポタンパク量が減少すると、運搬される脂肪の量もそれに応じて減り、結果として肝臓内に脂肪が蓄積してしまいます。
- アルギニン不足 必須アミノ酸の一種であるアルギニンが不足すると、肝臓から放出される脂肪の量が減ったり、脂肪とアポタンパクの結合がうまくいかなくなったりします。
- 膵臓の機能不全 脂肪が脂肪組織へと運ばれても、膵臓の分泌するインスリンの働きが不足していると、本来脂肪組織内へ入るべき脂肪が血中に残り、結果として肝臓へ逆戻りしてしまいます。糖尿病、肥満、膵炎などによってインスリンの効果が薄れた状態だと、それだけ脂肪肝になりやすくなってしまいます。
- 基礎疾患 甲状腺機能亢進症、慢性腸炎、心筋症などの基礎疾患を抱えた猫は、脂肪肝になりやすいといわれています。
猫の脂肪肝の治療
猫の脂肪肝の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫の脂肪肝の主な治療法
- 対症療法 疾患の原因を取り除くよりも、症状の軽減を目的とした治療が施されます。具体的には、脱水症状を緩和するための点滴や輸液、二次感染を防ぐための抗生物質の投与などです。脂肪肝による死亡例は、ほとんどが発症してから7日間に集中しています。飼い主がいかに早く徴候を見つけるか、そしてどのような初期治療を施すかが生死を分けると言ってよいでしょう。
- 流動食 脂肪肝に陥った猫は食事を取らなくなるため、胃や食道にチューブを挿入し、流動食を強制的に摂取させるという治療を長期的に行う必要が生じます。またタンパク質を補うためにも重要です。
- 経過観察 命を落とす危険性が高い最初の7日間を乗り越えたら、あとは猫の食欲が回復するまで4~6週間経過観察されます。強制給餌に加え、肝臓における脂質の代謝を促進するためL-カルニチンが与えられることもあります。
- 基礎疾患の治療 別の疾病によって脂肪肝が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。飼い主の側でできることは、黄疸や食欲不振と増進といった初期症状にいち早く気づくこと、および猫を肥満にしないこと、そして肥満の傾向がみられた場合は速やかにダイエットを開始することです。ただし急激なダイエットは、それ自体が肝リピドーシスの原因になりますので、事前にしっかりと知識を身に付け、かかりつけの獣医さんのアドバイスに従いながら行うようにします。