多発性嚢胞腎
有病率・遺伝子保有率
ペルシャにおける多発性嚢胞腎の有病率は国を問わず40%を超えているものと推計されます。
2001年にオーストラリアで行われた調査では、ペルシャ230頭を対象とした疾患遺伝子の保有率調査が行われ、シドニーでは45%、ブリスベンでは42%という非常に高い割合で最低1本の変異遺伝子を抱えていたと報告されています(→出典)。
2000年12月から2002年4月の期間、フランスの調査チームがリヨンとアルフォールにある動物病院で220頭のペルシャを対象として行った調査では、超音波検査で少なくとも1つの嚢胞が認められたポジティブが41.8%だったと報告されています(→出典)。
2001年にイギリスで行われた調査では、専門医のところに送られてきた86頭のうち49頭(57%)、他の疾患で病院を受診した46頭のうち16頭(34.8%)において、超音波検査で少なくとも1つの嚢胞が見つかり、全体の有病率は49.2%と推計されました(→出典)。
2001年にオーストラリアで行われた調査では、ペルシャ230頭を対象とした疾患遺伝子の保有率調査が行われ、シドニーでは45%、ブリスベンでは42%という非常に高い割合で最低1本の変異遺伝子を抱えていたと報告されています(→出典)。
2000年12月から2002年4月の期間、フランスの調査チームがリヨンとアルフォールにある動物病院で220頭のペルシャを対象として行った調査では、超音波検査で少なくとも1つの嚢胞が認められたポジティブが41.8%だったと報告されています(→出典)。
2001年にイギリスで行われた調査では、専門医のところに送られてきた86頭のうち49頭(57%)、他の疾患で病院を受診した46頭のうち16頭(34.8%)において、超音波検査で少なくとも1つの嚢胞が見つかり、全体の有病率は49.2%と推計されました(→出典)。
猫伝染性腹膜炎(FIP)
猫伝染性腹膜炎(FIP)とは、猫腸コロナウイルスが突然変異を起こして強い病原性を獲得し、腹膜炎を特徴とする激しい症状を引き起こす致死性の高い病気。今現在、病原性の低い「猫腸コロナウイルス」(FECV)と致死性の高い「猫伝染性腹膜炎ウイルス」(FIPV)を事前に見分ける有効な方法は存在していません。ひとたび発症してしまうと効果的な治療法がなく、二次感染を防ぐための抗生物質の投与、免疫力を高めるためのネコインターフェロンの投与、炎症を抑えるための抗炎症薬の投与などで様子を見るというのが基本方針です。
有病率・発症リスク
1986年12月から2002年12月の16年間、ノースカロライナ州立大学付属の動物病院を受診した11,535頭(純血種2,024頭)の猫を対象とし、猫伝染性腹膜炎(FIP)の発症リスクが検証されました(→出典)。その結果、全体の0.52%に相当する60頭の猫でFIPと診断され、雑種(0.35%)よりも純血種(1.3%)のほうが発症しやすい傾向が確認されたといいます。また品種と発症頻度を統計的に検証したところ、ペルシャの発症頻度が0.8%(4/481)で、雑種より2.4倍も発症しやすいことが明らかになりました。調査チームはFIPの発症メカニズムは多因子的であることを認めつつも、ある特定の品種でかかりやすい傾向がある事実は否定できないとしています。
下部尿路症候群
下部尿路症候群(LUTD)とは、膀胱から尿道口をつなぐまでのどこかに結石などを生じてしまう病気。猫ではシュウ酸カルシウム結石やストラバイト結石が大半を占めています。診断は尿内の結晶検査やエックス線撮影で下します。治療は結石の除去と食事療法がメインです。
発症リスク
2001年、アメリカ・パデュー大学の調査チームは1980年から1997年の17年間における医療データを北米とカナダにある複数の獣医教育大学から集め、下部尿路症候群(LUTD)を発症した猫22,908頭と未発症猫263,168頭の比較を行いました(→出典)。その結果、ペルシャにおける膀胱結石の発症リスクが標準の2.1倍、先天的な理由によってLUTDを発症するリスクが2.5倍であることが確認されたといいます。
またミネソタ大学の調査チームが1981年から1997年の期間、ミネソタ尿石センターを受診した尿路疾患を抱えた猫(シュウ酸カルシウム結石7,895頭+ストラバイト結石7,334頭)と北米とカナダの動物病院を受診した尿路疾患を抱えていない猫150,482頭のデータを比較したところ、ペルシャがシュウ酸カルシウム結石を発症する確率は標準の3.5倍、ストラバイト結石を発症する確率は1.4倍に達することが明らかになったといいます(→出典)。
またミネソタ大学の調査チームが1981年から1997年の期間、ミネソタ尿石センターを受診した尿路疾患を抱えた猫(シュウ酸カルシウム結石7,895頭+ストラバイト結石7,334頭)と北米とカナダの動物病院を受診した尿路疾患を抱えていない猫150,482頭のデータを比較したところ、ペルシャがシュウ酸カルシウム結石を発症する確率は標準の3.5倍、ストラバイト結石を発症する確率は1.4倍に達することが明らかになったといいます(→出典)。
レーベル先天黒内障
レーベル先天黒内障とは、眼球に外見的な異常はないのに生まれつき目が見えない眼科系疾患。診断は眼底検査や視力の電気的な検査(網膜電図)で下します。根本的な治療法はありませんので、猫も飼い主も視力障害と付き合いながら暮らしていくことになります。
疾患遺伝子保有率
2016年、猫の遺伝子を全て解析するプロジェクト「99 Lives Cat Genome Sequencing Initiative」は、3頭の猫を対象とした全ゲノムシーケンス(WGS)を行い、ペルシャでたびたび報告されているレーベル先天黒内障という眼科系疾患の原因遺伝子特定を試みました(→出典)。その結果、「AIPL1」と呼ばれる遺伝子の変異(c.577C?>?T)が疾患の発症に関わっている可能性が浮上してきたといいます。その後さらに40品種に属する1,700頭の猫を対象として「AIPL1」の変異を調査してみた所、ペルシャの血統が混じった品種でのみ確認され、その保有率は1.15%であることが明らかになったとのこと。調査チームは具体的な品種名としてペルシャのほか、スコティッシュフォールド、セルカークレックス、ブリティッシュショートヘア、エキゾチックショートヘア、ヒマラヤンを挙げています。
流涙症・短頭種気道症候群
流涙症とは眼球で生成された涙をスムーズに排水することができず、絶えず涙目の状態が続いてそのうち目頭が変色してしまう病態。短頭種気道症候群とは、マズルが短いため呼吸に難をきたしてしまう呼吸器系の病気。
鼻ぺちゃとの関係
イギリスのプリマス大学とエジンバラ大学からなる共同チームは2015年4月から6月の期間、中国、イギリス、その他の国に暮らす猫の飼い主に対しオンラインのアンケート調査を行うと同時に、正面と真横から撮った猫の顔写真を送ってもらいました。顔写真から「鼻位置比率」(NP)と「マズル長比率」(M)という2つの指標を計算し、猫の生活の質と絡めて調べてみた所、「鼻位置比率」と「マズル長比率」の値が低いほど呼吸に難を抱えている割合が増え、また活動性の低下や涙やけ(流涙症)の報告率も高まったと言います。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症とは、真菌の一種である皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)が感染することで発症する病気のこと。「皮膚真菌症」や「白癬」も呼ばれ、人間の足に発症した場合は「水虫」と呼ばれることもあります。診断は、患部から採取した菌のサンプルを培養することで下します。治療法は抗真菌薬の内服や抗真菌薬の入ったローションや軟膏などの塗布がメインです。
菌の保有率
2016年、ブラジル・サンパウロ大学獣医学部のチームはサンパウロの中心街にある猫の繁殖施設から61頭のペルシャ(オス猫18+メス猫43/平均37.7ヶ月齢)をランダムで選別し、被毛から白癬菌(水虫と同系列の菌, 皮膚糸状菌とも)が検出されるかどうかを調べました。その結果、収集されたサンプルの83.6%(51個)で菌が検出され、それらは全てイヌ小胞子菌(Microsporum canis)だったと言います。また年齢や性別と感染率とは無関係だったとも。
肥満
肥満とは脂肪細胞に過剰な脂肪が蓄積されている状態のこと。いわゆる「デブ猫」。診断は体型を目視チェックで評価するBCS(ボディコンディションスコア)や体重測定で下します。治療法はダイエットです。
ペルシャのBCS
2014年、オランダ・ユトレヒト大学獣医学部は2つのキャットショーに参加していた22品種・268頭の猫を対象とし、体型(BCS)を9段階で評価していきました(→出典)。その結果、体重過多の目安であるBCS7以上が4.5%で見られ、特に不妊手術を受けた猫で数値が高くなる傾向にあったといいます。さらに品種別で体型を評価していった所、全体平均が5.55だったのに対し、ペルシャ11頭の平均が6.27±1.1と標準以上の値を示したといいます。
水頭症
水頭症とは脳脊髄膜の中を流れる脳脊髄液の流れが悪くなり、脳内に異常な量の髄液が溜まってしまう病気。診断はエックス線、CTスキャン、MRIなどを通して得た画像、および脳脊髄液検査などで下します。治療法は脳圧を下げるための副腎皮質ホルモン薬や降圧利尿薬の投与がメインです。脳と心臓や腹腔をバイパス手術する方法もあります。
鼻ぺちゃとの関係
ドイツにあるユストゥス・リービッヒ大学ギーセン獣医科学部のチームは、極端な鼻ぺちゃを特徴とする「ピークフェイス」と呼ばれるペルシャ(47頭)と、通常の短毛種(10頭)、および両者の中間にある「ドールフェイス」(45頭)と呼ばれるペルシャを対象とし、MRI画像やCTスキャン画像から頭蓋骨の形、脳室の容積、脳実質の容積にどのような違いが見られるかを検証しました。その結果、ペルシャで見られる極端な鼻ぺちゃが頭蓋骨の形状を変形させ、これが脳室拡大や水頭症の原因になっている可能性が高いとの結論に至っています。
眼瞼内反
眼瞼内反とは、主として下まぶたが眼球の方へ反り返り、被毛が角膜をこすることで炎症や潰瘍などを引き起こしてしまう眼科系の病気。診断は眼球表面の診察やまぶたの内反を視認することで下します。治療法は角膜に接触している被毛の除去や手術によって下瞼の位置をずらす内反矯正手術がメインです。
鼻ぺちゃとの関係
2009年、イギリスにあるケンブリッジ大学の獣医学チームは2003年から2008年の期間、眼瞼内反症と診断された猫50頭を対象とした後ろ向きの調査を行いました(→出典)。その結果、ペルシャが5頭(10%)、メインクーンが3頭(6%)という高い割合で含まれていたといいます。極端な短頭(鼻ぺちゃ)がまぶたの内反を引き起こし、被毛による眼球表面への擦過傷が増え、違和感を取り除こうと猫が目をこすることでさらに症状が悪化するものと推測されています。
難産
難産とは出産に際して胎子をスムーズに体外に分娩することができない状態のこと。胎子が大きすぎて母猫の産道を通過できない場合は、帝王切開が行われることもあります。
発生率
α-マンノシドーシス
α-マンノシドーシスとは、糖蛋白質に含まれる糖鎖と呼ばれる部分を加水分解する酵素が生まれつき欠損している疾患。α-マンノシダーゼという酵素が欠落している場合は「α-マンノシドーシス」と呼ばれます。症状は発育の遅延、特異な顔貌、肝臓の腫大、視覚系の異常、神経系の障害などで、遺伝形式は常染色体劣性遺伝と考えられています。
ペルシャ型の発症パターン
酵素活性が半分ほど生きている軽めのα-マンノシダーゼが長毛種で多いのに対し、酵素活性が2%程度まで激減している重症のα-マンノシダーゼはペルシャのみに見られることから、「α-マンノシダーゼ・ペルシャ型」と呼ばれることもあります。根本的な治療法はなく、多くの場合生後6ヶ月を迎える前に命を落とします(→出典)。