トップ猫の健康と病気猫の感覚器の病気猫の目の病気眼瞼内反症

猫の眼瞼内反症~症状・原因から予防・治療法まで

 猫の眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

猫の眼瞼内反症の病態と症状

 猫の眼瞼内反症とは、まぶた(眼瞼)が内側に曲がりこんだ状態を言います。 猫の眼瞼内反の模式図  猫のまぶたは通常、内側と外側についている靭帯(じんたい)と呼ばれるケーブルによって形が保たれています。しかし何らかの理由でこの靭帯が引っ張られたり、逆にゆるんだりすると、まぶたの位置がおかしくなり、主に下のまぶたが内側に反り返ってしまうことがあります。この状態が「眼瞼内反」です。また逆に、まぶたが外側に反り返ってしまった状態は「眼瞼外反」と呼ばれます。
 内側に反り返ったまぶたは、まばたきするたびに眼球の表面にある角膜を刺激して、以下に示すような症状を見せるようになります。
眼瞼内反症の主症状
猫の眼瞼内反症~まぶたが眼球に向かって内反してしまっている
  • 結膜炎症状
  • 角膜炎症状
  • 前足で目をこすろうとする
  • 目やにが増える
  • 流涙症(涙が増える)
  • まぶたがけいれんする

猫の眼瞼内反症の原因

 猫の眼瞼内反症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
眼瞼内反症の主な原因
  • 遺伝 まぶたの周辺にある組織が生まれつきおかしな状態にあると、生後間もなく眼瞼内反症を示すことがあります。発症するのは、早ければ生後2~6週齢頃から、遅くとも1歳未満です。好発品種は、ペルシャヒマラヤンといった鼻ペチャ猫です。
  • 体重減少 極端に体重が減り、眼球を入れている眼窩(がんか)と呼ばれる部分の脂肪が目減りすると、眼球自体が後ろに下がったような状態になります。その結果、前の部分に生じた余った空間にまぶたが入り込み、内反を起こしてしまうことがあります。
  • けいれん 結膜炎角膜炎に伴う眼瞼の痙攣(けいれん)によって、一時的にまぶたが内側に反り返ってしまうことがあります。

猫の眼瞼内反症の治療

 猫の眼瞼内反症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
眼瞼内反症の主な治療法
  • 毛を除去する  角膜炎結膜炎を引き起こしている被毛を剃ってしまうことがあります。
  • 内反矯正手術  まぶたの変形が重度の場合は、手術による整形を行います。猫の眼瞼内反症に対する外科手術~Hotz-Celsus法 猫が1歳未満で、まだ完全には成熟していない状態にある時は、一時的にまぶたが内側に入り込まないように縫い合わせてしまいます。猫が1歳を超え、体が完全に成熟した状態にある時は、皮膚の切除術が行われます。具体的には、まぶたの下や横の皮膚を切り取って縫い合わせることで、内反したまぶたを強引に正常な状態に戻します(Hotz-Celsus法/外眼角形成術)。