9月30日
肥満によって膝に関節炎を抱えている猫では、肘関節にまで炎症が広がってしまうリスクを抱えていることがわかりました。調査行ったのは、スウェーデン・ウプサラ大学のチーム。膝に関節炎を抱えた太り気味の猫7頭(平均体重5.19kg/BCSは9段階のうち7.0)と適正体重の猫24頭(平均体重4.71kg/BCSは9段階のうち5.8)を対象とし、四肢に対する体重のかかり方をリアルタイムでモニターする「Animal Walkway System」という機器を用いて歩行分析を行いました。その結果、適正体重の猫では「前足:後足=1.26:1」だったのに対し、太り気味の猫では「前足:後足=1.42:1」だったと言います。
「膝に関節炎を抱えたデブ猫では前足への負担が大きい」というこの結果は、「太る→膝に関節炎が発生する→痛いので前足に体重を掛ける→肘に炎症が波及する→結局運動しなくなる→さらに太る」という一連の悪循環を生むものです。循環を予防するためには、まずスタート地点である「太る」を解消することが重要と言えそうです。 Evaluation of motion symmetry in overweight cats with osteoarthritis in the stifle joint using a pressure sensitive mat technique
9月29日
1年間に売買される犬や猫のうち、流通過程で死んでしまう個体の数が、行政による年間殺処分数の約18%に相当する「23,181匹」であるというおぞましい現実が明らかになりました。調査を行ったのは朝日新聞とAERA。元データとなったのは、2013年9月に施行された改正動物愛護法により、ペット関連業者に提出が義務付けられた「犬猫等販売業者定期報告届出書」です。この届出書の内容を2013年度(2013.9~2014.3)と2014年度(2014.4~2015.3)という区分で独自に集計したところ、以下のような実態が明らかになったと言います。
犬猫の流通数と死亡数
- 2013年度
・犬の流通数=37,0894匹
・猫の流通数=72,569匹
・流通過程での犬猫死亡数=17,038匹
※年度の途中で法が施行されたため実数は少ない。 - 2014年度
・犬の流通数=617,009匹
・猫の流通数=133,554匹
・流通過程での犬猫死亡数=23,181匹
「犬猫等販売業者定期報告届出書」に死因については報告義務がないため、2万匹を超える犬や猫たちが一体どのような理由で死に至ったのかはわかりません。しかし、データとして最も時間的に近い平成25年度(2013.4~2014.3)における行政の犬猫殺処分数「128,241匹」(犬28,570+猫99,671)の、およそ18%に相当するという現実は到底無視できるものではないでしょう。
数字に関する詳しいレポートは、2015年10月発売の「AERA」、およびネット記事「sippo」内に記載されます。
9月28日
猫エイズを引き起こすことで知られるFIVには、「A~E」という従来の5種分類法では到底カバーしきれないくらい、たくさんの亜種が存在している可能性が示されました。調査行ったのは、イギリス・グラスゴー大学のウイルス研究センター。人間にエイズを引き起こす「HIV」で、自然発生的な遺伝子組み換えが頻繁に発生することに着想を得たチームは、同じレトロウイルス科に属する「FIV」でも同様の現象が起こるに違いないとの仮説を立て、実地調査に乗り出しました。FIVに感染した猫の血液を、テネシー州メンフィス(27頭)とイリノイ州シカゴ(16頭)から採取し、ウイルスの最外層に当たる「エンベロープ」の形成に関わる「エンベロープ遺伝子」(env gene)を、7つのスパン(区画)に分割した上で精査しました。数字は含まれる塩基(A, G, C, T)の数を示しています。
「env gene」のスパン
- 第1スパン=1~354
- 第2スパン=355~564
- 第3スパン=565~1272
- 第4スパン=1273~1608
- 第5スパン=1609~1868
- 第6スパン=1869~2255
- 第7スパン=2256~2604
この事実から研究チームは「このまま自然発生的な遺伝子組み換えが進行していくと、既存のものとは全く違うエンベロープを持ったウィルスが生まれるかもしれない」との結論に行き着きました。この事はつまり、ウイルスに対応したワクチンを製造しようとする時、それだけ多くの種類を考慮しなければならないことを意味しています。一時期市場に流通した猫エイズワクチンが突如として姿を消しましたが、再び登場するためには、レトロウイルスが自発的におこす「遺伝子組み換え」というハードルを越えなければならないでしょう。 Feline immunodeficiency virus env recombinants are common in natural infections
9月25日
猫アレルギーによる症状を軽減するためには、猫を遠ざけるのではなく、逆に猫に埋もれて生活した方がよいかもしれないという可能性が示されました。調査を行ったのはアメリカとオーストラリアの共同研究チーム。猫アレルギー患者を「猫を飼っていないグループ」と「猫を飼っているグループ」とに分けた後、それぞれのグループに猫アレルゲン(Fel d 1/Fel d 4/Fel d 7/Fel d 8)を接触させ、血液中でどのような免疫反応が起こるのかを精査しました。結果は以下です。
猫の有無と免疫反応
- 猫を飼っていないグループ アレルゲンによって活性化されたTh2細胞は、B細胞における免疫グロブリンE(IgE)の産生を促し、ヒスタミンの放出を増やして喘息へとつながっている。
- 猫を飼っているグループ アレルゲンによって活性化されたTh2細胞は、B細胞における免疫グロブリンG4(IgG4)の産生を促し、免疫細胞表面にあるFcレセプターの機能を抑えることで炎症を軽減している。
9月22日
ガンの発生に関係があると疑われている新種のガンマウイルス「FcaGHV1」のヨーロッパにおける感染率を調査した結果、飼い猫においても非常に高い確率で保有しているという事実が明らかになりました。調査を行ったのはドイツとオーストリアの共同研究チーム。2014年、アメリカの調査班がネコ科動物の血液中に発見した新種のガンマウイルス「FcaGHV1」(Felis catus gammaherpesvirus)が、ヨーロッパにも存在しているのかどうかを確かめるため、ドイツ(402頭)とオーストリア(60頭)の両国において、大規模な血液検査を行いました。その結果、ネコエイズ(FIV)にかかっていない飼い猫における陽性率は16.2%だったと言います。また感染率を高めるリスクファクターとして、以下のような項目を挙げています。
FcaGHV1のリスクファクター
- オス猫→13.32倍
- FIV陽性→4.5倍
- 5.5歳以上→2.36倍
9月17日
生後間もない赤ん坊を対象とした調査により、ペット由来のビフィズス菌を腸内に保有している赤ん坊は、アレルギーになりにくいという可能性が示されました。調査を行ったのはフィンランド・トゥルク大学のアレルギー研究班。出産して間もない母親の中から、何らかのアレルギーを持っている人を選抜し、「犬、猫、ウサギのいずれかを飼っているグループ」(51人)と「ペットを飼っていないグループ」(64人)の2つに分けました。そして各グループの赤ん坊が生後1ヶ月を迎えたタイミングで、オムツの中からうんちのサンプルを取り、主に動物の腸内で発見されるビフィズス菌の一種「B. thermophilum」および「B. pseudolongum」の有無を調査しました。
その結果、「ペットを飼っているグループ」の陽性率がおよそ33%だったのに対し、「ペットを飼っていないグループ」のそれは半分以下の14%にとどまっていたと言います。さらに生後6ヶ月を迎えたタイミングで、代表的な物質(牛乳・卵白・小麦・タラ・大豆・カバノキ・草・猫・犬・じゃがいも・バナナ etc)に対するアレルギーテストを行ったところ、少なくとも1つの物質にアレルギー反応を示した19人の中に、「B. thermophilum」を保有している者はただの1人もいなかったと言います。
こうした事実から調査班は、「動物由来の腸内細菌には、赤ん坊のアレルギー反応を抑える効果があるかもしれない」との結論に至り、「少なくとも赤ん坊のアレルギーを心配してペットを手放す必要はない」との見解を示しています。今後の課題は、以下に示すようないくつかの疑問点を明らかにすることだといいます。
ペット由来の腸内細菌
- 腸内細菌はどのようにしてから赤ん坊に移ったか?
- 腸内細菌はアレルギー反応と因果関係にあるのか?
- アレルギーの抑制作用は赤ん坊が成長してからも続くのか?
9月16日
「肥満」がもたらす健康の変化に関し、人間、犬、猫を対象とした比較分析が行われ、人間と猫の間にある共通点と相違点が明らかになりました。2015年までに世界中でおよそ23億人の成人が「太り気味」(overweight)になり、7億人がさらにその上を行く「肥満」(obese)に陥ると推計されている現状において、太っている人の割合を減らすことは先進各国の急務となっています。今回、スイス・チューリッヒ大学のチームが行ったのは、「犬」と「猫」という身近な動物と人間の体を比較することにより、肥満のメカニズムをより正確につかもうという試みです。得られた知見をざっと列挙すると、およそ以下のようになります。
肥満と人・犬・猫
- 犬では29~34%が「太り気味」、5~8%が「肥満」 と推定されている
- 猫では19~29%が「太り気味」、6~8%が「肥満」と推定されている
- 猫の肥満と密接に関係ある要因は、運動不足、老化、オス、去勢済み、品種など
- 肥満は2型糖尿病、脂肪肝、泌尿器系の病気、歩行障害、皮膚障害を引き起こす
- 太り気味の短毛種では糖尿病の発症と「MC4レセプター」遺伝子の間に何らかの関係があるようだ
- 肥満体の人間や猫の脂肪細胞では、「アディポカイン」(脂肪細胞から分泌される生理活性物質)の乱れが見られる
- 肥満猫の体内では、アディポカインの一種である「アディポネクチン」の濃度が著しく低い
- 体型にかかわらず、アディポカインの一種である「レプチン」の濃度が上がると、インスリン抵抗性も上昇する
- 性別にかかわらず、不妊手術後の猫の体内ではレプチンの濃度が高まる
- 人間と猫ではインスリン抵抗性が上昇すると2型糖尿病に発展するが、なぜか犬ではそうならない
- 肥満猫においてはインスリンに対する感受性が健常な猫に比べて50%も低下する
- 猫は1kg太るたびにインスリン感受性が30%ほど減少する
- 肥満猫が糖尿病を発症する割合は健常猫の4倍
- オス猫ではメス猫よりもインスリン感受性が最初から低い可能性があり、その分糖尿病発症しやすくなる
- 肥満に起因する猫のインスリン抵抗性は、減量することによって元に戻る可能性がある
- 人間や猫では膵臓内でインスリンを生成する「β細胞」にアミロイド沈着が起こりやすい
- 肥満猫では人間同様、遊離脂肪酸、VLDL、トリグリセリド、総コレステロールの増加といった脂質の代謝異常が見られる
- 食物繊維は肥満の解消に有効である
- 人間の糖尿病患者と健常者の腸内細菌では違いが見られるが、こうした違いは猫にはないらしい
9月14日
胃酸の抑制などに用いられる「プロトンポンプ阻害薬」(PPI)に、各種ガンに対して行われる化学療法の効果を高める可能性があるかどうかが検討されています。研究行っているのは、イギリス、イタリア、スペインなど複数の国から成る共同チーム。かねてから、ガン細胞は正常細胞とは違った代謝経路でエネルギーを獲得しており、その結果として細胞外の酸性度を高くする(=pHを低下させる)という特徴を有している点は知られていました。今回チームが着目したのは、細胞外の酸性度を低くする(=pHを高める/アルカリ化する)ことで、化学療法で用いられる抗がん剤の治療効果を高めると同時に、ガン細胞の浸潤性を低下させることができるかもしれないという可能性です。
上記可能性を検証するため、通常の化学療法に反応しなかった患畜を対象とし、プロトンポンプ阻害薬(PPI)によるガン組織のアルカリ化と、従来の化学療法を組み合わせた混合治療が施されました。その結果、重大な副作用を引き起こすことなく、ガン組織の縮小が見られたと言います。
こうした事実から研究チームは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)が人間に対してのみならず、犬や猫といったペット動物に対しても抗がん作用を発揮し得る可能性を確認しました。プロトンポンプ阻害薬(PPI)の持つメリットをまとめると以下のようになります。
PPIのメリット
- 酸性度が高いガン細胞周辺でのみ作用する
- 副作用が少ない
- 抗がん剤の投与量と副作用を減らせる
- 飼い主の経済的負担を減らせる
- 使用するに当たって大きな制約がない
9月14日
体の一部を失うことで発生する「幻肢痛」に関し、東京大学のチームがメカニズムの一部を解明しました。研究を行ったのは、東京大学医学部附属病院の緩和ケア診療部、住谷昌彦准教授を中心とするチーム。体の一部を失ったにも関わらずなぜか痛みだけが残る「幻肢痛」(げんしつう, phantom pain)の強さが、いったい何によって左右されるのかを確かめるため、後天的に片腕を失った被験者に「両手干渉課題」というテストを受けてもらいました。このテストは、失った方の手で円を描く動作を頭の中でシミュレーションしながら、健常な方の手で実際に直線を引くというものです。「直線をうまく書けている」ことが「脳内でのシミュレーションがうまくできていない」ことを意味し、逆に「直線をうまく書けていない」ことが「シミュレーションがうまくできている」ことを意味しています。 その結果、患側の手で円を描く動作を頭の中でうまくシミュレーションできていない人、すなわち健側で書いた直線のゆがみが小さい人の方が、強い幻肢痛を感じているという傾向を見出したと言います。
今回の実験で得られた知見は、幻肢痛に苦しむ患者さんたちの疼痛緩和に役立てていく予定だということです。 失った手足の痛みを感じる仕組み 現在の日本の法律では、猫の両手の指先を第一関節から切断してしまう「抜爪術」が容認されています。しかし、神経生理学的に人間と同じ構造を持っている猫に、人医学である「幻肢痛」が存在しないと考えるのは不自然です。手術の目的としては、「爪とぎで家具を傷つける」とか「赤ちゃんをひっかくかもしれない」といったものが多いと考えられますが、指を切断することだけが解決策ではありません。多少でもお考えの方は、以下のページに代替案をまとめてありますのでご参照ください。
9月12日
アメリカのブリーダーがこのたび、既存の品種をかけ合わせ新しい品種を作り出し、公認を待たずして全世界に公表しました。 1つは「スフィンクシーボブ」(Sphynxiebob)、もう1つは「バンボブ」(BamBob)です。新しい品種を作出したのはアメリカで「Lil Nudists Cattery」というキャッテリを営むエイプリル・アーグイン(32)という女性ブリーダー。「スフィンクシーボブ」(Sphynxiebob)はスフィンクスとボブテイル(短尾種)の交配種で、予定価格は2,800ドル。「バンボブ」(BamBob)はバンビーノとボブテイルの交配種で、予定価格は3,500ドル。現在は、レア品種の登録を行っている「REFR」(Rare and Exotic Feline Registry)にスタンダードを提出し、公認を目指して画策しているとのこと。なお以下は、元記事に対して寄せられた意見の抜粋です。
見た人の反応は?
- 本当に頼むからそういう可哀想な事はやめてくれ。
- 残酷で不必要。こういう変異種は絶対に公認しないでほしい。
- 保護猫がたくさんいるのに数千ドル払うだなんて…。
- 結局お金だろ?猫アレルギーの人のために作っただって?アホか!(以下省略)
9月7日
犬用スポットオン製品の誤用によるペルメトリン中毒の症例から、この成分が猫に引き起こす主な症状が明らかになりました。症例を報告したのはイタリア・ピサ大学が中心となったチーム。飼い主が誤って犬用スポットオン製品を猫に使用してしまったために発生した「ペルメトリン(permethrin)中毒」の4例を検証し、この成分が引き起こす主な症状を明らかにしました。具体的には以下です。
ペルメトリン中毒の症状
- 呼吸が早くなる
- ビクビク細かく痙攣する
- 全身の震え
- 引きつけ
- よだれをたらす
- 運動失調
- 筋肉が部分的に筋張る
9月4日
保護者と被保護者の間に存在する愛着の度合いを測る「SST」というテストにより、猫は人間の子供や犬とは少し違った精神構造を持っている可能性が示されました。実験を行ったのは、イギリス・リンカーン大学のチーム。人間の幼児と保護者の間にある愛着を測るために開発された「ストレンジ・シチュエーション・テスト」(SST)と呼ばれるプロトコルを猫用にアレンジし、猫は飼い主に対していかなる愛着を抱いているのかが観察されました。18組のペアを観察した結果、「飼い主が部屋から出ていくという状況で鳴く頻度が増える」という項目以外、猫と飼い主の間の愛着を示す証拠は何一つ見つからなかったと言います。
こうした結果から実験者たちは、「少なくとも猫は、保護者(親や飼い主)を安心と安全のよりどころとして愛着を示してくれる人間の子供や犬とは違った精神構造を持っているのかもしれない」との仮説に行き着きました。 今回の実験で示されたのは「猫は人間の事を安心安全のよりどころとはあまり考えていない」ということであり、決して人間に対して愛情を抱いていないということではありません。もし猫に愛情と言うものがないのなら、「トイレやお風呂場で飼い主の出待ちをする」とか、「飼い主の脇の下に顔を埋めて眠る」といった行動は、全く説明がつかなってしまいます。 猫を対象とした今回のSSTテストでは、人間や犬で見られるような「保護者が戻ってきたら喜ぶ」といった分かりやすいリアクションが観察されなかったようです。この現象には以下に示すような理由が考えられます。
人間に対して行われるSSTは、生後9~18ヶ月の幼児が対象です。また犬は成長してからも幼い時の特徴を残す「ネオテニー」の度合いが強い動物とされています。一方、今回のテストの対象となった猫は、1~9歳までの成猫です。また猫は一般的にネオテニーの度合いが低い動物とされています。つまり本来幼児や幼獣に対して用いられるSSTを、完全に成長した猫に対して適応していることになります。これでは子供や犬が示す反応とは違う反応を示すのは当然でしょう。
幼児を対象としたSST
PLOS ONE
9月3日
2,000頭以上の甲状腺機能亢進症を患った猫を対象とした調査により、外科手術や放射性ヨード治療を施していない猫の甲状腺の病変は、時間とともに着実に進行するという事実が確認されました。調査を行ったのはアメリカ・コーネル大学を中心としたチーム。「甲状腺機能亢進症」と診断された後、放射性ヨード治療に回されてきた猫2,096頭を対象とし、最初の診断が下されてからの時間経過と、甲状腺の病変にどのような関連性があるのかが検証されました。以下は病気の診断から治療施設を訪れるまでに経過した時間と、各層に属する患猫数の内訳です。
診断からの経過時間
- 1年以下=1,773頭
- 1~2年=169頭
- 2~3年=88頭
- 3~4年=35頭
- 4~6.1年=31頭
1年以下→4~6.1年の推移
- 甲状腺ホルモン(T4)レベル100 → 315nmol/l
- 腫瘍の体積1.6 → 6.4立方cm
- 巨大腫瘍(4立方cm以上)の割合5.1 → 88.6%
- 胸腔内への腫瘍拡大3.4 → 32.3%
- 悪性(ガン)と疑われる割合0.4 → 19.3%
- 放射性ヨード(ヨウ素)治療
- ヨウ素131を静脈か皮下注射によって投与する、甲状腺機能亢進症に対する根治療法の一つ。ヨウ素は甲状腺に蓄積され、病変部を選択的に破壊する。一般的に、治療を受けた猫の80%以上は3ヶ月以内に甲状腺機能が正常化し、95%の猫は6ヶ月以内に正常化する。
9月2日
保険会社への請求額を元にして猫の「難産」について統計をとったところ、発生率には品種間で大きな格差があることが判明しました。調査を行ったのはスウェーデン農科学大学が中心となったチーム。1999年から2006年までの間、スウェーデンのペット保険会社に寄せられた「難産」に対する払い戻し請求を基にして、品種ごとの発生率を調査したところ、猫全体における発生率は1万頭につき22件(0.22%)、純血種では67件(0.67%)、雑種では7件(0.07%)という結果が出たと言います。さらにこの発生率を品種ごとに調べたところ、大きな格差があることが判明しました。標準の難産発生率を「1」とした時の、各品種における相対的な割合は以下です。
猫の難産発生割合
- N.フォレストキャット → 0.38
- メインクーン → 0.48
- ペルシャ → 0.49
- コーニッシュレックス → 0.5
- アビシニアン → 1.5
- ラグドール → 1.5
- バーマン → 1.7
- オリエンタル → 2.2
- B.ショートヘア → 2.5
残念ながら今回の調査では、難産に陥った猫達の間に共通の要因を見つけ出すことはできませんでした。しかし品種間で難産発生率に大きな格差があるという事実は、素人が安易に繁殖に手を染める「バックヤードブリーディング」に対する抑止力として働くことが期待されます。 Dystocia in the cat evaluated using an insurance database
9月1日
太り気味の猫の体重を適正値に近づけると、身体的な健康のみならず、精神的な健全さも高まることが、実験によって改めて確認されました。実験を行ったのは、アメリカバージニア州の獣医大学とチェコのヒルズから成る共同チーム。身体検査により「太り気味」、もしくは「肥満」と判定された猫132頭に対し、ダイエットに特化した療法食を与え、月に1回の検査を挟みながら合計6ヶ月間経過を観察しました。
その結果、83%の猫においては11.0%(±1.8%)の体重減少が見られ、14%においては、スタート時点で目標としていた適正体重を無事に実現したといいます。また、太り具合の指標である「BCS」に関しては12~24週の間、体脂肪に関しては8~24週の間に減少が見られたそうです。さらに、月に1回行われた飼い主へのアンケート調査から見えてきたのは、「BCS」が低下傾向を見せ始めた12週目に一致する形で、猫の「活力」と「陽気さ」の評価値に向上が見られた点です。
こうした結果から研究チームは、ダイエット用の療法食には高い確率で太り気味の猫を痩せさせる効果があること、および体重が適正値に近づいた猫は精神面でも改善が見られることを、改めて確認しました。人間に例えると「体が軽くて何だか気分がいいな!」といった感覚に近いのかもしれません。 JFMS