猫向け寄生虫剤・医薬品
以下でご紹介するのは動物医薬品として承認されている猫向けの寄生虫駆除剤の一覧です。投与形式は全て滴下式(スポットオン)で、ピペット(醤油さし型)やシリンジ(注射器型)に入った液体薬剤を猫のうなじから肩甲骨にかけて垂らして使用します。駆虫対象と効果の持続期間の一覧表を以下に示します。
フロントライン®
「フロントライン®スポットオン」はフィプロニル(fipronil)を有効成分とする猫向けの寄生虫駆除剤です。ノミやダニに対しては1ヶ月程度の駆除および新規の寄生防御効果があるとされています。なおまったく同じ有効成分を含んだジェネリック(後発)商品としては「フィプロスポットキャット」と「マイフリーガード猫用」がありますが、添加剤まで同じとは限りません。
フロントライン®プラス
「フロントライン®プラス」はフィプロニルおよび(S)-メトプレンを有効成分とする猫向けの寄生虫駆除剤です。ノミに対しては1~1.5ヵ月間、マダニに対しては約3週間の駆除および新規の寄生防御効果があるとされています。また(S)-メトプレンによりシラミ(ハジラミ)の駆除効果、およびノミのすべての発育ステージ(卵・幼虫・さなぎ)を最大6週間阻害する効果もあります。なおまったく同じ有効成分を含んだジェネリック(後発)商品としては「キャットプロテクトプラス」「フィプロスポットプラスキャット」「マイフリーガードα猫用」がありますが、添加剤まで同じとは限りません。
ブラベクト®
「ブラベクト®」はフルララネル(fluralaner)を有効成分とする猫向けの寄生虫駆除剤です。1回の投与でおよそ3ヶ月間(12週間)、ノミとダニに対する駆除効果が持続するとされています。犬向け製品のようなチュアブル(経口投与)タイプはありません。
アドバンテージプラス
「アドバンテージプラス」はイミダクロプリド(imidacloprid)とピリプロキシフェン(pyriproxyfen)を有効成分とする猫向けの寄生虫駆除剤です。ノミの駆除と同時に、幼虫の脱皮を阻害することにより新たな産卵と寄生を予防する効果が1ヶ月程度持続します。
アドボケート®
「アドボケート®」はイミダクロプリド(imidacloprid)とモキシデクチン(moxidectin)を有効成分とする猫向けの寄生虫駆除剤です。ノミ・フィラリア・回虫・鉤虫・耳ダニに対する効果がおよそ1ヶ月間持続します。
レボリューション®6%
「レボリューション®6%」はセラメクチン(selamectin)を有効成分とする猫向けの寄生虫駆除剤です。ノミ・フィラリア・回虫・耳ダニに対する効果がおよそ1ヶ月間持続します。
レボリューション®プラス
「レボリューション®プラス」はセラメクチンとサロラネルを有効成分とする猫向けの寄生虫駆除剤です。ノミ・フィラリア・回虫・鉤虫・耳ダニ・マダニに対する効果がおよそ1ヶ月間持続します。
プロフェンダー®
「プロフェンダー®」はエモデプシド(emodepside)とプラジクアンテル(praziquantel)を有効成分とする猫向けの寄生虫駆除剤です。単回投与により回虫・鉤虫・条虫・瓜実条虫・多包条虫(エキノコックス)を90%以上の割合で駆虫できるとされています。
ブロードライン®
「ブロードライン®」は「フィプロニル」「(S)-メトプレン」「プラジクアンテル」「エプリノメクチン」を有効成分とする猫向けの寄生虫駆除剤です。ノミ・マダニ・回虫・鉤虫・条虫・瓜実条虫・多包条虫(エキノコックス)・フィラリア(犬糸状虫)に対する効果がおよそ1ヶ月間持続します。
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猫向け寄生虫剤・医薬部外品
以下でご紹介するのは医薬部外品として多く使用されている有効成分の安全性に関する情報の一覧です。数が多すぎて個々の商品までは紹介できませんので、具体的な製品名は「動物医薬品データベース」の主成分という項目に有効成分の名称を入力してご確認ください。
フェノトリン
「フェノトリン」は除虫菊の有効成分を人工的に生成した合成ピレスロイドの一種です。動物のノミやダニ、および人間の疥癬、アタマジラミの駆除などに用いられます。非常にたくさんの猫向け製品にも使われていますが、安全性に関しては疑問が残ります。
ピリプロキシフェン
「ピリプロキシフェン」は4-フェノキシフェノキシ構造を有する昆虫成長制御剤(IGR)の一種です。コナジラミ類、アブラムシ類、アザミウマ類の幼若ホルモンとして作用することで虫のサナギ化や成虫化を阻害し、最終的に殺虫効果を発現すると考えられています。猫向け製品としては、合成ピレスロイドとともに含まれることが多いようです。
ディート
「ディート」は蚊、ダニ、ノミ、ツツガムシ、ヒルなどに対する忌避効果を有する虫よけの一種です。殺虫効果まではありません。猫向け製品としては被毛に直接噴霧するスプレータイプが流通しています。グルーミングによって成分を舐め取ってしまう危険性がありますので要注意です。