ターキッシュバンの基本情報
- 原産
トルコ - 毛
セミロング・長毛 - 体重
4~7.5キロ - タイプ
ロング&サブスタンシャル
ターキッシュバンの歴史・ルーツ
ターキッシュバンの起源は、1955年に遡ります。トルコ南東部にあるバン湖で、「泳いでいる猫」をイギリス人観光客が発見しました。興味を持ったイギリス人は、そのうちの2匹をイギリスへ連れて帰り、その後1982年からはアメリカでも繁殖が始まりました。頭部と尻尾以外は白という特徴的なパターンは「バン・パターン」と呼ばれ、この猫の最大の特徴となっています。1995年、CFAに公認されました。
なお、WCFで公認されている短毛のターキッシュバンは「アナトリアン」(Anatolian, アナトリアとはトルコのかつての名称)、もしくは「ターキッシュショートヘアー」(Turkish Shorthair)と呼ばれ、主にオランダやドイツでブリーディングが行われています。
なお、WCFで公認されている短毛のターキッシュバンは「アナトリアン」(Anatolian, アナトリアとはトルコのかつての名称)、もしくは「ターキッシュショートヘアー」(Turkish Shorthair)と呼ばれ、主にオランダやドイツでブリーディングが行われています。
ターキッシュバンの特徴・性格
ターキッシュバンの特徴は、いわゆる「バン・カラー」と呼ばれる、頭部と尻尾以外は白という模様です。被毛は長いシングルコートで、冬にはふさふさですが夏にはかなり短くなり、季節によって被毛の長さがかなり変化します。別名「スイミングキャット」と呼ばれていますが、「水に入るのが好き」というよりは、「他の猫に比べると水を怖がらない」といった程度の意味合いです。被毛には防水性があるといわれています。
2012年、トルコ・クルッカレ大学の調査チームは、ターキッシュバン15頭と同じくトルコ原産のターキッシュアンゴラ26頭とを対象とし、被毛にどのような違いがあるのかを検証しました(→出典)。毛の直径や引っ張り強度、伸長性などを顕微鏡レベルで比較した所、ターキッシュアンゴラよりもターキッシュバンの被毛の方が強度が強く、逆にターキッシュバンよりものターキッシュアンゴラの方が伸長性が高かったといいます。また両品種ともアンダーコートを持たず、雑種の被毛直径(49.4μm~59.3μm)よりもかなり細い(アンゴラ 23.48μm | バン 25.62μm)毛を持っていることが明らかになりました。この調査では被毛密度が検査項目に入っていなかったので確証はありませんが、ひょっとしたらラッコのように細い毛が密生していることが「ターキッシュバンは泳ぎが得意」という逸話の元になっているのかもしれません。
2007年、年齢、性別、被毛の長さ、目の色がバラバラな47頭のターキッシュバンを対象として行われた調査では、性別と目の色によって血液に含まれる無機物の量に微妙な差があることが指摘されました。具体的には以下のようなものです。
バンの目の色と血清無機質
- オス>メスアルミニウム、バリウム、銅、マンガン、ストロンチウム
- 両目がブルー>その他アルミニウム、銅、マンガン、ストロンチウム、亜鉛
※その他=両目がカッパーもしくは一方がブルーで他方がカッパー
ターキッシュバンのお手入れ・注意点
シングルコートで毛玉が出来にくいですが、美しい被毛を保つため、一日一回のブラッシングかコーミングをしてあげましょう。
ターキッシュバンの動画
以下でご紹介するのはターキッシュバンの歴史や特徴を解説した動画です。
他の品種に比べて胸郭が立派なため重心がやや前方にあり、ブルドッグのような印象を与えます。独立心が旺盛なため、長時間の抱っこや撫で回しはあまり好まないようです。また、猫には珍しく水が好きで、中には泳ぐものまでいます。首筋にワンポイントのあるものは、地元では幸運のしるしとみなされているとか。
他の品種に比べて胸郭が立派なため重心がやや前方にあり、ブルドッグのような印象を与えます。独立心が旺盛なため、長時間の抱っこや撫で回しはあまり好まないようです。また、猫には珍しく水が好きで、中には泳ぐものまでいます。首筋にワンポイントのあるものは、地元では幸運のしるしとみなされているとか。
ターキッシュバンの病気
以下でご紹介するのは文献などで報告されているターキッシュバンに発症しやすい病気のリストです。外国のデータも含まれるため日本の猫には当てはまらない場合もありますが、好発疾患の知識は飼い主にとって重要なため記載しておきます。なお病気に関する詳しい内容や元となっているデータは以下のページで解説しています。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症とは、真菌の一種である皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)が感染することで発症する病気のこと。「皮膚真菌症」や「白癬」も呼ばれ、人間の足に発症した場合は「水虫」と呼ばれることもあります。診断は、患部から採取した菌のサンプルを培養することで下します。治療法は抗真菌薬の内服や抗真菌薬の入ったローションや軟膏などの塗布がメインです。
輸血における拒絶反応
輸血における拒絶反応とは、型が異なる血液を輸血することで赤血球が凝集や溶血を起こし、正常に機能しなくなってしまうこと。ターキッシュバンにおけるB型の割合は50%を超えていると推計されるため、万が一A型の血液を間違って輸血してしまった場合、重篤な拒絶反応が起こると考えられます。
新生子溶血
新生子溶血とは、B型の母猫がA型の子猫に対して初乳を与えたとき、拒絶反応が起こって赤血球が破壊されてしまう現象のこと。最悪のケースでは死亡してしまいます。もし母猫がB型で、生まれてきた子猫がA型というミスマッチが起こった場合、子猫の赤血球と母乳由来の血漿成分が拒絶反応を起こし、新生子溶血を引き起こしてしまう危険性が大です。
尿酸塩尿石症(?)
下部尿路症候群(LUTD)とは、膀胱から尿道口をつなぐまでのどこかに結石などを生じてしまう病気。猫ではシュウ酸カルシウム結石やストラバイト結石が大半を占めていますが、まれに尿酸塩(アンモニア・ナトリウム・シスチン・キサンチン)が結石を形成することもあります。診断は尿内の結晶検査やエックス線撮影で下します。治療は結石の除去と食事療法がメインです。ターキッシュバンでは6倍の発症リスクが報告されていますが、調査対象数が少ないため確定的なデータではありません。