キャットフードの種類
市販のキャットフードは含んでいる水分の量によりいくつかの種類に分類されます。毎日同じフードを食べていると、それほどグルメではない猫と言えども、たまに飽きが来てしまうこともあるでしょう。そんなときときは、ちょっと食感や匂いの違ったフードを与えてみると、食欲が回復することがあります。以下は水分含有量によるキャットフードの種類です。
ペットフード協会
ドライタイプ
ドライタイプとは水分含有量10%以下のキャットフードのことです。原材料を細かく砕いてとろとろの状態にし、エクストルーダー(押し出し成型機)と呼ばれる大型調理機の中を加熱・殺菌しながら通すことで製造します。機械の先端にある「DIE」と呼ばれる金型によって「三角」や「お魚」など粒の形が整えられ、カッターを高速回転させることでスパスパと切っていきます。
キブル(フード1粒1粒のこと)を切り出した後は、水分含有量が13%以上ではカビが生えたりするので12%以下に保つ必要があります。安全性を考慮して多くは水分含有量10%以下の表示をしているメーカーが多いようです。開封したら酸化が始まるため、開封後は直射日光を避けて密閉保存が必要となります。より詳しい製造方法に関しては、姉妹サイト「子犬のへや」内の「ペットフードができるまで」というページをご参照ください。
ウェットタイプ
ウェットタイプとは水分含有量75%以上のキャットフードです。いろいろな製造法がありますが、最も一般的なのは原材料を細かく砕いた後に増粘剤を加え、小さな塊(loaf)に成型するというものです。水分含量を高く保つため、パッケージするときに肉汁(gravy)を加えることもあります。製品を開封した時、ゼリーの中に肉塊が浮かんでいるように見えるのはこのためです。
においが強く肉の食感が残っているため、猫の満足度も高くなります。ただし価格がやや割高なことと、食べかすが残りやすいため歯石や口臭の原因になりやすいのが難点です。残した場合はラップして冷凍保存が必要です。
セミモイストタイプ
セミモイストタイプとはいわゆる「半生」のことで、水分含有量25~30%の発泡していないキャットフードを指します。作り方はドライフードと似ていますが、水分含量が比較的高いことから調理温度および機械から押し出す時の圧力が低めに設定されています。調理機から押し出された後の製造工程には、ドライフードで見られるような乾燥工程がありません。その代わり品質保持の為の添加物(砂糖や防カビ剤等)や水分保持のために湿潤調整剤が添加されます。なお水分含量は同じでも、加熱発泡処理されているものはソフトドライとして区別されます。
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キャットフードの食材・原材料とは?
キャットフードの成分は大きく「食材・原材料」と「添加物」とに分けられます。以下はエネルギー源となる「食材・原材料」の一覧リストです。「ペットフード公正取引協議会」における分類カテゴリに合わせてご紹介します。
肉類
肉類とは哺乳動物や鳥(家禽)の生肉、内臓と体の一部から生じる全ての副生物のことを指します。加工物であるミートミール、ミートボーンミール、チキンミールなども肉類に含まれます。
哺乳動物の具体例は牛(ビーフ)、豚(ポーク)、羊(マトン or ラム)、鹿(ベニソン)など。海外のフードメーカーが製造した珍しいものとしてはバイソン、カンガルー、ヤギといった肉もあります。
鳥(家禽)の具体例は鶏(チキン)、七面鳥(ターキー)、うずら、あひる(ダック)などです。
哺乳動物の具体例は牛(ビーフ)、豚(ポーク)、羊(マトン or ラム)、鹿(ベニソン)など。海外のフードメーカーが製造した珍しいものとしてはバイソン、カンガルー、ヤギといった肉もあります。
鳥(家禽)の具体例は鶏(チキン)、七面鳥(ターキー)、うずら、あひる(ダック)などです。
魚介類
魚介類には海でとれる産物およびその加工物と加工副産物のすべてが含まれます。フィッシュミール(魚粉)やフィッシュエキス(煮出し液)も魚介類の一種です。
魚類の具体例にはまぐろ(ツナ・まぐろ節)、かつお(かつお節)、あじ、いわし、カレイ、しらす、シロギス、アオギス、さけ(サーモン)、サバ、タイ、タチウオ、タラ、トビウオ、ニシン、ヒラメ、メンハーデンなどがあります。
甲殻類の具体例にはえびやかに、軟体動物の具体例にはたこやいかなどがあります。また貝類の具体例はほたて、さざえ、はまぐり、緑イ貝などです。
魚類の具体例にはまぐろ(ツナ・まぐろ節)、かつお(かつお節)、あじ、いわし、カレイ、しらす、シロギス、アオギス、さけ(サーモン)、サバ、タイ、タチウオ、タラ、トビウオ、ニシン、ヒラメ、メンハーデンなどがあります。
甲殻類の具体例にはえびやかに、軟体動物の具体例にはたこやいかなどがあります。また貝類の具体例はほたて、さざえ、はまぐり、緑イ貝などです。
穀類
穀類とは穀類の穀粒(大きな粒)、挽き割り(中くらいの粒)、穀粉(小さな粒)及びその加工物のことです。
具体的にはトウモロコシ(メイズ・コーン)やそれを砕いたコーンフラワー、小麦やそれを粉にしたり砕いた小麦粉やパン粉、米(玄米)やそれを粉にした米粉、ソルガム(モロコシ属)などが含まれます。また大麦、エン麦(オート, オーツ麦)のほか雑穀やミレットもこのジャンルです。
一般的に「グレインフリー」と呼ばれるフードでは上で述べたような様々な穀類が原材料から省かれています。また「グルテンフリー」といった場合は、特に小麦に含まれているグルテンが含まれていないフードのことを指します。
具体的にはトウモロコシ(メイズ・コーン)やそれを砕いたコーンフラワー、小麦やそれを粉にしたり砕いた小麦粉やパン粉、米(玄米)やそれを粉にした米粉、ソルガム(モロコシ属)などが含まれます。また大麦、エン麦(オート, オーツ麦)のほか雑穀やミレットもこのジャンルです。
一般的に「グレインフリー」と呼ばれるフードでは上で述べたような様々な穀類が原材料から省かれています。また「グルテンフリー」といった場合は、特に小麦に含まれているグルテンが含まれていないフードのことを指します。
豆類
豆類は豆そのものやその加工物、および加工する際に出た副生物全般を含みます。具体的には大豆、脱脂大豆、大豆ミール、きなこ、大豆粉(ソイフラワー)、おから、そら豆、小豆などです。
野菜類
野菜類には野菜やその加工物全般が含まれます。具体的にはにんじん、キャベツ、カボチャ、ほうれん草、トマトなどです。ケールやクレソンなども含まれます。含有量はそれほど多くないため大抵はラベルの後ろの方に記載されています。
糖類
糖類(とうるい)は栄養学的に炭水化物と呼ばれるもの全般を指します。炭水化物は通常、体内で分解してエネルギー源にできる糖質と、消化できない食物繊維に分けられますが、ペットフードのラベル上はそうした分類がなされず両者をひっくるめて「糖類」と表現しているようです。
具体的にはぶどう糖(グルコース)、果糖(フラクトース)、砂糖(ショ糖)、異性化糖、オリゴ糖類蜂蜜などが含まれます。また腸内細菌叢によって代謝される食物繊維の一部も便宜上糖類に含まれます。 例えばフラクトオリゴ糖(FOS)やマンナンオリゴ糖(MOS)などです。
具体的にはぶどう糖(グルコース)、果糖(フラクトース)、砂糖(ショ糖)、異性化糖、オリゴ糖類蜂蜜などが含まれます。また腸内細菌叢によって代謝される食物繊維の一部も便宜上糖類に含まれます。 例えばフラクトオリゴ糖(FOS)やマンナンオリゴ糖(MOS)などです。
乳類
乳類は生乳とその加工物や加工副生物全般のことを指します。製造工程や水分含量により全脂乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳などに分類されます。また加工品であるホエー(乳清)、チーズ、バター、クリームも乳類に含まれます。
糟糠類
糟糠(そうこう)とは酒かすとか米ぬかといった意味で、穀類を精白したり製粉した時に出る副生物のほか、それらを加工したもの全般が含まれます。
具体的には米ぬか(玄米の表面部分=ライスブラン)、小麦ふすま(小麦粒の表皮部分)、小麦胚芽、麦ぬか(大麦粒の表皮部分)、オオバコ種皮などです。また「グルテンフィード」と言った場合はトウモロコシからコーンスターチを製造する際に発生する副産物のことを指します。
具体的には米ぬか(玄米の表面部分=ライスブラン)、小麦ふすま(小麦粒の表皮部分)、小麦胚芽、麦ぬか(大麦粒の表皮部分)、オオバコ種皮などです。また「グルテンフィード」と言った場合はトウモロコシからコーンスターチを製造する際に発生する副産物のことを指します。
油脂類
油脂類は植物から取れる油、および動物から取れる脂の総称で、その加工物まで含まれます。また油脂の構成物質である脂肪酸(リノール酸、リノレン酸、高度不飽和脂肪酸など)も油脂類に含まれます。キャットフードのラベルにはただ単に「油脂類」とだけ記載されており、動物性なのか植物性なのかがはっきりしないこともしばしばです。
種実類
種実類には植物の硬い殻で覆われた堅果(けんか)や種子が含まれます。具体的にはアーモンド、栗、ゴマ、落花生などです。キャットフードのラベルで頻繁に見かけるのはチアシードやフラックスシード(亜麻仁)などです。
でん粉
でん粉とは単糖が9つ以上組み合わさってできる多糖類の一種です。米やもち米から精製された米でん粉やもち米でん粉、とうもろこしやワキシーコーン(品種名)から精製されたコーンスターチ、タピオカから精製されたタピオカ(キャッサバ)スターチ、馬鈴薯から精製されたポテトスターチ(いもでん粉)、小麦から精製された小麦でん粉などがあります。
果実類
果実類は果実とその加工物全般を含みます。キャットフードのラベルではリンゴ、ブドウ、バナナ、各種のベリーなどをよく見かけます。
藻類
藻類(そうるい)には海藻とその加工物すべてが含まれます。具体的にはのり、コンブ、ワカメ、ひじき、クロレラ、スピルリナ、寒天、カラギーナンなどです。なお「海藻」や「海藻ミール」という総称が用いられている場合、具体的に何が入っているかは各メーカーに問い合わせなければわかりません。
きのこ類
きのこ類とは子実体(しじつたい)を有する菌類全般のことです。具体的にはマッシュルーム(シャンピニョン)、えのき、しいたけ、しめじなどが含まれます。一昔前に健康食品として人気があったアガリクスもキノコの一種で、一部のキャットフードに含まれています。
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キャットフードの添加物とは?
キャットフードの成分は大きく「食材・原材料」と「添加物」とに分けられます。以下はフードの見た目や品質を保つ目的で加えられる「添加物」の一覧リストです。
着色料
着色料とはフードに色を付けるために加えられる物質の総称です。たくさんの種類がありますが、キャットフードには多くの場合赤みを加える目的で用いられています。しかし猫は赤色を認識できませんので、着色料を用いる理由は飼い主の視覚にアピールして「なんとなくおいしそう」と感じさせることだと考えられます。くすんだグレーよりも赤みがかっていた方が、肉を連想して新鮮かつ高級な印象を与えるということです。
保存料
保存料とはフードの鮮度を保つために加えられる物質の総称です。キャットフードに用いられているのは8割以上がソルビン酸カリウムですが、人間において使用基準が定められていますので、猫向けの食べ物だからといって大量に入れてよいというものではありません。
発色剤
発色剤とは主に肉類の色を鮮やかに見せるために加えられる物質の総称です。キャットフードに用いられているのは、ほぼ亜硝酸ナトリウムの一択です。肉の色合いを新鮮な赤色に保つため、ウェットフードによく用いられています。しかし前述したように猫は赤色を認識できませんので、発色剤を用いる理由は飼い主の視覚にアピールすることでしょう。
増粘安定剤
増粘安定剤とはフードに粘り気をもたせて形を安定させるために加えられる物質の総称です。主な目的が食品に粘りやとろみをつけることなら「増粘剤」、食品の型くずれを防ぐことなら「安定剤」(結着剤)、ゲル化することなら「ゲル化剤」とも呼ばれます。
酸味料・調味料
酸味料とは味に酸味を加える成分のことです。調味料とはフードの味を変えて犬の食いつきを良くするために加えられる物質の総称です。ペットフード公正取引協議会の内規により、どちらも添加物の具体的な個別名に代えて一括名(酸味料や調味料)で表示できる添加物に指定されています。ですからキャットフードのラベルではただ単に「調味料」と記載されているだけで、具体的にどのような成分が用いられているのかがわからないこともしばしばあります。
酸化防止剤
酸化防止剤とはフードが酸素と結合して品質が落ちることを防ぐために加えられる物質の総称です。物質名だけから機能を理解することが難しいため、表記する際は「酸化防止剤」という用途を併記することが規定されています。酸化防止剤に関しては、人間向けの食品には全く用いられていない成分が使われていたり、猫に対して毒性を発揮しかねないような成分が平気で使われていますので注意しなければなりません。
サプリメント
サプリメント(その他の添加物)とは分類が難しいときに用いられる便宜上のカテゴリです。猫の健康に影響を及ぼす可能性がある微量成分が含まれます。具体的には酵母(イースト)、セルロース、ユッカシジゲラ、リモナイト、腸内環境を整えるプロバイオティクス、腸内細菌の栄養となるプレバイオティクスなどです。
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キャットフードのラベル表示
キャットフードのパッケージに表示される項目には、大きく分けてペットフード安全法で義務化された項目と、ペットフード公正取引協議会の公正競争規約(こうせいきょうそうきやく)が規定している項目があります。
ペットフード安全法の表示項目
2009年6月1日より愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(通称ペットフード安全法)が施行(せこう)され、製造業者名や賞味期限などの表示が義務付けられました。以下5項目は、ペットフード安全法で義務化された表示項目です。
ペットフードの名称
ペットフード協会によると、「ペットフード」の定義は以下のようになります。
- ペットフードとは?
- 穀類、デンプン類、糟糠類、糖類、油脂類、種実類、豆類、魚介類、肉類、卵類、野菜類、乳類、果実類、きのこ類、藻類、 ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、その他の添加物などを原材料とし、混合機、蒸煮機、成型機、乾燥機、加熱殺菌機、 冷凍機などを使用して製造したもの、または天日干しなど簡易な方法により製造したもので、 イヌの飲食に供するもの(以下「ドッグフード」という。)またはネコの飲食に供するもの(以下「キャットフード」という。)をいう。
原材料
キャットフードの用いられている原材料の詳細に関しては「キャットフードの食材・原材料」で詳述しました。原則的に、添加物を含む全ての原材料の表示が義務化されています。
この義務化の背景には、平成19年3月、米国において有害物質メラミンが混入したペットフードが原因となり、多数の犬及び猫が命を落とした事件があります。さらに同年6月、メラミンが混入したペットフードが、我が国でも輸入されていたことが発覚し、原材料表示義務化に拍車がかかりました。
この義務化の背景には、平成19年3月、米国において有害物質メラミンが混入したペットフードが原因となり、多数の犬及び猫が命を落とした事件があります。さらに同年6月、メラミンが混入したペットフードが、我が国でも輸入されていたことが発覚し、原材料表示義務化に拍車がかかりました。
- メラミンとは?
-
有機化合物の一種で、ホルムアルデヒドとともに、メラミン樹脂の主原料とされる物質です。中国メーカーが食品のタンパク質含有量(窒素含有量)を捏造するために利用されたことで一躍有名になりました。
事例としては、2007年、メラミンが混入された中国企業製ペットフードがアメリカ等に輸出され、犬や猫が主に腎不全で死亡した事件や、翌2008年、中国国内でメラミン混入粉ミルクが原因で乳幼児に腎不全が多発した事件などが挙げられます。
賞味期限
賞味期限(しょうみきげん)は基本的にはアラビア文字で記載されています(061225 など)。また賞味期限がメーカーにより設定される場合は、3年を超えないことが義務付けられています。
事業者名・住所
「製造者」・「販売者」・「輸入者」など事業の種類を明記した上、事業所の住所が記載されます。
原産国
ペットフードの最終加工工程が行われた国を表します。原材料がアメリカ産でも日本で加工されれば原産国=日本と表記されます。
公正競争規約の表示項目
以下で紹介するのはペットフード公正取引協議会(ぺっとふーどこうせいとりひききょうぎかい)が公正な競争の確保と消費者保護のため、表示に関する事項について自主的に設定されたルールで、公正競争規約(こうせいきょうそうきやく)と呼ばれるものです。
フードの目的
フードの目的は、何を目的にして製造されたのかを明示する項目です。具体的には以下の3種に分類されます。
フードの目的・主要3種
- 総合栄養食総合栄養食(そうごうえいようしょく)とは、犬や猫が必要とする栄養基準を満たした、「毎日の主要な食事」として与えるためのフードです。新鮮な水と一緒に与えるだけで、それぞれの成長段階における健康を維持することができるように、 理想的な栄養素がバランスよく調製されています。
- スナックスナックとはいわゆるおやつ(間食)のことで、それだけでペットのエネルギーや栄養素を完全に補うことは好ましくありません。
- その他の目的その他の目的とは、特定の栄養を調整する、カロリーを補給する、あるいは嗜好増進などを目的としたペットフードです。「総合栄養食」ではないために、これを補うために与えなければならない食事の内容や量などを明記しなくてはなりません。一般食、栄養補完食、カロリー補完食、副食、特別療法食のいずれかの表記となります。
給与方法
猫の体重などを参考に、一食で与える量などを表示しています。一般的にペットの給餌は、朝晩2回が望ましいとされます。これは、空腹の時間が長いと、胃液や胆汁を嘔吐したり、体が飢餓状態にあると勘違いして必要以上に脂肪を貯めこみ肥満の原因となりうるからです。こうした点を考慮しつつ記載されているのが「給与方法」です。
内容量
内容量とは文字通り、フードの内容量です。製品の正味量が、「g」(グラム)、「kg」(キログラム)、「ml」(ミリリットル)または「l」(リットル)で表示されています。丸い形やスティック状の間食(おやつ)の場合は個、本などで記載されている場合もあります。
成分
成分は保証分析値(ほしょうせいぶんち)とも呼ばれ、粗タンパク質・粗脂肪・粗灰分・粗線維・水分の含有量が%で表記されています。ここでいう「粗」とは「大体の」という意味で捉えて下さい。
日本国内で流通しているペットフードには、各メーカーが自主的に検査した値が記載されていますが、この値が真実なのかどうかは不明です。確かめるためには直接メーカーに問い合わせ、直近の検査がいつ行われたのかとか、どのような品質管理体制を敷いているのかを聞き出す必要があります。主要メーカーのお問い合わせ先一覧に関してはこちらのページをご参照ください。
NEXT:猫の必要カロリー数は?
- 粗とは?
-
「粗」とは「だいたいの」といった意味合いで用いられます。
たとえば、食品中のタンパク質を定量するには、食品中の窒素量を求め、これに窒素係数(=窒素1gに相当するタンパク質量)を掛けて算出します。食品中に少量存在するタンパク質以外の窒素化合物の窒素も同時に定量するので、真のタンパク質よりもやや多く算出され、大体の量しか計測できません。
こうした計算上の難しさから大まかな数値、すなわち「粗」という表現が用いられるわけです。
日本国内で流通しているペットフードには、各メーカーが自主的に検査した値が記載されていますが、この値が真実なのかどうかは不明です。確かめるためには直接メーカーに問い合わせ、直近の検査がいつ行われたのかとか、どのような品質管理体制を敷いているのかを聞き出す必要があります。主要メーカーのお問い合わせ先一覧に関してはこちらのページをご参照ください。
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猫が必要とするカロリー
キャットフードのパッケージに記載されている「給餌量」は、かなりアバウトな数字です。より正確な栄養量を知りたい方のために、いくつかの便利な公式があります。
必要カロリーの計算方法
猫は生きていくため、毎日食餌という形でエネルギーを補給する必要があります。このエネルギーのことを「1日当たりのエネルギー要求量」(DER)と言います。DERを求める際の公式は「RER×係数」です。「RER」とは「安静時エネルギー要求量」のことで「健常な動物が、気温は中程度の環境で休んでいるが絶食はしていない状態でのエネルギー要求量」と定義されます。求め方は以下。
上の式で、猫の体重を0.75乗した値は「代謝重量」と呼ばれます。平たく言うと、体重の中からエネルギーを消費しない脂肪などの組織を取り除いた重量のことです。この代謝重量に70(kcal)を掛けた値が、その猫に必要な安静時エネルギー要求量となります。話がややこしくなってきたので、答えだけを以下に一覧化しましょう。例えば、太っても痩せてもいない標準的な体型の猫の体重が3kgの場合、RERは160kcalです。
安静時エネルギー要求量がわかったら、そこに係数を掛けて一日に必要なエネルギー量を割り出します。係数とは、猫のライフステージに合わせて設定された倍数のことです。一般的に用いられている数字は以下。
小動物の臨床栄養学(4th)
例えば、標準的な体型をした体重3kgの猫の場合、「安静時エネルギー要求量=160kcal」で「エネルギー係数=1歳以上の成猫」ですので、「160kcal×1.4」でおよそ「244kcal」が1日当たりのエネルギー要求量であるとわかります。また標準的な体型で、最近去勢手術をした体重9kgの猫の場合、「安静時エネルギー要求量=363kcal」で「エネルギー係数=不妊手術済みの猫」ですので、「363kcal×1.2」でおよそ「436kcal」が1日当たりのエネルギー要求量であるとわかります。
しかしこうして求めたエネルギー量はあくまでも推定値であって、実際にその猫にとってベストかどうかはすぐにはわかりません。ひとまず計算で出てきた数字で給餌し、猫が太ってくるようなら減らし、逆に痩せていくようなら増やすようにします。重要なのは、ただ漫然と猫にエサを与えるのではなく、猫の体型や筋肉の付き具合を日々観察しながら付き合っていくということです。猫のマッサージやブラッシングの仕方、および「猫のダイエットを確実に成功させるには?」というページ内の猫の体型と体重を診断するというセクションが役に立つでしょう。
なお、猫が太っている場合のエネルギー量は、どの程度太っているかによって大きく変動します。算出方法は猫のダイエットで詳しく解説してありますのでご参照ください。
猫の安静時エネルギー要求量
kg | kcal | kg | kcal |
1 | 70 | 6 | 268 |
1.5 | 95 | 6.5 | 285 |
2 | 118 | 7 | 301 |
2.5 | 139 | 7.5 | 317 |
3 | 160 | 8 | 333 |
3.5 | 179 | 8.5 | 348 |
4 | 198 | 9 | 363 |
4.5 | 216 | 9.5 | 379 |
5 | 234 | 10 | 393 |
5.5 | 251 | 10.5 | 408 |
猫のエネルギー係数
- 1歳以上の成猫=1.4
- 不妊手術済みの猫=1.2
- 活動的な猫=1.6
- 肥満傾向の猫=1.0
- 減量中の猫=0.8
- 集中治療中の猫=1.0
- 増量中の猫=1.2~1.4
- 妊娠期の猫=1.6~2.0
- 泌乳期の猫=2~6
- 成長期の猫=2.5
- 老猫=1.1~1.6
例えば、標準的な体型をした体重3kgの猫の場合、「安静時エネルギー要求量=160kcal」で「エネルギー係数=1歳以上の成猫」ですので、「160kcal×1.4」でおよそ「244kcal」が1日当たりのエネルギー要求量であるとわかります。また標準的な体型で、最近去勢手術をした体重9kgの猫の場合、「安静時エネルギー要求量=363kcal」で「エネルギー係数=不妊手術済みの猫」ですので、「363kcal×1.2」でおよそ「436kcal」が1日当たりのエネルギー要求量であるとわかります。
しかしこうして求めたエネルギー量はあくまでも推定値であって、実際にその猫にとってベストかどうかはすぐにはわかりません。ひとまず計算で出てきた数字で給餌し、猫が太ってくるようなら減らし、逆に痩せていくようなら増やすようにします。重要なのは、ただ漫然と猫にエサを与えるのではなく、猫の体型や筋肉の付き具合を日々観察しながら付き合っていくということです。猫のマッサージやブラッシングの仕方、および「猫のダイエットを確実に成功させるには?」というページ内の猫の体型と体重を診断するというセクションが役に立つでしょう。
なお、猫が太っている場合のエネルギー量は、どの程度太っているかによって大きく変動します。算出方法は猫のダイエットで詳しく解説してありますのでご参照ください。
「給餌量の目安」に注意!
キャットフードのパッケージにはたいてい「給餌量の目安」という形で、体重に応じた給餌量が記載されています。しかしここに記載されている体重は「太っても痩せてもいない理想的な体型にある時の体重」である点に注意しなければなりません。
例えば、理想体重が5kgの猫と、理想体重は5kgだけれども太って6kgある猫がいたとします。そしてラベルには「体重1kgにつき15g給餌」とあったとします。もしここでラベルの記載に従い、与える給餌量を単純に体重から割り出してしまうと、理想的な体型の猫には75g、そして太っている方の猫には本来より20%も多い90gのエサを与えてしまうことになります。
フードのラベルにこうした注意書きが無い理由はわかりません。しかしパッケージに記載されている体重は、あくまでも理想的な体型にある時の体重を示していることは覚えておく必要があるでしょう。
NEXT:給餌方法の比較
例えば、理想体重が5kgの猫と、理想体重は5kgだけれども太って6kgある猫がいたとします。そしてラベルには「体重1kgにつき15g給餌」とあったとします。もしここでラベルの記載に従い、与える給餌量を単純に体重から割り出してしまうと、理想的な体型の猫には75g、そして太っている方の猫には本来より20%も多い90gのエサを与えてしまうことになります。
フードのラベルにこうした注意書きが無い理由はわかりません。しかしパッケージに記載されている体重は、あくまでも理想的な体型にある時の体重を示していることは覚えておく必要があるでしょう。
NEXT:給餌方法の比較
フードの給餌方法
猫にエサを与える方法にはいくつかのタイプがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。給餌のタイプを決めるのは、猫の体型、飼育頭数、簡便さ、持病がある場合は獣医師からの指示などです。
猫の給餌スタイル
- 自由採食法エサをいつどれくらい食べるのかを、猫に任せる方法です。「手間がかからない」・「専門知識を必要としない」というメリットがある反面、「食べ過ぎを制御しにくい」・「摂食量を把握しにくい」というデメリットがあります。ちなみにこの方法で給餌されている猫は、40%の確率で肥満に陥るとか。
- 定量給餌法エサの量と摂取カロリー数だけを飼い主がコントロールするという方法です。「摂食量のコントロールをしやすい」・「食欲の変化に気づきやすい」・「体重のコントロールがしやすい」というメリットがある反面、「やや手間がかかる」・「摂食量の計算知識が必要」というデメリットがあります。
- 定時給餌法エサを与えるタイミングだけを飼い主がコントロールするという方法です。「摂食量のコントロールがややしやすい」・「食欲の変化に気づきやすい」というメリットがある反面、「摂食量のコントロールは不正確になりやすい」・「食べ過ぎをコントロールしにくい」・「手間がかかる」というデメリットがあります。
個々の食材や添加物の使用基準、安全性、危険性、適正量に関しては「キャットフード成分・大辞典」で詳しく解説してあります。