猫のブラッシングの効果
ブラシやくしを使って猫の毛をとかしてあげることをブラッシング(brushing)と言います。猫が自発的に行うグルーミング(grooming)を人間が肩代わりしてあげたものと考えれば分かりやすいでしょう。猫に対するブラッシングには以下のような効果があります。頻度としては、スキンシップを兼ねて毎日行うのが理想です。
抜け毛予防効果
猫の毛は成長→休止→脱毛という毛周期に沿って常に成長と脱毛を繰り返しています。1週間前にコロコロをかけたばかりの猫のベッドにびっくりするほど抜け毛が溜まっていることからも、いかに猫の脱毛サイクルが早いかがうかがえます。飼い主が日常的にブラッシングしてあげれば、自然脱毛する毛を事前に減らすことができ、カーペットやベッドにまとわりつく抜け毛を減らせます。
毛球症予防効果
猫は自分の体をグルーミングしたり、他の猫の体をグルーミングしてあげる際、口の中に入った毛を人間のようにペッと吐き出すのではなく、そのまま飲み込んでしまいます。こうして胃の中にできるのが毛玉(ヘアボール)です。 通常はケホケホと吐き出すことができますが、老化や病気で体力のない猫などは自力で吐き出すことができず、延々と胃や腸の中にとどまり、腸閉塞を起こすかもしれません。ブラッシングによって猫が飲み込む毛の量をあらかじめ減らしておけば、ヘアボールを吐き出す頻度が減って掃除の手間が省けると同時に、消化器系の障害も予防できると考えられます。
もつれ予防効果
短毛種ではそうでもありませんが、長毛種の毛を長い間放置していると、信じられないようなもつれ方をすることがあります。例えば以下は飼い主のニグレクト(怠慢飼育)によって被毛がぐちゃぐちゃに絡み合った猫の姿です。もはや何の動物かわからなくなっています。飼い主が定期的にブラッシングしてあげれば、こうした異常事態を未然に防ぐ事ができるでしょう。
健康チェック効果
猫の被毛は健康のバロメーターです。体調不良でグルーミングがおろそかになると、すぐに被毛がツヤを失いボサボサになったりフケだらけになったりします。飼い主が定期的にブラッシングしていれば、被毛に現れる健康の指標にいち早く気づくことができ、病気の早期発見につながるでしょう。
ストレス解消効果
猫同士がグルーミングすることをアログルーミングと言い、基本的には親しい相手としか行いません。 人間のブラッシングはちょうどこのアログルーミングに相当しますので、ブラッシングを受けている猫は毛づくろいされる肉体的な気持ちよさのほか、気の置けない仲間がそばにいるという精神的な安心感も得ることができるでしょう。
NEXT:猫の毛の生え方は?
猫と触れ合っている飼い主の方も、アニマルセラピーによるストレス解消効果を得られます!
猫の毛の生えている方向
猫の被毛はある一定の方向に生えています。流れに逆らってブラッシングしてしまうと毛を無理な方向に引っ張ると同時に猫に不快感を与えてしまいますので、しっかりと毛並みに沿って各種の道具を通すようにします。個体によって多少の違いはありますが、基本的には以下の図を参考にして下さい。
NEXT:ブラシの種類と特徴は?
ちなみに夏場になると「サマーカット」と称して猫の被毛を丸刈りにしてしまう人がいます。しかしこの行為には「外気温がもろに体に伝わる」、「紫外線を浴びやすくなる」、「他の猫との体感温度に違いが生まれる」といったデメリットがあるほか、本来あるはずの被毛をセルフグルーミングできず猫がストレスを抱えてしまう危険性もはらんでいます。
ロングヘアーをミディアムにするくらいなら「猫の換毛期をお手伝いしている」と言えるでしょうが、地肌が見えるほど刈り込んでしまうのはやりすぎというものでしょう。なにごともほどほどが大事ですね!
猫用ブラシの種類と特徴
ブラッシング道具の一般的な種類と特徴は以下です。「脱毛効果」は死毛(しにげ)をどの程度取り除くことができるか、「整え効果」は毛並みをどの程度きれいに整えることができるか、「お手入れ」はブラシについた抜け毛をどの程度楽に除去できるかという意味です。
特に長毛種は、たとえ症状を示していなくても白癬菌にかかっていることがよくあります。多頭飼育の場合、ブラシを共有することによって他の猫に菌を移してしまう危険性がありますので、健康診断などで動物病院に行った折には白癬菌のチェックをしておいた方がよいかもしれません。
コーム
ピンブラシ
獣毛ブラシ
ラバーブラシ・シリコンブラシ
抜け毛ブラシ
スリッカーブラシ
スリッカーブラシ(slicker brush)とは「く」の字に曲がった金属製のピンが並んだブラシのことです。「滑らかにする」という意味を持つ「slick」から名付けられた道具で、主として長毛種の毛のもつれを解消するときに用います。短毛種に用いると誤って皮膚を傷つけてしまう危険性があるため、ここでは長毛種専用用品とします。クシの目やブラシのピンが通りにくいゴワゴワした部分にあらかじめかけておくと、被毛の絡まりが解消されて比較的スムーズにブラッシングをすることができるようになります。ピンに絡まった抜け毛を除去するのは少し面倒です。
NEXT:具体的なやり方は?
100円均一ショップで売っているような人間用のプラスチックブラシは用いないでください。やたらと静電気が発生し、猫がブラッシング嫌いになってしまいます。
ブラッシングのやり方
一般的な猫のブラッシングのやり方を解説します。短毛種なら「ピンブラシ」「ラバーブラシ」「抜け毛ブラシ」「獣毛ブラシ」、長毛種なら「コーム」「ピンブラシ」「ラバーブラシ」「抜け毛ブラシ」「スリッカーブラシ」を用意しておくとスムーズに進みます。またブラッシングの後は相当量の毛が抜け落ちますので、粘着テープ(コロコロ)などを用意しておきましょう。
ブラッシングしていてもしノミを発見したらその場でつぶさず、台所用洗剤を数滴垂らした熱湯にくしをつけてノミを殺すか、もしくはガムテープにノミを貼り付けて捨ててしまいます。あえてノミをつぶさないでおくのは、メスのノミの体には卵が入っていることが多々あり、つぶした際に卵が猫の体に付着して、猫の体の表面で将来的に孵化(ふか)してしまう恐れがあるためです。
ブラッシングしていてもしノミを発見したらその場でつぶさず、台所用洗剤を数滴垂らした熱湯にくしをつけてノミを殺すか、もしくはガムテープにノミを貼り付けて捨ててしまいます。あえてノミをつぶさないでおくのは、メスのノミの体には卵が入っていることが多々あり、つぶした際に卵が猫の体に付着して、猫の体の表面で将来的に孵化(ふか)してしまう恐れがあるためです。
ブラッシングの注意点
猫が短毛種であれ長毛種であれ、ブラッシングを行う際は以下のような点に気をつけるようにします。
- いつ行う?ブラッシングは猫同士の「アログルーミング」に相当しますので、基本的には猫がリラックスしているときに行うようにします。膝に乗ってくる習慣がある場合はそのタイミングがよいでしょう。もし膝に乗る習慣がない場合、ご飯の後など胃袋に血液が集中してリラックスしている時をねらってやってみます。
- どこで行う?最もやりやすいのは膝の上です。膝に乗ってくる習慣がない場合は、ベッドやマットの上で休んでる時をねらってやってみます。嫌がる時は無理強いしないでください。
- どのくらいの時間行う?じっとしているのがあまり好きではない猫の場合、一回のブラッシングは、おおよそ3分くらいで終えるようにします。猫の気分を無視して強引にブラッシングしようとすると、以後ブラシを見ただけで逃げられる可能性があるからです。猫が嫌がらない程度に行うのが基本とお考え下さい。
- どのくらいの頻度で行う?長毛種なら毎日~1日2回、短毛種なら週3回~毎日くらいが目安です。太った猫、老猫、病気中の猫など、なかなか自分では毛づくろいできない猫のブラッシングは多めにやってあげましょう。また一般的に猫は春から夏にかけて抜け毛が多くなりますので、秋や冬よりもこの「換毛期」のブラッシングを増やすようにします。しかし完全室内飼いで人工の電灯にされされている猫ではそれほど換毛期が顕著ではありません。なおラバーブラシや抜け毛ブラシを毎日かけていると部分的にはげてしまうことがあります。面白いくらい毛が取れるからといって、あまり頻繁にはやらないようにしましょう。
頭のブラッシング
猫の頭皮は非常に敏感でゴリゴリ系のマッサージを好む個体もけっこういます。ピンブラシやコームを押し当てながらゆっくりと被毛をとかしてみましょう。またラバー(シリコン)ブラシで毛を引っ張るようにとかしてあげるとスカルプマッサージにもなります。
首・背中・尾のブラッシング
首のブラッシングをする前に首輪(カラー)は外しておきます。長毛種の場合は絡まった毛が無いかどうかを確認するため、目の粗いブラシやコームで軽く被毛をとかします。勢いよくやるとからまった毛が引っかかって不快感が生じますので、ゆっくり行いましょう。
からまりがなくなったら被毛の流れに沿ってブラシやコームを通していきます。背中の中央には「棘突起」(きょくとっき)という背骨の一部が張り出していますので、あまり強くブラシを押し当ててしまうと痛みが生じます。また猫の皮膚はデリケートですので、ブラシのピンやコームの歯が引っかき傷を作ってしまわないよう気をつけます。
広いエリアにラバーブラシや抜け毛ブラシを用いるとかなり大量の死毛が取り除かれます。周辺が毛だらけになるので粘着テープ(コロコロ)を手元に用意しておきましょう。
しっぽは意外と抜け毛の多いポイントです。抜け毛専用のブラシなどを用いてあらかじめ猫が飲み込んでしまう被毛の量を減らしておけば、ヘアボールもできにくくなります。構造的に脆いデリケートな部分ですので、あまり強くブラシを押し当てないようにしてください。
広いエリアにラバーブラシや抜け毛ブラシを用いるとかなり大量の死毛が取り除かれます。周辺が毛だらけになるので粘着テープ(コロコロ)を手元に用意しておきましょう。
しっぽは意外と抜け毛の多いポイントです。抜け毛専用のブラシなどを用いてあらかじめ猫が飲み込んでしまう被毛の量を減らしておけば、ヘアボールもできにくくなります。構造的に脆いデリケートな部分ですので、あまり強くブラシを押し当てないようにしてください。
腹部のブラッシング
猫が嫌がらないようであればおなかのブラッシングも行います。猫をひざの上に乗せて仰向けにするとやりやすいかもしれません。
猫の胸には人間のような「胸板」は存在せず、かわりに「胸山」とでも言うべき盛り上がりがあります。胸の中央にあるのは「胸骨」と呼ばれる骨ですが、この部分に直接ブラシを当ててしまうと不快感が生じますので要注意です。胸骨の両側はなだらかな斜面になっていますので、ここに沿うようにとかしていきましょう。
猫の胸~腹にはオスでもメスでも8つほど乳首があります。あまり勢い良くブラシを通してしまうとピンや歯で傷つけてしまう恐れがありますので、基本はゆっくりです。
猫の胸~腹にはオスでもメスでも8つほど乳首があります。あまり勢い良くブラシを通してしまうとピンや歯で傷つけてしまう恐れがありますので、基本はゆっくりです。
毛玉のブラッシング
短毛種ではあまり見られませんが長毛種ではブラッシングの途中で「毛玉」(mat)に出くわすことがあります。これは被毛が絡み合ってブラシがスムーズに通らなくなった状態のことです。文字通りごちゃごちゃに絡まった毛糸をイメージすればわかりやすいでしょう。
毛玉をほぐす際は以下のような手順に沿ってやるようにします。ハサミで強引にカットしようとすると、猫の皮膚を傷つけてしまうことがあるのでご注意ください。
NEXT:嫌がる時の対処法は?
毛玉をほぐす際は以下のような手順に沿ってやるようにします。ハサミで強引にカットしようとすると、猫の皮膚を傷つけてしまうことがあるのでご注意ください。
毛玉の取り方・ほぐし方
- 指でほぐす絡まりがそれほどひどくない場合は指先で毛玉をほぐすことによって元の状態に戻すことができます。
- ブラシでほぐす絡まりがひどく指ではなかなかほぐれないような時は金属製の丈夫なコームやスリッカーブラシで絡まりをほぐしていきます。ただし力任せに被毛を引っ張ると猫はかなりの不快感を抱きますのでゆっくりと行うようにします。
- 専用のブラシを用いる絡まりがひどくブラシでも歯が立たないような場合は、毛玉専用のブラシを用いて部分的に被毛をカットしていきます。具体的にはディマッター、ディシェダーなどです。英語では「mat breaker」「mat splitter」「mat rake」などと呼ばれます。
- トリマーに頼む毛玉が沢山あるとか絡み方があまりにもひどくてどうにもこうにも対処できないという場合は、トリマーに頼みましょう。業務用の器具などもいろいろと持っていますので何とかほぐしてくれます。ただしバリカンを用いて被毛を根こそぎ刈り取ってしまうというのは最後の手段です。
カットした部分の被毛がちゃんと生えてこなくなることもありますので、「楽だから」とか「時間がかからないから」といった理由で丸刈りにするのはやめた方が賢明でしょう。
猫がブラッシングを嫌がる時
猫がブラッシングを嫌がるという状況がしばしば発生します。猫の嫌がっている対象が「ブラシ」なのか「触られること」なのか「膝に乗ること」なのかを見極め、それぞれに応じた対策を練りましょう。
ブラシを嫌がる
子猫や成猫がブラッシングを嫌がるような場合は、まずブラシに慣らすところから始めましょう。猫が大好きなおやつを用意し、ブラシの見た目や感触に対する抵抗を少しずつなくしていきます。詳しくは「猫をブラシに慣らす」で解説してありますのでご参照ください。
猫が引っ張られる感覚に慣れてきたら、今度は手のひら全体を使って広い範囲の被毛を引き揚げてみます。指先にごそっと抜け毛が残るはずです。ブラッシングに比べると少々大変ですが、これを繰り返していけばかなりの量の抜け毛を取り除くことができます。マッサージとスキンシップを兼ねて毎日やってあげましょう。
どうしてもブラシが嫌いだと言う場合は、飼い主の手をブラシがわりにするという方法があります。猫が膝に乗ってきたタイミングで被毛の一部を指先でつまみ、ゆっくりと引き上げてみましょう。ちょうど髪の毛をつまんでぎゅっと引っ張るような感じです。 猫が目をつぶってリラックスしているようであれば「まんざらでもない」と言うことです。逆に目をまんまるくして耳を後ろに倒しているような場合は「お前、何やってるんだ?」ということですので、もう少し力を緩めるかスピードを緩めます。猫が引っ張られる感覚に慣れてきたら、今度は手のひら全体を使って広い範囲の被毛を引き揚げてみます。指先にごそっと抜け毛が残るはずです。ブラッシングに比べると少々大変ですが、これを繰り返していけばかなりの量の抜け毛を取り除くことができます。マッサージとスキンシップを兼ねて毎日やってあげましょう。
触られることを嫌がる
猫が触られること自体に慣れていない「ハンドシャイ」の場合は、まず人間の手に慣らすところから始めましょう。猫が大好きなおやつを用意し「頭を1回触る→おやつを与える」「頭を2回触る→おやつを与える」「頭を3回触る→おやつを与える」・・・といった具合に、少しずつ触られるということに慣らしていきます。頭が終わったら首、背中、肩、腕、手・・・という具合に触れる範囲を徐々に広げていきましょう。焦って事を進めると逆に人間の手がますます嫌いになりますので、1ヶ月かけるくらいのゆっくりとしたペース配分で行ってください。
膝に乗ることを嫌がる
猫がなかなか膝に乗っかってくれないような場合は、猫が大好きなおやつで釣ってみましょう。食いつきがよいペースト状のおやつやまたたびでも構いません。脚を伸ばした状態で床に座り、膝の上にクッションなどを置きます。手でおやつを持って猫の鼻先に掲げ、興味を示したらそのまま手を膝の上に移動しましょう。猫が膝の上に乗ってくれたら、おやつを与えて気を逸らしているうちに頭を軽く撫でます。これを時間を空けて1日3~5回ほど行います。するといつの間にか猫は「人間の膝の上で触られる」ということに慣れていきます。椅子に座った状態で猫の名前を呼んだりおやつをちらつかせてみましょう。ピョンと飛び乗ってきてくれたら成功です。
急に嫌がる
今までブラッシングに抵抗がなかった猫が急に嫌がるようになった場合は、体のどこかに不調を抱えているのかもしれません。筋肉や骨格に異常があるのかもしれませんし、内臓のどこかが痛いのかもしれません。歩き方や食欲などをよく観察し、異常がないかどうかをチェックしてみましょう。特に関節に痛みを抱えている猫では、膝に乗りたいけれども乗れないという欲求不満に苛(さいな)まれている可能性があります。
NEXT:ブラッシングQ & A集
「猫の症状一覧」を参考にしながら日常的に健康チェックをしてあげましょう。
猫のブラッシングQ & A
以下は猫のブラッシングについてよく聞かれる疑問や質問の一覧リストです。思い当たるものがあったら読んでみてください。何かしら解決のヒントがあるはずです。
静電気の予防法は?
放電の原因である電子を前もって他のものに移してしまいます。
猫のブラッシングで厄介なのが静電気(static)です。猫の被毛とブラシ、人間の体、衣類などが接触することによって発生します。
ブラシや人間の体がマイナスに帯電している場合は、前もって手を洗っておきましょう。外に放出されるべき電子が水の中に吸収されますので、ブラッシングをする時に放電が起こりにくくなります。静電気を除去してくれるブレスレットなども売られています。 猫の被毛がマイナスに帯電している場合は、部屋の湿度を50%以上に高め、霧吹きで被毛に軽く水をかけて保湿しておきましょう。放電の原因である電子が水の分子に移りますので、ブラシや人間の手との間で静電気が発生しません。
なお手作りのグルーミングスプレーを用意したい場合は、霧吹きに水を入れるだけで十分です。除菌や虫よけ効果を狙ってティーツリーオイルを混ぜる人もいますが、飼い主の知識不足と不注意から「ティーツリーオイル中毒」にかかる猫の症例が多く報告されています。またオイル成分は油焼けの原因にもなります。
常識ですが、衣類に用いるような静電気防止スプレーを猫の被毛にかけないでください。安全性は確認されているもののペットの被毛にかけることは想定されていません。同じ理由で除菌剤をかけるのもNGです。
ブラッシングの力加減は?
地肌を傷つけない強さでやるようにします。
猫は人間や犬に比べ驚くほど上皮が薄い動物です(Baker, 1974)。あまりにも強い力でガリガリとブラシをかけると、猫の地肌が傷ついて炎症を起こしてしまいます。炎症はかゆみ、痛み、フケの原因になりますので、力加減を調整しブラシの先端部分が猫の肌を引っ掻いてしまわないように気をつけます。特にコームやスリッカーブラシの歯には要注意です。またあまりいないとは思いますが、食器洗いに使うたわしをブラシの代用にはしないでください😓
お腹へのタッチを嫌がります
上半身を後ろから持ち上げて手早くブラッシングしてみましょう。
猫のお腹は骨格で覆われていない弱い部分であるため、触られることを本能的に嫌がります。無理してブラッシングするとストレスの原因になってしまうためできれば放っておきたいところです。しかし特にメス猫の場合は乳腺腫瘍(乳がん)のチェックをしなければなりませんので延々と放置するわけにもいきません。
代替案としては、猫の上半身を後ろから片手で持ち上げ、もう片方の手でブラッシングをするという方法があります。前足が宙に浮いているため猫パンチを繰り出したり逃げ出すことができません。また上半身が伸ばされますので胸元から腹部にかけての部位が十分に露出されます。 上半身を持ち上げている間、手早くブラッシングをし、同時に乳腺腫瘍のチェックをしてしまいましょう。ただしずっとその体勢だと猫も苦しくなってきますので、1分以内に終わらせるようにしてください。
毛が部分的にはげているようです…
皮膚病でなければブラッシングのやりすぎです。
猫の被毛が部分的にはげてしまうことがあります。皮膚病で多いのが皮膚糸状菌症(白癬症)です。特徴はミステリーサークルのように円形状に被毛が抜け落ちてしまうという点で、犬小胞子菌と呼ばれる真菌の一種によって引き起こされます。「リングワーム」(ringworm)といわれるのもそのためです。 毛の抜け落ち方が円形ではなく、ブラッシングする時のストロークラインに合わせた形で生じている場合は、ブラッシングのやりすぎが原因だと考えられます。猫からのしつこい催促に負け、エンドレスでブラッシングをかけている人によく生じます。
ブラッシングの頻度を少なくしたり1回の時間を短くすることで様子を見てみましょう。それでも被毛が元に戻らない場合は内分泌系の疾患も考えられますので動物病院を受診します。
毛についている白い粉は何?
フケかもしれません。
猫の被毛にまるで塩をふりかけたように白い粉が点々と付着していることがあります。これは多くの場合フケ(落屑)です。
皮脂の分泌不足、シャンプーのやりすぎ、強すぎるブラッシングによる皮膚の炎症などにより、角質層が乾燥してパラパラと剥離することで生じます。特に腰からしっぽにかけてのエリアに、さまざまな大きさの白い粉がついている場合はフケの可能性を考慮し、原因が思い当たるなら改善しましょう。 一方、紙製の猫砂を使っている場合は、紙の小さな粒子が被毛に付着してフケのように見えてしまうことがあります。トイレに入った後で顔や前足に非常に細かい白い粒が見られるようならフケではありませんので、ウエットティッシュなどで拭き取ってあげましょう。
あごの下の黒い粒は何?
猫ニキビだと考えられます。
猫の顎の下や口の周りに、ちょうど無精髭のように黒い粒がポツポツとつくことがあります。これは猫ニキビ(ざそう)と呼ばれるもので、皮膚から分泌された皮脂が変色して表に出てきたものです。
詳しい原因や対処の仕方については以下のページで解説してありますのでご参照ください。
気になるからといって歯ブラシや金属製のコームでガリガリと擦らないようにしてください。誤って皮膚を傷つけると症状が悪化して膿皮症に発展することがあります。