猫と遊ぶときの注意点
やんちゃ盛りの猫と暮らしている場合、明るいうちに飼い主が一緒に遊んであげることで適度な疲労がたまり、夜中の運動会を予防することができます。また完全室内飼いの猫の場合、飼い主との遊びがストレス解消になってくれるでしょう。しかしいずれにしても、以下に述べるような注意点を守らなければ猫が怪我をしてしまう危険性がありますので、遊びに入る前にしっかり抑えておきましょう。
まずは部屋を片付ける
遊ぶ前の注意 事故を予防するため、遊ぶ前には必ず固いものを片付けたり、突起にクッションをかぶせるなどします。勢い余って壁に顔をぶつけると、自分のキバ(犬歯)が唇を貫通してしまうことがあります。
猫の視覚を知る
遊ぶ前の注意 猫の色覚は人間とは全く違います。黄色と青、およびその中間色以外は上手に認識することができません。ですから、おもちゃを選ぶときは赤系統を避け、なるべく猫が見やすい色にします。また逆に、白黒のコントラストに関しては人間よりも敏感です。おもちゃのどこかにキラキラ光る素材が入っていると、猫の目でとらえやすくなります。
やや薄暗くする
遊ぶ前の注意 猫は薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)といって、少し薄暗くなってから活動的になる動物です。部屋の中が余りにも明るいと、なかなか動こうとしないことがあります。また、蛍光灯の光は、猫の目には点滅して見えます。この光がわずらわしいがために、やる気を失ってしまう可能性もありますので、豆電球をつけるなど猫が好みそうな薄暗い環境を演出した方がよいでしょう。
常に新鮮なおもちゃを
おもちゃの注意 猫は飽きっぽい動物です。一度は夢中になったおもちゃでも、しばらくすると見向きもしなくなります。猫に新鮮な刺激を与えるため、できるだけ新しいおもちゃを用いるのが理想です。なお、一度飽きたおもちゃでも1ヶ月くらい見せないでおくと、再び夢中になってがっつくことがあります。古いおもちゃは壊れていない限り、捨てずに保管しておいたほうがよいでしょう。
マタタビでアクセントをつける
おもちゃの注意 マタタビ好きの猫の場合、おもちゃに塗りつけることによって、より活発に遊ぶことがあります。また最近は、マタタビの成分をあらかじめ練りこんだおもちゃも売られていますので、試してみましょう。
誤飲に注意
おもちゃの注意 遊んだ後は、おもちゃのひも、釣り糸、毛糸などを必ず猫の手が届かない場所に保管するようにして下さい。「ひも状の異物」と総称されるこうしたアイテムは腸管内にひっかかりやすく、間違って飲み込んでしまうと最悪のケースでは死を招いてしまうこともあります。留守番中の猫にひも状のおもちゃを与えて外出することは絶対にNGです。
人間の手をおもちゃにしない
おもちゃの注意 動画共有サイトなどでは自分の手をおもちゃ代わりにして猫と遊んでいる人がいますがおすすめできません。「人の手=攻撃対象」と誤解し、噛み癖がついてしまいます。子猫だろうが成猫だろうが、人間の手をおもちゃにして遊ぶのは避けるようにします。
猫に無理強いしない
遊び中の注意 一般的に、猫のやんちゃ盛りは2歳くらいまでと言われています。この時期を過ぎた猫は、じっと日向ぼっこをしたり、飼い主の膝の上で昼寝することを、段々と好むようになります。遊びに誘っても乗ってこないからといって、無理やり猫を遊びに付き合わせない方がよいでしょう。
急な動きは避けて
腹八分目で終わる
遊んだ後の注意 おもちゃで遊んでいるときの猫の体内では、コルチゾールと呼ばれるホルモンが大量に分泌されています。このホルモンは、猫を狩猟行動に駆り立てる一方、あまりにも長時間体に作用すると、ストレスの原因になってしまいます。10~20分くらい遊び、猫が寝そべって小休止を取ったり、鼻で「フンフン」と呼吸をするようになったタイミングで切り上げるようにします。
催促に応じない
遊んだ後の注意 「ニャーニャー!」という猫の催促鳴きに応じて遊びを開始してしまうと、猫は「鳴けば自分の願いがかなう」と学習してしまいます。これを繰り返すと、無駄鳴きを助長してしまう危険性がありますので、遊びの開始は必ず飼い主が決めるよう徹底します。
NEXT:猫と上手に遊ぶ方法
基本点な注意点がわかったら、実際に猫と遊んでみましょう!
猫と上手に遊ぶ方法
猫と上手に遊ぶコツは、野生環境にいる猫の獲物をおもちゃで再現してあげることです。猫のターゲットとなる生き物はたくさんありますが、代表的なものは「ネズミ」「トリ」「ウサギ」の3つです。具体的なやり方を遊びのタイミングと共に見ていきましょう。
遊びは食事前に
成猫と遊ぶ際は、少しおなかが空いている頃合いを見計らって、遊びに誘ってみましょう。理由は、数時間何も食べていないとき、小さなものを使った遊びの頻度が高まるからです(Bradshaw, 1998)。これは、空腹感があるために「何か獲物をつかまえないと!」という狩猟本能が目覚めるからかもしれません。
遊びのためにわざわざごはんを抜く必要はありませんが、ちょっとおなかがすいている頃合いを狙って猫を遊びに誘うと、うまく乗ってきてくれるかもしれません。 The Behaviour of the domestic cat
1998年に行われた実験で、猫の空腹の度合いが遊びの頻度に影響を及ぼすことが明らかになっています。
空腹の度合いと遊び行動
実験では、ごはんを食べたばかりで満腹状態の猫と、絶食16時間で空腹状態の猫を対象に、おもちゃに対する遊び行動の頻度が観察されました。おもちゃのサイズは、体積が90立方センチメートル程度の小さなものと、体積が330立方センチメートル程度の大きなものです。その結果、おもちゃに噛み付く行動が、満腹時よりも空腹時において多く見られたといいます。さらに、大きなおもちゃよりも小さなおもちゃに対する食いつきの方がよかったとも。遊びのためにわざわざごはんを抜く必要はありませんが、ちょっとおなかがすいている頃合いを狙って猫を遊びに誘うと、うまく乗ってきてくれるかもしれません。 The Behaviour of the domestic cat
ネズミ型遊び
ネズミ型遊びとは、おもちゃをネズミのように動かして猫を挑発する遊び方です。ポイントは、物陰に隠れる・音を立てる・すばしっこく動くというネズミの特徴を上手に再現することです。
なお猫は、余りにも大きなおもちゃに対しては恐怖心を抱いてしまうことがあります。リアクションが悪いと感じたときは、少し小さめのおもちゃに切り替えてみてください。また、レーザーポインターは、非常に猫を興奮させやすいアイテムです。しかしその反面、手でつかまえたり口でかじったりすることができません。結果、興奮したはいいけれども、そのはけ口が見つからず、逆にストレスになってしまうことがあります。ですから、過剰な使用は避けたほうが無難でしょう。2021年に行われた最新の調査でも、レーザーポインターを用いれば用いるほど、猫の強迫的な異常反復行動(常同行動)が増えてしまうという関係性が確認されています。
なお猫は、余りにも大きなおもちゃに対しては恐怖心を抱いてしまうことがあります。リアクションが悪いと感じたときは、少し小さめのおもちゃに切り替えてみてください。また、レーザーポインターは、非常に猫を興奮させやすいアイテムです。しかしその反面、手でつかまえたり口でかじったりすることができません。結果、興奮したはいいけれども、そのはけ口が見つからず、逆にストレスになってしまうことがあります。ですから、過剰な使用は避けたほうが無難でしょう。2021年に行われた最新の調査でも、レーザーポインターを用いれば用いるほど、猫の強迫的な異常反復行動(常同行動)が増えてしまうという関係性が確認されています。
猫のネズミ型遊び
トリ型遊び
トリ型遊びとは、おもちゃをトリのように動かして猫を挑発する遊び方です。ポイントは、空を飛ぶ・激しく左右に動く・高いところに止まる・突然飛び立つというトリの特徴を上手に再現することです。
なお、おもちゃを猫の進行方向とは逆に急転換すると、膝を脱臼してしまうことがあります。急激に動かすときは、ハイジャンプを促すよう上向きに限定しましょう。
なお、おもちゃを猫の進行方向とは逆に急転換すると、膝を脱臼してしまうことがあります。急激に動かすときは、ハイジャンプを促すよう上向きに限定しましょう。
猫のトリ型遊び
ウサギ型遊び
猫にとって遊びとは?
猫における遊びは生後4~16週齢の間に最もよく見られます。しかし成猫になったからと言って遊び行動がなくなるわけではありません。
遊びの目的には諸説あり、娯楽、体力の増進、狩猟行動の練習、神経系の発達、周囲の環境への慣れ、などが主なところです。1行でまとめると「生きていく上で必要ない行動を、不明確な目的ために行うこと」となるでしょう。私たち人間も、子供の頃にやった鬼ごっこやかくれんぼが、なぜあんなにも楽しかったのかを明確に答えることはできませんね。
遊び行動は猫以外の動物でもよく見られます。以下は家畜として代表的な動物の遊び行動一覧です。 「家畜行動図説」(朝倉書店)
NEXT:子猫の社会的遊び
遊びの目的には諸説あり、娯楽、体力の増進、狩猟行動の練習、神経系の発達、周囲の環境への慣れ、などが主なところです。1行でまとめると「生きていく上で必要ない行動を、不明確な目的ために行うこと」となるでしょう。私たち人間も、子供の頃にやった鬼ごっこやかくれんぼが、なぜあんなにも楽しかったのかを明確に答えることはできませんね。
遊び行動は猫以外の動物でもよく見られます。以下は家畜として代表的な動物の遊び行動一覧です。 「家畜行動図説」(朝倉書店)
家畜動物の遊び行動
- ウシ枯れ枝や雑草の茎などを鼻や頭を使って動かす。尾を上げ、体をくねらせながら飛び跳ねる。子ウシ同士が頭と頭で押し合う。追いかけっこをする。マウンティングをする。
- ウマ落ちている小枝などを前足で軽く叩いたり口でくわえたりする。尾を上げて飛び跳ねる。子ウマ同士が後足で立ち上がってじゃれあう。
- ブタ丸いものを鼻先で押して転がす。活発に跳ね回る。子ブタ同士で追いかけっこやマウンティングをする。
- ヤギ枯れ枝などをくわえて運んだり、頭部や前足を用いて動かす。体をくねらせながら跳ね回ったり急旋回したりする。母ヤギの背中や樹木に登ることもある。子ヤギ同士で追いかけっこやマウンティングをする。
- ヒツジぶら下がっているものを角などで動かす。尾を上げ、体をくねらせながら飛び跳ねる。箱や切り株などの上に上がる。子ヒツジ同士で押し合ったりマウンティングをする。
- イヌ目の前にあるものを前足で動かす。活動的に跳ね回る。舐める。物をかむ。子イヌ同士で追いかけっこをしたりマウンティングをする。遊びに誘うプレイバウ(play bow)を見せることもある。
- チンパンジー地面に腕や背中をこすり付ける。物を手で転がしたり振り回したりする。片足を軸にしてグルグルと旋回する。子ザル同士でかみ合ったり軽く叩いたりする。笑うようなプレイフェイス(play face)を見せ、追いかけあったりする。
このように家畜動物の多くは、子獣時代において遊び行動に夢中になるようですね。では猫においてはどのような遊びが見られるのでしょうか?以下では子猫同士で行う「社会的遊び」と、独りで行う「単独遊び」について詳しく解説します!
子猫の社会的遊び
生後4週齢の頃は、兄弟猫とじゃれあう社会的遊びがメインです。離乳の早い猫、オスだけからなる群れにおいては社会的遊びが促進されるといいます。また兄弟猫がいない「一人っ子」に関しては、母猫が遊び相手になってやることが多いようです。
子猫同士が行う社会的遊びは、以下の7つに分類されます。なお前肢(ぜんし)とは前足、後肢(こうし)とは後足のことです。 「猫の行動学」(インターズー)
NEXT:子猫の単独遊び
子猫同士が行う社会的遊びは、以下の7つに分類されます。なお前肢(ぜんし)とは前足、後肢(こうし)とは後足のことです。 「猫の行動学」(インターズー)
子猫の社会的遊び
- ベリーアップ(belly up)仰向けになって前肢は引っかき行動を示し、後肢は歩行行動を示す。21~23日齢の間で初めて登場する。6週齢では社会的遊びの13%を占め、12週齢では16%を占める。
- スタンドアップ(stand up)仰向けになっている子猫の前で立ち上がって見せる。67%の確率でベリーアップと同時に見られる。
- サイドステップ(side step)1頭の猫が横向きの姿勢を取り、もう1頭の猫に対して体をやや弓なりに反らせ、尾は上向きに曲げる。その姿勢のまま横歩きで歩み寄ったり、他の猫の周囲を回ったりする。32日齢から見られ、6週齢では社会的遊びの20%を占める。
- バウンス(bounce)子猫が後肢を体の下に置き、尾をまっすぐ後方に伸ばして身を低くかがめる。後肢を使って体重を前後に移動させ、ほかの子猫に向かって飛びかかる。33~35日齢から登場し、6週齢では社会的遊びの42%を占めるものの、12週齢までには5%まで激減する。
- イレクト(erect)後肢の関節を伸ばして二足歩行し、直立姿勢をとる。35日齢から登場し、12週齢では社会的遊びの25%を占める。
- チェイス(chase)複数の子猫が、互いに追いかけたり逃げたりする。38~41日齢頃から登場する。
- フェイスオフ(face off)2匹の子猫が互いににらみ合い、相手に向かって極端な前傾姿勢をとる。前肢を相手の顔面に向かって動かす。48日齢頃から登場する。
筋肉やバランス感覚を鍛えると同時に社会性を学んでいるんですね!子猫はやがて独り立ちの準備を始めます。
子猫の単独遊び
子猫同士で行う社会的な遊びから、独りで行う単独遊びへと切り替わるのは、離乳期の終りに差し掛かった7~8週齢頃です。単独遊びは、隔離されたり兄弟のいない子猫、およびオスの兄弟猫がいるメスの子猫で多く観察されます。また、上記した以外の子猫では50日齢頃を境にして劇的に増加します。
子猫の単独遊びには、以下のようなものがあります。「猫の行動学」(インターズー)
NEXT:猫の遊びQ & A集
子猫の単独遊びには、以下のようなものがあります。「猫の行動学」(インターズー)
子猫の単独遊び
- ネズミ型ボールのような小さな動く物体の上に飛びかかり、前肢でしっかりとその物体を確保する。
- トリ型飛んでいる物体をとらえ、口の中に入れる。地面から飛び上がる瞬間や、一地点から別の地点へ飛ぶ物体に興味を示す。
- ウサギ型対象物を地面に倒し、首に噛み付く。
上記した3種類の生き物をおもちゃで再現してあげることが猫と遊ぶときのコツになります。「猫と上手に遊ぶ方法」を見ながらさっそく試してみましょう!
猫の遊びQ & A
以下は猫の遊びについてよく聞かれる疑問や質問の一覧リストです。思い当たるものがあったら読んでみてください。何かしら解決のヒントがあるはずです。
外で狩りをさせてもよい?
絶対にダメです。
「猫の自然な行動を促している」とか「猫のストレス解消に役立っている」と主張し、猫を屋外に放り出して自由に狩りをさせている飼い主が一部にはいます。
こうした行動は猫の感染症や病気、交通事故、迷子、動物虐待リスクを高める極めて不適切なものです。猫の健康や安全だけでなく、屋外に生息している生物の生態系を壊すことにもつながりますので絶対にやってはいけません。猫を屋外に出すことの危険性ついては以下のページを熟読してください。現代においては「ネグレクト」(怠慢飼育)という動物虐待とみなされます。
ベランダで遊ばせてよい?
絶対にダメです。
外の空気を吸わせてあげようと猫をベランダに出して遊ばせるのは絶対にNGです。
目の前を横切る虫や鳥の姿に興奮し、手すりを乗り越えて落下してしまうかもしれません。また突然地震がやってきて、驚いた猫がそのまま逃げ出してしまうことも考えられます。
「高層階症候群」と呼ばれるこうした事故は、飼い主の油断と無知によって非常に頻繁に起こっています。ひとたび起こると手足や顎の骨折、肺に穴が開く、死亡など重大な悲劇が待っていますので、絶対にベランダで遊ばせてはいけません。
手袋で遊ばせてよい?
絶対にダメです。
手袋や軍手をはめて猫とじゃれ合う遊び方は望ましくありません。人間の指や手の形をしたものをおもちゃと勘違いし、噛み付いたり引っ掻いたりする癖がついてしまいます。
同様に靴下をはいた足で猫をあやすのも危険です。歩くたびに猫が興奮し、突然襲いかかってくるかもしれません。これではまともな生活も送れなくなってしまいますね。
手作りおもちゃの注意点は?
誤飲事故が起こらないように注意します。
手作りおもちゃとしては「靴下にまたたびを入れる」「毛糸玉」「天井から吊り下げる」などがあります。どのパターンにしても猫がおもちゃを噛みちぎって飲み込んでしまう誤飲事故には注意しなければなりません。特にひも状のものを飲み込んでしまうとベロの根元に引っかかり、ずっと排出されないと言う現象が起こり得ます。
1m以上ある紐を誤飲した猫の「スパッド」~片端がベロに引っかかり、もう一方の端が尻から出てくる。#猫 #猫珍事
— 子猫のへや (@konekono_heya) 2017年4月7日
【Metro】→https://t.co/f2UwOKIiPc
【よくある誤飲】→https://t.co/SVpZGOqBbe pic.twitter.com/bQev7PvdXv
キャットタワーは必要?
必要ではありませんが衝突事故には注意します。
キャットタワーはジャンプしたり飛び降りたりする垂直運動を促す際に役立ってくれます。猫の足腰が丈夫なら遊びに取り入れてもよいでしょう。ただし勢い余ってキャットタワーの角に顔面や頭をぶつけるという衝突事故が起こりやすくなるので要注意です。
遊びに夢中になった猫は周囲の状況がよく見えていませんので、事前に硬い部分をクッションや座布団で被っておくと比較的安全に遊ぶことができます。
留守番中におもちゃを与えてよい?
望ましくありません。
飼い主が監督していない状態で猫に独り遊びをさせるのは危険です。特に「ひも状異物」と呼ばれるおもちゃを放置したまま出かけるのは絶対にダメで、万が一誤飲してしまうと、最悪のケースでは開腹手術や死亡事故すら起こり得ます。
留守番させる時におもちゃで遊ばせたいなら、絶対に壊れない頑丈なものだけを選ぶようにします。またビニール袋やセロファンを放置すると、噛みちぎって飲み込んでしまいますので、外出前にしっかり片付ける習慣をつけておきましょう。
リモコン操作できるおもちゃは買い?
猫に飽きられると悲惨です。
飼い主のスマートフォンなどと連動し、遠隔操作で猫のおもちゃを動かすことができるグッズが売られています。面白い趣向ですがバリエーションが豊富というわけではありませんので、猫に飽きられてしまうと悲惨です。
そこそこの大きさがありますのでかなり邪魔になります。また動かすには飼い主による操作が必要となりますので、「猫と遊んでいる時間がない」とか「猫の遊びに付き合うのが面倒だから省略したい」という目的で購入した人には、まったく役に立たないでしょう。
電動おもちゃは買い?
運動量がかなり少なくなります。
電池によって自動的に動いてくれる猫向けおもちゃがあります。こうした自動おもちゃは飼い主が手を使っておもちゃを動かす手間を省いてくれることは事実ですが、動かせる範囲が狭いので、猫の運動量がかなり減ってしまうことは覚悟しなければなりません。
バリエーションが豊富というわけでもありませんので、猫に飽きられると邪魔になってしまうでしょう。
タッチパネル式は買い?
逆にストレスがたまるかもしれません。
タッチパネルやタッチスクリーン上に、猫が好みそうな虫の動きを再現するスマホアプリやゲームがあります。ちょうど窓にへばりついた虫に興奮した猫が、前足でペタペタとガラスを叩くような感じです。
こうした画面系アプリが猫の狩猟本能を掻き立てていることは事実でしょう。しかし「対象を触る」とか「つかんで口にくわえる」といった触覚的な刺激を得ることができません。遊びに伴う猫の快感が、主として触覚によってもたらされるものだとすると、タッチ式のおもちゃは逆にストレスになってしまう危険性があります。ちょうどレーザーポインターで遊ぶときと同じ理屈です。
猫向けタッチ式ゲーム
遊びに付き合う飼い主の手間を省いてはくれますが、やはり飼い主が竿と紐などを使い、現実世界に存在している物体をうまく動かしてインタラクティブに遊んであげることをお勧めします。
なぜおもちゃをくわえて持っていく?
おそらく安心するからでしょう。
ゲットしたおもちゃを自分のベッドや休憩場所に持っていく猫がいます。こうした行動の理由はおそらく外敵やライバルがいない状況で餌を食べたいという本能的な欲求でしょう。
人間でもお弁当を隠しながら食べたり、個室ダイニングでの食事を好む人がいます。それと同様、ご飯を食べる時誰かに見られていたり周囲に誰かがいるという状況が、どうしても受け入れられない猫がいるのかもしれません。
おもちゃは食べ物ではありませんが、猫が「自分でゲットした獲物」と認識している場合、上記したような本能が働き、自分の寝床へ持って行って「個室ダイニング」を作るのではないでしょうか。回収が難しい場合は、竿と紐がついたおもちゃの方が遊びがはかどります。
なぜ綿棒が好き?
手足がないひも状の環形動物を連想している可能性があります。
屋外に生息している猫たちは、鳥、うさぎ、ネズミといった脊椎動物の他、昆虫や環形動物などの無脊椎動物も食べながら生きています。私たちの感覚から言うと路上に落ちているミミズは気持ち悪いものですが、猫の感覚から言うと「あ、美味しそう!」となる可能性があります。猫たちはひょっとすると、綿棒をミミズの一種と勘違いしているのかもしれません。輪ゴムやヘアバンドを好む理由も同様に考えると納得できます。 綿棒ケースをうっかり机の上に置いておくと、戻ってきた時に盛大にばらまいていることがありますが、猫が意地悪でやっているわけではありませんのでしっかり片付けておきましょう。またゴム類は誤飲しやすいので基本的におもちゃとして使わないでください。
なぜキラキラで興奮する?
小さな昆虫を連想させるのかもしれません。
光を反射してキラキラ輝くティンセルを見ると、急に興奮する猫がいます。こうした猫たちはひょっとすると、光を反射する昆虫か何かを連想しているのかもしれません。
野生の猫はうさぎやネズミばかり食べていると思われがちですが、実は昆虫類も食べています。これらの昆虫類は多くの場合、背中に光沢を持っていますので、キラキラ輝くものを見た猫は「小さな虫を見つけた!」となり、狩猟本能が掻き立てられる可能性があります。
循環式の水飲み容器で遊ぶ理由も、動いてる水が光をキラキラと反射させているからかもしれません。ただし、動いていない水をじっと見つめている時は、水飲み容器にゴミが浮いている時なので速やかに交換してあげましょう。
なぜお尻を振る?
人間でいう素振りのようなものです。
おもちゃの目の前にした猫が瞳孔を大きく開き、うずくまるように姿勢を低くしてお尻をフリフリすることがあります。「バットウィグル」(butt wiggle)や「ケツフリ」とも呼ばれるこうした行動の理由は、人間で言う「素振り」のようなものだと考えられます。要するに地面がしっかり固定されていることを確認しつつ、本番に備えて筋肉の動かし方を予行演習しているのです。
猫のケツフリ
おもちゃを生き物と認識している証拠ですので、この「バットウィグル」(ケツフリ)が見られた時は猫の狩猟本能がかなり満たされていると考えてよいでしょう。
付き合うのが面倒です…
飼い主にもメリットがありますので付き合ってあげましょう。
東京農業大学が行った調査により、猫と遊ぶという行為自体が脳内(前頭前野)の血流量を増やし、認知機能や実行機能を向上させてくれる可能性が示されました。調査では、遊びの成功率が低いほど人間の覚醒度が高まったとのこと。平たく言うと「なかなか思い通りに動いてくれない猫様の機嫌を伺いながら遊びに興ずるのはエキサイティング!」といったところです。
猫との遊びは大切な「環境エンリッチメント」の一部です。猫の心身だけでなく飼い主にとってもほどよい刺激になりますので、できる限り付き合ってあげましょう。くれぐれも危険な屋外に出して狩りをさせないようにお願いします。