トップ猫の老化老猫の介護の仕方

老猫の痛みの管理・完全ガイド~自宅でもできる慢性痛ケア

 猫は痛みを隠す動物ですので、体に不調を抱えていても外からは気づかないことが多々あります。飼い主はいったいどのようにして猫からの痛みのサインを読み取ればよいのでしょうか?そしてどのようにして痛みをやわらげてあげればよいのでしょうか?詳しく解説します。

老猫の慢性痛と向き合う

 「猫の慢性痛の見つけ方」でも解説した通り、猫の慢性的な痛みは「通常見せる行動の減少」もしくは「異常行動の増加」という形で現れます。しかしこうした痛みの徴候は、年老いた猫が見せる老化現象と非常に似通っており、両者を見分けることは非常に困難です。例えば、以下のような項目が挙げられます。
慢性痛 & 老化現象
  • 寝る時間が多くなる
  • ひきこもりの時間が多くなる
  • 元気がない
  • 以前ほど交流したがらない
  • 睡眠サイクルが変化する
  • 攻撃性が増す
  • 遊びたがらない
  • 食欲が減って体重が落ちる
  • ルーチンが変更する
  • 粗相が増える
  • 高い場所にジャンプできない
  • 高い場所から降りられない
  • 通常であればひとっ飛びできる場所にも中間地点を経由する
  • 敏捷性を失う
  • 動きがたどたどしい
  • 飛び上がった後の着地に失敗する
  • 高いから飛び降りる前に躊躇する
  • 歩き方が変わる
 上記したような生活習慣の変化が急激に起こった場合は何とか気付きますが、変化がゆっくりと進行した場合、単なる老化現象と慢性痛の徴候とを区別することは極めて困難です。ですから特に老猫の慢性痛を見つけようとする場合は、行動やしぐさの変化を日ごろから観察すると同時に、日常的に体を触って痛がったり嫌がったりする部位がないかどうかを確認するようにします。このチェック習慣はマッサージのついでに行うと一石二鳥でしょう。ある特定の場所を触るとビクンと反応したり、嫌がって身をよじるようなしぐさが見られた場合は、何らかの痛みを疑うようにします。 猫の慢性痛を見つける 猫マッサージ

病院で行う慢性痛管理

 「猫の慢性痛の見つけ方」および日常的なマッサージを通して猫に慢性痛の徴候が見られた場合、一旦動物病院で診察してもらいます。慢性痛の原因となっている基礎疾患が明らかになると、次の段階で行われるのが 「多面的疼痛管理」(Multimodal Pain Management)です。慢性痛は鎮痛薬だけではなかなか抑え込むことができないため、投薬治療のみならず、様々な学問分野から知識を集約して多角的(集学的)に鎮痛効果を狙います。大きく分けて「病院で行う鎮痛管理」と「自宅で行う鎮痛管理」とがありますが、ここではまず病院施設において施される痛みの管理法をご紹介します。

非ステロイド系抗炎症薬

 「非ステロイド系抗炎症薬」(NSAIDs)とは、ステロイド構造を含まない薬剤の総称です。一般的な薬効は、鎮痛、解熱、抗炎症作用とされています。国によって認可されている薬が変動するため、ある国では使用できる薬でも、他の国では使用できないといった状況がまま起こります。以下は、猫に対して用いられることが多いNSAIDsの一覧です。
猫に用いられるNSAIDs
  • メロキシカムメロキシカム(Meloxicam)は、現在ヨーロッパとオーストラリアで、猫の慢性的な筋骨格系の痛みに対する長期使用が唯一認可されている薬です。日本では「メタカム」という商品名で流通しています。
  • カルプロフェンカルプロフェン(Carprofen)は、日本では「リマダイル」という商品名で流通しています。
  • ケトプロフェンケトプロフェン(Ketoprofen)は、日本では「ケトフェン」という商品名で流通しています。
  • ロベナコキシブロベナコキシブ(Robenacoxib)は、日本では「オンシオール」という商品名で流通しています。
 他の薬剤同様、絶対的に安全なNSAIDsというものは存在しません。全てのNSAIDsにおいて胃腸障害性、肝臓障害性、腎臓障害性が認められていますので、使用量が多すぎたり、使用期間が長すぎたりすると、時として薬効よりも副作用の方が大きくなり、逆に動物を苦しめてしまいます。また、薬を使用してはいけない「禁忌」というものも存在します。例えば、ステロイドと併用するとか、慢性腎不全を抱えた猫に対して用いるなどです(→出典)。こうした禁忌を無視すると、重大な副作用を引き起こしてしまうことがあります。
 変形性関節症を患う犬を対象とした調査によると、NSAIDsの長期的な使用によってポジティブな効果が認められたとされています(→出典)。また人間を対象とした調査では、NSAIDsを長期的に使用した方が、断続的に使用した時よりも疼痛管理をうまくコントロールできたとも(→出典)。猫に対しても同様の効果があると期待されますが、NSAIDsを長期的に投与する際は、以下に示すような安全性に関するガイドラインを順守しなければなりません。
NSAIDsの長期使用に関するガイドライン
  • 治療する前に患者の体質とNSAIDとの相性を考慮する
  • 投薬する際は除脂肪体重を基準とする
  • 併存している他の病気に合わせ使用量を適宜減らす
  • 家庭における投薬を受け持つ飼い主に対し十分な知識を与える
  • 投与量を間違わないよう明確な指示を与える
  • 投与する際は、食事と一緒か食後すぐのタイミングで与える
  • 嘔吐、下痢、食欲不振といった副作用が見られる場合は直ちに使用を中止する
  • 薬に関する反応によって投与量を最小限にまで抑える
  • 多面的療法と供に用いる
 猫に対するNSAIDsの長期使用に関しては、「国際猫医学会」(ISFM)と「全米猫診療所協会」(AAFP)が共同ガイドライン(英語)を公開していますので、こちらも資料として役立ってくれるでしょう。

鎮痛薬

 「鎮痛薬」とは痛みの緩和を目的とした薬の総称です。人間や動物が「痛い!」という感覚を体感するまでには、末梢の受容器→求心性神経線維→脊髄・脳といった複雑な情報伝達ルートが存在しています。鎮痛薬を投与する目的は、上記した伝達ルートのどこかを薬の力でブロックし、痛みの伝達を途中でせき止めてしまうことです。以下に、一般的な鎮痛薬と、その薬が対象としている作用部位を示します。
鎮痛薬とその作用部位
猫の体における痛みの伝導路~末梢受容器・末梢神経・脊髄・脳
  • 末梢器官に作用局所麻酔薬・非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)・オピオイド
  • 脊髄に作用NMDA薬・オピオイド・α2作動薬・ガバペンチノイド・大麻類
  • 脳に作用オピオイド・α2作動薬
  • 疼痛抑制系に作用三環系抗うつ薬(TCA)・トラマドール
 上記した鎮痛薬は、単独で用いられたり、他の薬と併せて用いられたりします。複数の薬を同時に投与する方法は特に「多剤併用療法」と呼ばれ、メリットとして「薬剤同士が相乗効果を生む」、「急性痛から得られた豊富な臨床データがある」、「個々の薬剤使用量を少なく抑えることができ、その分副作用の危険性が減少する」といった側面を含んでいます。
 しかしメリットばかりではありません。人間を対象とした調査では、慢性疼痛を抱えた被験者のうち、約半数は30%の疼痛緩和を報告しているものの、必ずしも機能の向上や回復には結びついていないとの結果が出ています(→出典)。また特に猫においては、薬剤とその効果に関する明確なデータが欠如しており、多剤を服用した時の副作用に関しても不明な部分が多く残されています。ですから、仮に人間や犬で効果がある投薬でも、猫では副作用が激しくて逆に苦しみを助長してしまうという可能性が常にあるわけです。

非投薬的治療

 投薬治療の目的は「痛みを感じさせなくする」ことに限られますが、薬を用いない非投薬的治療の目的は、時として「痛みを引き起こしている根本原因を取り除く」ということまで含まれます。以下はその一例です。

外科的な治療

 痛みを引き起こしている部位を外科的に切り取ったり置き換えたりすることで、慢性痛を解消するという選択肢があります。具体的には、股関節の変形性関節症に対する関節置換術や、潰瘍性口内炎に対するレーザー切除、悪性腫瘍(ガン)の切除などです。
 「関節置換術」に関しては、犬の股関節形成不全症に対してよく適応されますが、猫に対してはほとんど行われていませんでした。しかし2009年の報告によると、人間や犬同様、ある程度の治療効果があるようだとの結論に至っていますので、今後はこうした整形外科的なアプローチが普及してくる可能性もあります(→出典)。

幹細胞療法

 治療が難しいことで悪名高い猫の「潰瘍性口内炎」に対し、脂肪由来の幹細胞を用いた再生医療が奏功したという報告があります。
 2015年に新設されたカリフォルニア大学デーヴィス校の「獣医再生医療研究所」(VIRC)は、猫の脂肪細胞から取り出した「脂肪幹細胞」を、潰瘍性口内炎を抱えた猫の静脈内に注射したところ、約70%において「完全治癒」もしくは「著しい改善」が見られたと報告しています(→出典)。治療メカニズムに関してはまだ不明な部分があるものの、恐らく幹細胞が免疫T細胞の活動を変化させ、炎症を抑制しているのではないかと予測されています。
 従来はレーザー切除によって対処することが多かった潰瘍性口内炎ですが、将来的には幹細胞療法が治療の第一選択肢になるかもしれません。

放射線療法

 悪性腫瘍(ガン)に起因する慢性的な痛みに対し、放射線療法が適用されることがあります。腫瘍にたくさんの神経が付着しているわけではないため、それ自体が痛みの原因になることは少ないものの、他のルートを通じて痛みを引き起こすことがあります。具体的には以下。
ガンによる痛みの発生機序
  • 腫瘍によって圧迫された組織の機械的な痛み
  • 腫瘍周辺で発生した炎症による化学的な痛み
  • 局所的な神経機構の変性と痛覚過敏
  • 局所的なpHの変動
  • 腫瘍細胞が放出する炎症性化学物質
 上記したような痛みは、放射線によって腫瘍組織さえ除去してしまえば、すっきりと霧消してくれる可能性があります。しかし放射線療法は100%安全というわけではないため、適用に際しては副作用の危険性と慢性痛による苦痛とを、厳密に差引勘定することが必要です。

代替医療

 西洋医学以外の様々な治療法は一般的に「代替医療」と総称されます。この医療は人間界のみならず、獣医学の領域にも浸透してきているようです。一般的には以下のようなものがあります。
動物と代替医療
  • ホメオパシー
  • アロマテラピー
  • カイロプラクティック
  • 鍼灸
  • 漢方
 様々な種類がある中で、近年コンセンサスを得つつあるのが「鍼灸治療」です。科学的な調査報告と効果に関する逸話的な報告が増えてくるにつれ、頭ごなしには無視できない存在になってきています。「アメリカ国立衛生研究所」(NIH)では、鍼治療の適応症として疼痛管理をリストに入れていますし、日本においてもペットの保険会社が、鍼治療だけは保険の対象とカウントしているところもあるくらいです。 猫に対して鍼灸治療を施している様子  猫に対する具体的な症例としては、「切断した後ろ足が引き起こす幻肢痛への鎮痛効果」(→出典)や「避妊手術前の鍼灸により鎮痛薬の投与量が減った」(→出典)といったものがあります。鎮痛メカニズムとして想定されているのは、特異的なツボに鍼を打つと、様々な神経伝達物質の放出が促され、痛みを伝えるC線維からの入力がブロックされると同時に、中枢の疼痛抑制系が増幅されるというものです。また、鍼を通して様々な波長の電気刺激を与えると、エンドルフィン、セロトニン、ノルエピネフリンといった神経伝達物質が放出されると想定されています。重大な副作用がないというのも大きな利点の一つでしょう。
 日本においても鍼灸治療を取り入れているクリニックが徐々に増えつつありますので、選択肢としては覚えておいてよいと思われます。 ペットの代替医療

自宅で行う慢性痛管理

 複数の鎮痛アプローチを同時に行う「多面的疼痛管理」(Multimodal Pain Management)においては、病院で処方される抗炎症薬や鎮痛薬のみならず、猫と一緒に暮らしている飼い主も非常に重要な役割を担うこととなります。飼い主に求められるのは、処方された薬剤を継続的に投与すること、自宅でもできる鎮痛療法を実践すること、そして突破痛の出現に備えることです。「突破痛」(Breakthrough Pain)とは、鎮痛薬の効果を突破して突然発生する極めて強い一過性の痛みの事であり、慢性痛を抱えた動物でしばしば観察されます。ですから飼い主は、慢性痛の徴候に気を配ると同時に、急性痛の徴候にも気を配っておく必要があるのです。詳しくは「急性痛の見つけ方」をご参照ください。
 以下では、主に自宅において飼い主自身が行う痛みの管理法をご紹介します。

機能性食品

 「機能性食品」とは、体調を整える機能を持った食品の総称です。日本国内では似たような表現がたくさんあるため、やや混乱の様相を呈しています。

人間用の機能性食品

 人間用に製造販売されている機能性食品は、ちょっとした定義の違いによって幾つかの種類に分類されており、消費者の頭をいたずらに混乱させる原因になっています。以下は具体的な種類です。ある特定の条件を満たした時のみ、パッケージにその機能を表示することが許可されています。
人間用機能性食品の種類
  • 特定保健用食品特定保健用食品」(トクホ)とは、国が効能を審査した後、個別に許可した食品のことです。
  • 栄養機能食品栄養機能食品」とは、国の規格基準に適合した食品のことです。
  • 機能性表示食品機能性表示食品」とは、「トクホ」のように国の審査は経ていないものの、事業者が科学的根拠と共に機能性を保証している食品のことです。

動物用の機能性食品

 人間用の「特定保健用食品」や「機能性表示食品」とは違い、動物用機能性食品に関しては科学的根拠を示す必要はありません。メーカーが「ある特定の機能を持っている!」とほのめかしているものもありますが、パッケージの内容を信じるかどうかは、消費者の判断に任されてるといったところでしょう。医薬品と間違うような治療効果をパッケージに明記したり、よほどの大ウソを記載しない限り、法的にとやかく言われることがないというのが現状です。
 犬や猫の慢性痛の原因として多い変形性関節症の症状軽減に効果があるとされる機能性食品は、全てひっくるめると30ほどあります。具体的にはグルコサミン、コンドロイチン、オメガ3脂肪酸、アボカド、大豆、ムラサキイガイ、ウコン(ターメリック中のP54FPと呼ばれる物質)、ボスウェリアなどです。しかし、グルコサミンやコンドロイチンは人間の変形性関節症に対しては鎮痛効果がなかったといった情報があるなど、その効果に関してははっきりとした結論が出ていません(→出典)。また一般的に機能性食品は薬とは違って副作用がなく安全と言われていますが、そうとも限りません。例えば日本では1970年代にクロレラ関連商品によって日光皮膚炎が引き起こされた先例がありますし(→出典)、アメリカではつい最近の2015年、カリフォルニア州で藍藻類を原料としたサプリメントの摂取が原因と考えられる肝障害の症例が報告されています(→出典)。
 このように「科学的根拠を示す必要がない」という緩いルールのせいで、いいものと悪いものとが玉石混交の状態になりやすいという点が、動物用機能性食品のデメリットと言えるでしょう。
 数ある動物用機能性食品の中で、唯一「オメガ3脂肪酸」だけは、人間や犬を対象とした調査で目覚ましい効果があったとされています(→出典)。また、複数の機能性食品(EPA, DHA, グルコサミン, コンドロイチンetc)を含んだ食事を猫に対して長期的に与えたところ、慢性痛評価と日常的な動作頻度の両方が改善したという報告もありますので(→出典)、動物用機能性食品という選択肢を頭ごなしに除外してしまうのは、ややもったいないかもしれません。

環境整備

 痛みを誘発するような動きを生活の中から極力なくす「環境整備」は、慢性痛を抱えた猫の生活の質(QOL)を向上させる上で極めて重要です。具体的には以下のような方法があります。
慢性痛を抱えた猫の環境整備
慢性痛を抱えた猫に対して行う一般的な環境整備の一例
  • 高い場所にワンステップ入れる
  • 段差にスロープを設ける
  • 給餌皿を高めに設定する
  • トイレのヘリを低くする
  • フローリングからカーペットにする
 運動能力の低下から退屈になりがちな日常生活に刺激を与えるため、室内に「環境エンリッチメント」を施すことも重要です。これは、猫が本来の動きや習性を思う存分発揮できるよう環境を整えてあげることです。具体的には以下のページにまとめてありますのでご参照ください。 猫の欲求

リハビリ・理学療法

 リハビリテーションとは、筋肉や関節の機能を改善して運動能力を回復させることです。よく用いられるのは加熱、冷却、音、電気、マッサージ、運動のような物理的刺激を用いた治療法で、これらは総称して「理学療法」と呼ばれます。
動物のリハビリ・理学療法
  • 徒手療法マッサージ | 他動的可動域運動 | 関節モビライゼーション | ストレッチ | 脊髄反射刺激
  • 運動療法陸上運動(補助的/自発的) | 水中運動
  • 物理療法冷却療法 | 温熱療法 | 低レベルレーザー療法(コールドレーザー療法) | 低周波電気療法 | 超音波療法 | 電気鍼灸療法
 「物理療法」に関しては、専門の知識と設備が必要となりますので、動物のリハビリテーションに力を入れている病院を見つけ出し、定期的に通う必要があるでしょう。しかし猫の場合、環境の変化を嫌う傾向ありますので、外出・通院すること自体がストレスの原因になりかねません。十分にメリットとデメリットを比較する必要があります。一方、飼い主が自宅でできるリハビリもあります。具体的には徒手療法や運動療法です。
 「徒手療法」のメインとなるマッサージに関しては、頭や顔、首といった部分をタッチすることによって内因性オピオイド(快楽物質)や絆を深めるオキシトシンなどの物質放出を促しますので、日常的に行うことが推奨されます。詳しくは「猫のマッサージ」というページにまとめてありますのでご参照ください。猫のマッサージ  「運動療法」に関してはトイレ、寝床、食事場所をなるべく遠く離してみることから始めてみるとよいでしょう。生命の維持に直結した欲求は強いため、その欲求を満たすために猫は無理にでも体を動かそうとします。それが適度な運動につながってくれれば成功です。慢性痛を抱えた猫の飼い主は、痛みが発生しないよう、じっとしていた方が良いと考えがちですが、この考え方は全てのケースに当てはまるわけではありません。動物の体には「廃用性萎縮」というメカニズムがあり、体を使わなければその分、器官が萎縮してしまいます。つまり「慢性痛→運動不足→筋肉・末梢神経・中枢神経への刺激不足→筋肉と神経細胞の萎縮」というルートを通じ、運動能力と脳の機能の両方が退化してしまうのです。ですから「過ぎたるはなお及ばざるが如し」の格言通り、全く運動させないよりは多少運動させた方が良い場合もあるというわけです。しかしもちろん、その運動自体が激しい痛みを引き起こしていたり、おしっこを我慢するあまり膀胱炎になってしまうようだったら無理にする必要はありません。
3Dプリンターとリハビリ  近年は3Dプリンターの発達により、簡単に人工装具や補装具を作ることができるようになりました。例えば、後ろ足が動かない猫に車椅子を装着したり、片前足が拘縮している猫に対し補装具を装着するなどです。まだまだ未発展の分野ですが、非常に広い可能性を持っています。 3Dプリンターは動物用の人工装具を作る時に活躍してくれる