猫の股関節形成不全の病態と症状
猫の股関節形成不全とは、太ももの骨と骨盤とを結合する股関節の形が先天的に異常な状態を言います。近年では股異形成(こいけいせい)とも言われます。犬の疾患として有名ですが、猫でもないわけではありません。
以下は犬の股関節に発症した形成不全です。太ももの先端にある球状の骨(大腿骨頭)の中心点と、骨盤のソケット部(寛骨臼)のへりを結んだ時にできる角度(ノルベルグ-オルソン角)が105度に満たない場合は異常と判断されます。しかし1998年に行われた調査によると、たとえ正常な股関節をもった猫でも、ノルベルグ-オルソン角がわずか「92.4度」程度しかなかったとの結果が出ています(→詳細)。ですからレントゲン撮影で猫の股関節形成不全症を診断する際は、犬の基準値よりも低く設定しないと誤診につながると考えられます。 猫の股関節形成不全の症状としては以下のようなものが挙げられます。過去に行われた調査結果をまとめると、股関節形成不全症の有病率は6.6~32%で、股関節形成不全症や骨関節炎を抱えている猫のうち、行動の変化といった明白な徴候を示すものは14~33%程度と推計されます。ですから運動器系の症状が現れたときは、すでに病状がかなり進行していると考えた方がよいでしょう。
以下は犬の股関節に発症した形成不全です。太ももの先端にある球状の骨(大腿骨頭)の中心点と、骨盤のソケット部(寛骨臼)のへりを結んだ時にできる角度(ノルベルグ-オルソン角)が105度に満たない場合は異常と判断されます。しかし1998年に行われた調査によると、たとえ正常な股関節をもった猫でも、ノルベルグ-オルソン角がわずか「92.4度」程度しかなかったとの結果が出ています(→詳細)。ですからレントゲン撮影で猫の股関節形成不全症を診断する際は、犬の基準値よりも低く設定しないと誤診につながると考えられます。 猫の股関節形成不全の症状としては以下のようなものが挙げられます。過去に行われた調査結果をまとめると、股関節形成不全症の有病率は6.6~32%で、股関節形成不全症や骨関節炎を抱えている猫のうち、行動の変化といった明白な徴候を示すものは14~33%程度と推計されます。ですから運動器系の症状が現れたときは、すでに病状がかなり進行していると考えた方がよいでしょう。
猫の股関節形成不全の主症状
- 歩行時に腰が左右に揺れる
- うさぎ跳びやスキップのようなしぐさ
- 後足をうまく折りたためない
- 運動を嫌う
- 股関節の脱臼
猫の股関節形成不全の原因
猫の股関節形成不全の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
猫の股関節形成不全の主な原因
猫の股関節形成不全の治療
猫の股関節形成不全の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫の股関節形成不全の主な治療法
- 安静療法 猫がまだ成長期にあり、症状が軽度と判断された場合は、安静にすることが治療、および悪化の防止になります。運動は軽めに抑え、肥満にならないよう食事量に気をつけながら股関節が正常に成長するのを待ちます。
- 投薬治療 ある程度症状が進行し、猫が痛みを感じているような場合は、投薬治療が施されます。抗炎症薬や鎮痛薬を投与して痛みをコントロールすると同時に、食事と運動制限を行い、症状の悪化を防ぎます。
- 外科治療 投薬治療がきかず、運動機能に明らかな障害が見られるないような重症例の場合は、外科手術という可能性もあります。犬では骨盤の3箇所の骨を切断する方法や、太ももの骨を切除して関節を人工的に形成する方法(線維性偽関節形成術)、内モモに走っている恥骨筋を切除する方法など幾つかの方法があります。しかし猫は体が小さいため手術が難しく、また費用も高額なため、国内においてはまだあまり普及していないのが現状です。