猫の骨髄炎の病態と症状
猫の骨髄炎とは、骨の中にある骨髄と呼ばれる組織に病原体が侵入し、炎症が発生した状態のことです。
骨は通常、緻密骨(ちみつこつ)と海綿骨(かいめんこつ)から構成されています。前者は骨の外側を取り巻く頑丈な骨のことで、名前が示す通り骨組織が緻密に張り巡らされています。後者は骨の内側にある網の目のような骨のことで、骨梁(こつりょう)と呼ばれる小さな柱状の骨が三次元的に組み合わせることで内部を補強しています。 通常であれば、緻密骨によって保護されている骨の内腔、すなわち髄腔(ずいくう)に病原体が入ってくる事はありません。しかし何らかの理由で骨に傷が付き、外界と髄腔とを結び付けるトンネルができてしまうと、病原体が内部に侵入し、髄腔内を埋め尽くす骨髄に取り付いてしまうことがあります。このようにして発症するのが「骨髄炎」です。 骨髄炎の症状には以下のようなものがあります。仮に病原体が骨髄内に侵入しても、ほとんどの場合は臨床症状を示す事はありません。しかし病原体に、周辺組織の損傷、骨の壊死、骨折の不安定化、免疫力の低下、異物、外科的なインプラントといった他の要因が加わると、激しい炎症が起こり骨髄炎に発展してしまいます。
骨は通常、緻密骨(ちみつこつ)と海綿骨(かいめんこつ)から構成されています。前者は骨の外側を取り巻く頑丈な骨のことで、名前が示す通り骨組織が緻密に張り巡らされています。後者は骨の内側にある網の目のような骨のことで、骨梁(こつりょう)と呼ばれる小さな柱状の骨が三次元的に組み合わせることで内部を補強しています。 通常であれば、緻密骨によって保護されている骨の内腔、すなわち髄腔(ずいくう)に病原体が入ってくる事はありません。しかし何らかの理由で骨に傷が付き、外界と髄腔とを結び付けるトンネルができてしまうと、病原体が内部に侵入し、髄腔内を埋め尽くす骨髄に取り付いてしまうことがあります。このようにして発症するのが「骨髄炎」です。 骨髄炎の症状には以下のようなものがあります。仮に病原体が骨髄内に侵入しても、ほとんどの場合は臨床症状を示す事はありません。しかし病原体に、周辺組織の損傷、骨の壊死、骨折の不安定化、免疫力の低下、異物、外科的なインプラントといった他の要因が加わると、激しい炎症が起こり骨髄炎に発展してしまいます。
猫の骨髄炎の主症状
- 発熱
- 元気がない
- 運動を嫌がる
猫の骨髄炎の原因
猫の骨髄炎の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
猫の骨髄炎の主な原因
- 外傷 出血を伴うような骨折や、骨膜に達するような傷があると、傷口から病原体が入り込み、さらに骨の亀裂部位から骨髄内へと侵入して骨髄炎を引き起こします。具体的には、高い場所からの落下、交通事故、他の猫との出血を伴うような激しいケンカなどです。
- 他の組織から 他の組織における病原体が、血液に乗って骨髄にやってくるというパターンがあります。このパターンは成猫よりも子猫において多く、ほとんどのケースはへその緒からの病原体侵入です。
- 免疫力の低下 免疫力が低下していると、通常であれば抑えられるはずの病原体の繁殖を抑えこむことができず、激しい炎症につながってしまうことがあります。猫における危険因子は、猫白血病ウイルス感染症と猫エイズウイルス感染症です。
猫の骨髄炎の治療
猫の骨髄炎の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫の骨髄炎の主な治療法
- 投薬治療 骨髄炎に対する治療は、病原体を特定し、それに対応した薬剤を投与することがメインとなります。病原体として圧倒的に多いのはブドウ球菌で、これが全体の50%程度です。その他まれなケースとしては、アクチノミセス、コクシジオイデス、ヒストプラズマ、ブラストミセスといったものがあります。
- 外科治療 骨折の治癒過程が正常に起こらなかった場合には、外科手術が行われることもあります。具体的には、壊死した骨組織である「腐骨」の切除や、炎症を引き起こしているインプラントの除去などです。