猫の膝蓋骨脱臼の病態と症状
猫の膝蓋骨脱臼とは、膝のお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)が太ももの骨からずれてしまう状態を言います。
完全に外れた状態を脱臼というのに対し、不完全に外れた状態を亜脱臼(あだっきゅう)と言います。またお皿が内側にずれた状態を内方脱臼、外側にずれた状態を外方脱臼として分類します。 犬と比較し、猫では軽症例が多いようです。この病気を抱えた猫78頭のうち、後ろ足を引きずって歩いていたのはわずか11頭だけだったというデータがあります(Smith, 1999)。そのうち内方脱臼の重症度Iが45頭、内方亜脱臼が33頭だったとも。
猫の膝蓋骨脱臼の症状としては以下のようなものが挙げられます。
完全に外れた状態を脱臼というのに対し、不完全に外れた状態を亜脱臼(あだっきゅう)と言います。またお皿が内側にずれた状態を内方脱臼、外側にずれた状態を外方脱臼として分類します。 犬と比較し、猫では軽症例が多いようです。この病気を抱えた猫78頭のうち、後ろ足を引きずって歩いていたのはわずか11頭だけだったというデータがあります(Smith, 1999)。そのうち内方脱臼の重症度Iが45頭、内方亜脱臼が33頭だったとも。
猫の膝蓋骨脱臼の症状としては以下のようなものが挙げられます。
猫の膝蓋骨脱臼の主症状
- 重症度I 膝蓋骨を手で脱臼させることはできるが、圧迫を解除すると自力で正常な位置に戻る。
- 重症度II 膝蓋骨を手で脱臼させることはできる or 膝関節を曲げたときに自然に脱臼する。脱臼した膝蓋骨は手で押し戻すか関節を伸ばすまで戻らない。
- 重症度III 脱臼した膝蓋骨は、関節を伸ばして手で押し戻すまで戻らない。膝関節を曲げたりのばしたりすることで、膝蓋骨が容易に再脱臼する。
- 重症度IV 膝蓋骨が常に脱臼状態にあり、手で押し戻すことができない。膝蓋骨が滑る溝(大腿骨滑車溝)は浅いか欠損している。
- 足を引きずって歩く
- 痛み(触ると痛がる)
- すねの捻れ
- 極端なX脚(外方脱臼)やO脚(内方脱臼)
- 太ももと脛の骨をつないでいる前十字靭帯の断裂
- お皿をつないでいる膝蓋靭帯の断裂
- 膝の変形性関節症
- 太もも筋肉付着部の剥離骨折
猫の膝蓋骨脱臼の原因
猫の膝蓋骨脱臼の治療
猫の膝蓋骨脱臼の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫の膝蓋骨脱臼の主な治療法
- 外科治療 脱臼の重症度がII度以降であり、顕著な症状が見られる場合は外科手術が行われます。具体的な方法は、ひざのお皿がはまっている溝を削って深くしたり、筋肉の付着点を骨ごとずらして脱臼が起こりにくくしたり、骨をけずってお皿の位置を強引に溝にはまるようにしたりなど、いろいろあります。
- 保存療法 膝蓋骨の脱臼はその程度に応じて4段階に区分されますが、重症度がI度で、顕著な症状が見られない場合は保存療法、すなわち手術を行わないまま現状を維持するような治療が行われます。具体的には肥満の予防、運動の制限、多少痛みがある場合は鎮痛薬の投与などです。