作品の基本情報
作品解説
「古今比売鑑・薄雲」(ここんひめかがみ・うすぐも)は、江戸元禄年間に評判だった遊女・薄雲をモチーフとした作品です。作者は月岡芳年(つきおかよしとし)。比売鑑(ひめかがみ)は「姫鑑」ともいい、女性の見習うべき手本を意味します。
さて「薄雲」という女性は江戸時代、吉原京町1丁目の三浦屋四郎左衛門のお抱え遊女だったと伝えられています。大変な猫好きとして知られ、肌身離さずべったりくっついていたとか。真偽のほどは定かではありませんが、一説では招き猫の発祥にこの薄雲がかかわっているようです。
さて「薄雲」という女性は江戸時代、吉原京町1丁目の三浦屋四郎左衛門のお抱え遊女だったと伝えられています。大変な猫好きとして知られ、肌身離さずべったりくっついていたとか。真偽のほどは定かではありませんが、一説では招き猫の発祥にこの薄雲がかかわっているようです。
薄雲と招き猫の発祥
江戸・新吉原の遊女屋として名高い三浦屋では、薄雲太夫という遊女がたいそう評判だった。彼女は大の猫好きであり、特に可愛がっていた三毛猫とは常に行動をともにしていたが、そのうち「薄雲は猫に魅入られた」というよからぬ噂まで囁かれるようになる。薄雲と招き猫の関係性は若干眉唾(まゆつば)ものですが、猫好きだったことは確かなようです。絵の中では着物の柄が猫になっており、よくみるとかんざしの飾りもブチ猫になっていますね。
そんなある日、厠(かわや=便所)に入ろうとした薄雲の裾に三毛猫がうるさく付きまとって離れない。見かねた楼主が短刀を抜いて猫の首をはねると、首は宙を飛び、厠の下で薄雲を狙っていた大蛇の喉首に食いついた。
命拾いした薄雲は愛猫の死を深く悲しみ、長崎から取り寄せた伽羅の銘木でこの猫の姿を刻んだ。後にこの猫を真似たものが浅草の歳の市で売り出されるようになり、これが今日の招き猫となった。 招き猫の系譜