作品の基本情報
作品解説
「新板風流相生尽・卯春」(しんばんふうりゅうあいおいづくし・うはる)は、右上部にあるコマ絵と手前図とを対比して楽しむ趣向の作品です。作者は歌川国貞(うたがわくにさだ)。
まず右上部のコマ絵は「竹とスズメ」で、これは古くから日本の画題として存在していたテーマです。「取り合わせがよい」という意味を持ちます。それに対し手前図は着物を着たうら若き女性と、その女性に抱かれたブチ猫。かんざしに飾られているのは小さな糸巻きで、現代で言う「ストラップ」のようなちょっとしたオシャレでしょうか。帯は表と裏で違う柄になっている「昼夜帯」(ちゅうやおび)と呼ばれるもので、着物の柄は歌舞伎役者・七代目市川団十郎が舞台で着て大評判になったと言う「鎌輪ぬ」(「構わぬ」に引っ掛けた一種の謎解き模様)の役者模様になっています。
まず右上部のコマ絵は「竹とスズメ」で、これは古くから日本の画題として存在していたテーマです。「取り合わせがよい」という意味を持ちます。それに対し手前図は着物を着たうら若き女性と、その女性に抱かれたブチ猫。かんざしに飾られているのは小さな糸巻きで、現代で言う「ストラップ」のようなちょっとしたオシャレでしょうか。帯は表と裏で違う柄になっている「昼夜帯」(ちゅうやおび)と呼ばれるもので、着物の柄は歌舞伎役者・七代目市川団十郎が舞台で着て大評判になったと言う「鎌輪ぬ」(「構わぬ」に引っ掛けた一種の謎解き模様)の役者模様になっています。
着物の謎染め「鎌輪ぬ」
赤い首紐に鈴を付けていることから、抱かれている猫は女性のペットであることが分かります。猫は女性の顔にほほを擦り付けて自分の臭いを残そうとしており、女性と猫が相思相愛で、一つの根元から幹が二つに分かれて伸び、切っても切れないまさに「相生」(あいおい)の関係であることがうかがえますね。