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当世美女吾妻風景

 猫の登場する江戸時代の浮世絵作品のうち、当世美女吾妻風景について写真付きで解説します。

作品の基本情報

  • 作品名当世美女吾妻風景
  • 制作年代1823年(江戸・文政6)
  • 落款歌川国貞
  • 板元伊勢屋利兵衛
当世美女吾妻風景のサムネイル写真

作品解説

 「当世美女吾妻風景」(とうせいびじょあづまふうけい)は、日本における年中行事を紹介していくシリーズで、当作品は「浅草寺の年の市」と題されています。作者は歌川国貞(うたがわくにさだ)。
 左上部のコマ絵は、浅草寺「年の市」の様子で、仲見世の屋根やにぎわう人々の様子が見て取れます。「年の市」は江戸時代、毎年12月17・18日に正月用品や縁起物を売る店が境内に集まり、またそれらを毎年この市で求めることを吉例とした人々で賑わう江戸随一の市でした。現在は「歳の市」と呼ばれ、「羽子板市」として境内に数十軒の露店が並ぶことで有名です。
 一方手前に描かれているのは、師走(しわす)における当世(江戸時代)の女性の生活風景です。奥に見えるのはそばか何かでしょうか。着物のすそからのぞく木製の道具はいわゆる行火(あんか)で、木枠の中に小さな火鉢を入れて足の暖を取っていました。女性に抱かれた猫は胸元の暖をとるための湯たんぽ代わりとして、当時の女性間で流行していたのかもしれません。