猫の変形性関節症・簡易質問票
調査を行ったのはノースカロライナ州立大学のチーム。潜在的な患猫がかなりいる変形性関節症(骨関節炎)の徴候をいち早く見つける簡易問診票を作成するため、関節症を発症した猫249頭と、少なくとも変形性関節症を発症していない猫(※他の疾患を抱えていないとは限らない)53頭を対象とした検証を行いました。やり方は、患猫の飼い主に対して行われた問診と、健常猫の飼い主に対して行われた問診を比較し、有病状態と強く連動した質問と、逆に無病状態と強く連動した質問とを選り分けていくというものです。
調査の結果、最終的に6つの質問が候補として残ったといいます。原文中にある「normally」は「問題なく」と訳してあります。
Masataka Enomoto, B Duncan X Lascelles, Margaret E Gruen, Journal of Feline Medicine and Surgery, DOI:10.1177/1098612X20907424
調査の結果、最終的に6つの質問が候補として残ったといいます。原文中にある「normally」は「問題なく」と訳してあります。
あなたの猫は関節症?
- 猫は問題なくジャンプできますか?
- 猫は問題なく着地できますか?
- 段差や階段を問題なくのぼれますか?
- 段差や階段を問題なく降りられますか?
- 猫は問題なく走れますか?
- 動くものを問題なく追えますか?
Masataka Enomoto, B Duncan X Lascelles, Margaret E Gruen, Journal of Feline Medicine and Surgery, DOI:10.1177/1098612X20907424
猫の痛みに気づいてあげよう!
変形性関節症は意外と高い有病率を誇る病気です。たとえば0歳~20歳までのペット猫100を対象としたエックス線検査を行ったところ、およそ90%の割合で関節症の徴候が見られたといいます(:Lascelles, 2010)。
しかし猫の飼い主は病院に連れて行く頻度がそもそも低いこと、変形性関節症が単なる老化現象と勘違いされて気づかれにくいこと、動物病院内において日常生活で見られる動きを再現しにくいことなどから、しっかりと診断されないまま放置されている症例がかなりあるものと推測されています。疾患を抱えた猫のうち40%では何らかの痛みの徴候を示すというデータもありますので、飼い主としてはなんとか気づいてあげたいものですね。
猫向けに開発された「FMPI」や「MI-CAT」といったペインスケール(痛みの指標)はあるものの、これらはすでに発症した猫に対して使用するものであり、発症しているかどうかのスクリーニング(ふるいがけ)にはあまり使えません。また飼い主が自宅で実施するのに時間がかかるという欠点もあります。その点、今回提案された問診票は1分もあれば回答できますので、かなり実用性が高いと言えるでしょう。 「いいえが1項目でもあると55%の確率で変形性関節症」というのは少し精度として低い印象を与えます。しかし多くの老猫が密かに痛みを抱えたまま生活しているという現状もありますので、疾患に全く気づいてもらえないよりはいくらかマシというものです。特に耳折れのスコティッシュフォールドはかなり早い段階から骨軟骨異形成を発症しますので、スコ座りをしていたら「かわいい!」ではなく「足が痛いのかな…」と疑ってあげて下さい。
しかし猫の飼い主は病院に連れて行く頻度がそもそも低いこと、変形性関節症が単なる老化現象と勘違いされて気づかれにくいこと、動物病院内において日常生活で見られる動きを再現しにくいことなどから、しっかりと診断されないまま放置されている症例がかなりあるものと推測されています。疾患を抱えた猫のうち40%では何らかの痛みの徴候を示すというデータもありますので、飼い主としてはなんとか気づいてあげたいものですね。
猫向けに開発された「FMPI」や「MI-CAT」といったペインスケール(痛みの指標)はあるものの、これらはすでに発症した猫に対して使用するものであり、発症しているかどうかのスクリーニング(ふるいがけ)にはあまり使えません。また飼い主が自宅で実施するのに時間がかかるという欠点もあります。その点、今回提案された問診票は1分もあれば回答できますので、かなり実用性が高いと言えるでしょう。 「いいえが1項目でもあると55%の確率で変形性関節症」というのは少し精度として低い印象を与えます。しかし多くの老猫が密かに痛みを抱えたまま生活しているという現状もありますので、疾患に全く気づいてもらえないよりはいくらかマシというものです。特に耳折れのスコティッシュフォールドはかなり早い段階から骨軟骨異形成を発症しますので、スコ座りをしていたら「かわいい!」ではなく「足が痛いのかな…」と疑ってあげて下さい。
ペインスケールについて解説した「猫の急性痛を見つける」や「猫の慢性痛を見つける」も参考にして下さい。猫の体調不良に気づかないまま放置しているかもしれません。