SFTSの病態と症状
「SFTS」とはウイルスが体内に侵入することにより、重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)が引き起こされる病気です。2011年、中国において初めて流行が報告され、日本では2013年1月に最初の症例が確認されました。以来、毎年60名前後の患者が報告されています。
原因ウイルスはブニヤウイルス科フレボウイルス属の「SFTSウイルス」。日本のウイルスは中国や韓国で発見されたSFTSウイルスと遺伝子レベルでわずかに異なっていることから、外来ではなく元から国内にいたものと推定されています(:厚生労働省)。 人における重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の主な症状は以下です。潜伏期間は6日~14日程度と推定されています。また少数の症例から類推し、犬や猫における症状も同一だと考えられます。
原因ウイルスはブニヤウイルス科フレボウイルス属の「SFTSウイルス」。日本のウイルスは中国や韓国で発見されたSFTSウイルスと遺伝子レベルでわずかに異なっていることから、外来ではなく元から国内にいたものと推定されています(:厚生労働省)。 人における重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の主な症状は以下です。潜伏期間は6日~14日程度と推定されています。また少数の症例から類推し、犬や猫における症状も同一だと考えられます。
SFTSの症状
- 消化器症状食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛
- インフルエンザ様症状発熱、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹、呼吸不全
- 神経症状意識障害、けいれん、昏睡
- 出血症状歯肉出血、紫斑、下血(血便)
SFTSの原因
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。どのパターンにしても、感染生物の血液や体液が傷口などを通して血流に入ることが必要です。
SFTSの主な原因
- マダニ マダニに刺されることでウイルスに感染します。人間への感染が確認されているマダニはフタトゲチマダニとタカサゴキララマダニ。ウイルスを保有しており、人間に感染させる可能性を持っている種類としては上記2種のほかヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニなどがあります。ウイルス保有率は0~数%で地域や季節により変動します。
- 感染動物 ウイルスに感染した動物に噛まれることで感染する可能性を否定できません。ウイルスを保有している、もしくはかつて体内にウイルスを保有していた(抗体が存在する)ことが確認されている哺乳動物には、猫、犬(0~15%)、シカ(0~90%)、イノシシ(0~10%)、アライグマ(28%)、タヌキ、アナグマ、イタチ、ニホンザル、ウサギなどがいます。
- 感染者 中国や韓国では、患者血液との直接接触が原因と考えられる人から人への感染事例も報告されています。
SFTSの治療
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
SFTSの治療・予防法
- 対症療法 有効な治療法はないため、症状が重症化しないよう対症療法を行い、患者の免疫力がウイルスを駆逐してくれるのを待つしかありません。
- 人のダニ予防 ダニに刺されることを予防するため、草原、藪、山林に入ることを極力控えます。どうしても入る必要がある場合は、皮膚が外部に露出しないよう気をつけます。具体的には、帽子(頭皮)、タオル(首元)、長靴(足)、手袋(手)、長袖(腕)、長ズボン(脚)などです。
- 猫の室内飼い 猫を放し飼いにし、マダニが生息している屋外と接触する機会を持たせていることが感染確率を高めるため、完全室内飼いにすることが推奨されます。SFTSに感染した猫が自分の股間を舐めることで口の中にウイルスが移動し、その口で飼い主を噛むことで人間にもウイルスが感染してしまう可能性を否定できません。2016年には、猫の噛み傷が原因と考えられる50代女性の死亡例も報告されています。
- ペットのダニ予防 殺ダニ薬を投与することでマダニに刺される可能性を減らすことができます。ただし「ペルメトリン」および「フェノトリン」という成分を含む製品は、猫に中毒症状を引き起こすことが知られていますので避けるようにします。犬と同居している場合は、猫が犬の被毛を舐める可能性を考慮し、やはり使用を控えるようにします。
- 野良猫との接触に注意 屋外を自由に歩き回っている野良猫がマダニ経由でウイルスを保有している可能性を否定できません。TNR活動として野良猫を捕獲する必要がある人は、万が一猫に噛まれても皮膚に傷ができないよう、何らかの防護服を着用することが推奨されます。なお猫に感染歴があっても、免疫力によって既にウイルスを駆逐している場合は、感染の心配はありません。
飼い主ができる最善の予防策は、猫の放し飼いをやめて完全室内飼いを徹底することです。