パスツレラ症の病態と症状
パスツレラ症とは、パスツレラ属菌のパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)によって引き起こされる日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)です。「日和見感染症」とは、免疫力が低下した時にだけ日和見的に症状を現す感染症のことを指します。
パスツレラ菌は犬や猫の口の中に高率で存在する菌であることから、ペットと暮らしている人たちにとっては、決して「対岸の火事」では済まされない病気の一つと言えます。
パスツレラ症の症状には以下のようなものがありますが、犬や猫においてはほとんど無症状です。人の場合、犬や猫に噛まれたり引っかかれたりしてから約30分~数時間後に激痛を伴う腫脹と浸出液が排出されます。
パスツレラ菌は犬や猫の口の中に高率で存在する菌であることから、ペットと暮らしている人たちにとっては、決して「対岸の火事」では済まされない病気の一つと言えます。
パスツレラ症の症状には以下のようなものがありますが、犬や猫においてはほとんど無症状です。人の場合、犬や猫に噛まれたり引っかかれたりしてから約30分~数時間後に激痛を伴う腫脹と浸出液が排出されます。
パスツレラ症の主症状
- 噛まれた場所の炎症(腫れ・発赤・痛み)
- 気管支炎・肺炎
パスツレラ症の原因
パスツレラ症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
パスツレラ症の主な原因
- 犬や猫による噛み傷 パスツレラ菌は、犬や猫の口の中に高率で常在しています。こうした犬や猫に噛まれたり引っかかれたりすることで菌が人の体内に入り込み、発症します。
- 空気感染 まれにくしゃみや咳などによる飛沫が鼻や口から入り、呼吸器系の疾患を起こす事があります。
- ペットとのスキンシップ ペットとキスをしたり食器を共有するなどして唾液を体内に取り込んで感染するというパターンもあります。ややサンプル数は少なめですが、1992年に日本で行われた調査によると、ペットと濃厚なスキンシップを取っていない飼い主の口内からは菌が見つからなかった一方、犬や猫と頻繁にキスをする習慣がある飼い主の口内からは菌が検出されたという結果が出ています。
また2024年には猫との濃厚接触(キス)によってパスツレラ菌に感染し、急性喉頭蓋炎から緊急入院を余儀なくされた男性の症例が報告されています。詳しくは以下のレポートをご覧ください。
パスツレラ症の治療
パスツレラ症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
パスツレラ症の主な治療法
- 投薬治療 パスツレラ症の治療は、ペニシリン系、およびセフェム系抗生物質が有効とされています。
- 予防 パスツレラ症の予防対策としては、犬、猫に噛まれたり引っかかれたりしないよう気をつけることです。また、キスをしたり食器を共有するなど、ペットとの過剰なスキンシップも慎んだ方がよいでしょう。パスツレラ症は免疫力が低下した時だけ症状を現す日和見感染症ですので、免疫力が低下しないよう充分な栄養と、ストレスをためない生活環境の整備が重要となります。