トップ猫の文化猫の浮世絵美術館歌川国芳展猫の当て字

猫の当て字

 江戸時代に活躍した浮世絵師・歌川国芳の残した猫の登場する作品のうち、猫の当て字について写真付きで解説します。

作品の基本情報

  • 作品名猫の当て字
  • 制作年代1841-43年(天保12-14年)
  • 落款一勇斎国芳戯画
  • 板元伊場屋仙三郎
猫の当て字のサムネイル写真

作品解説

 題字にある「當字」は「当て字」と読みます。猫をうまく配置して文字を作り出す「はめ絵」の一種で、「かつを」・「なまづ」・「たこ」・「ふぐ」・「うなぎ」の5枚が確認されています。
 題字のフレームにはタイトルに応じた魚介類がデザインとして組み入れられており、落款部分のフレームは鈴を付けた猫の首紐で「よし」という文字が組まれています。
江戸時代に使用されていた変体仮名
江戸時代に使用されていた変体仮名  たこの「こ」、なまづの「づ」、うなぎの「な」は漢字を崩した「変体仮名」と呼ばれる江戸時代の字体なので、ぱっと見では読めませんね。ちなみにうなぎの「ぎ」についている濁点(右肩のちょんちょん)は、当時猫のエサ容器として用いられていたアワビの貝殻だと思われます。
 なお板元伊場屋仙三郎は俗に伊場仙と呼ばれた著名な錦絵地本問屋で、幕末の団扇の大半を扱うほか、一枚絵も出版していました。