猫の行動・その理由は?
猫はたんすの引き出し、買い物袋、洗濯機の中、段ボール箱の中など、狭くて暗い場所が大好きです。猫がこうした場所を好む理由は、獲物が隠れているような気がして狩猟本能をかき立てられるからだと考えられます。猫の祖先であるリビアヤマネコは、獲物が豊富とはいえない砂漠において、小さな昆虫、ネズミ、イタチといった生き物をエサにして暮らしてきました。こうした住環境で長いこと生きてきたため、小動物がもぐりこめそうな小さな穴の入り口を見ると、「何かおいしい獲物はいないかな?」という期待感を抱くようになった考えられます。インターネットの人気者「まる」が、箱に向かって豪快に飛び込むのは、おそらく祖先から受け継いだハンターとしての血が騒ぐからなのでしょう。
特訓するねこ。
猫が「狭くて暗い場所」を好むもう一つの重要な理由は、安全基地として外敵から身を隠せるというものです。2014年、オランダのユトレヒト大学で行われた実験により、隠れ場所のある猫とない猫とでは、真新しい環境に対して感じるストレスの度合いが大幅に異なることが明らかになりました。実験の対象となったのは、オランダの動物保護施設に収容された合計19匹の猫。そのうちの10匹を「隠れ家あり」の環境に置き、残りの9匹を「隠れ家なし」の環境に置いて、ストレスの度合いを示す「キャットストレススコア」(CSS)をモニタリングしました。その結果、「隠れ家あり」のグループでは施設到着3日目において早くも環境に慣れ始めたのに対し、「隠れ家なし」のグループでは、環境に完全に慣れるまで2週間を要したとのこと。こうした事実から研究者らは、「猫にとっての隠れ家は、真新しい環境におけるストレスを軽減するために非常に重要である」という結論に至っています。猫がやたらとタンスや段ボール箱の中に入りたがるのは、恐らく本能的に「ここなら安全だ!」と感じているからなのでしょう。
Will a hiding box provide stress reduction for shelter cats?
猫が狭くて暗い場所を好む理由
- 獲物が隠れていそう
- 体の大きな外敵から身を守れる
- 光に敏感な目を日光から守る
野良猫の隠れ家
人間に飼われていない猫たちの生態は謎に満ちていますが、異なる地域で行われた複数の観察結果から、やはり野良猫たちも狭くて暗い場所を住処(すみか)にする傾向があることが分かっています。
田舎に暮らしている野良猫では、鳥やウサギの巣穴、木の洞(うろ)、倒木でできた隙間、茂みの陰、藪の中など、自然にできた空間を住処にする傾向が観察されました。一方都会に暮らしている野良猫では、廃墟ビル、下水溝、床下など、人工建築物を利用する傾向があったといいます。いずれにしても、わざわざ巣穴を掘るといった行動までは取らないようなので、家に関して猫たちは「賃貸派」なのでしょう。 FREE-RANGING CATS(Wiley Blackwell) こうした住処の中で最も居心地がよいのは、「木の洞」だと考えられます。木の幹にあるアライグマの巣穴(入口は北向きで14cm×11.5cm・巣の内部は直径74cm)を調査したところ、外気温が1.7℃変化しているのに、内部は0.32℃しか変化しなかったといいます。このような木造の空間は、雨露を防ぐと同時に外気を防いでくれますので、猫にとって絶好の「ログハウス」になってくれるでしょう。
逆に注意を要するのは「ウサギの巣穴」です。1998年、ニュージーランドで野生猫の調査を行ったところ、ウサギの巣に強引に入ろうとした猫が入口でつっかえ、そのまま死んでしまったといいます。人間でいうと、煙突から侵入しようとした泥棒が途中でつっかえ、そのまま身動きが取れなくなった状況に近いのかもしれません。
飼い猫にしても野良猫にしても、すっぽりと身を隠せる狭くて暗い場所は非常に重要なようです。わざわざ家の中に「木の洞」を再現する必要はありませんが、飼い猫のストレスを最小限にとどめるため、家の中では人目につかない場所に隠れ家を用意し、いつでも引きこもれる状態にしてあげることをお勧めします。
田舎に暮らしている野良猫では、鳥やウサギの巣穴、木の洞(うろ)、倒木でできた隙間、茂みの陰、藪の中など、自然にできた空間を住処にする傾向が観察されました。一方都会に暮らしている野良猫では、廃墟ビル、下水溝、床下など、人工建築物を利用する傾向があったといいます。いずれにしても、わざわざ巣穴を掘るといった行動までは取らないようなので、家に関して猫たちは「賃貸派」なのでしょう。 FREE-RANGING CATS(Wiley Blackwell) こうした住処の中で最も居心地がよいのは、「木の洞」だと考えられます。木の幹にあるアライグマの巣穴(入口は北向きで14cm×11.5cm・巣の内部は直径74cm)を調査したところ、外気温が1.7℃変化しているのに、内部は0.32℃しか変化しなかったといいます。このような木造の空間は、雨露を防ぐと同時に外気を防いでくれますので、猫にとって絶好の「ログハウス」になってくれるでしょう。
逆に注意を要するのは「ウサギの巣穴」です。1998年、ニュージーランドで野生猫の調査を行ったところ、ウサギの巣に強引に入ろうとした猫が入口でつっかえ、そのまま死んでしまったといいます。人間でいうと、煙突から侵入しようとした泥棒が途中でつっかえ、そのまま身動きが取れなくなった状況に近いのかもしれません。
飼い猫にしても野良猫にしても、すっぽりと身を隠せる狭くて暗い場所は非常に重要なようです。わざわざ家の中に「木の洞」を再現する必要はありませんが、飼い猫のストレスを最小限にとどめるため、家の中では人目につかない場所に隠れ家を用意し、いつでも引きこもれる状態にしてあげることをお勧めします。