トップ猫の心を知る猫の習性もみもみマッサージをする

もみもみマッサージをする

 猫の習性の一つであるもみもみマッサージをするという点について解説します。
 猫が他の猫や犬、あるいは飼い主の体の一部をもみしだくような動作を取ることがありますが、猫はなぜこのような行動を取るのでしょうか?

猫の行動・その理由は?

 猫が犬や人間の体をもみもみと、あたかもマッサージするかのようにもみしだく動画をたまに見かけます。このマッサージ行為の理由は、子猫が母猫の乳を出やすくするときの名残(なごり)です。
 ミルクトレッド(milk tread)、もしくはニーディング(kneading)とも呼ばれるこの行為は、離乳が終わらないうちに母猫から引き離された猫に多いとも言われています。「お母さんのお乳に吸い付いて、たらふく母乳を吸い取るぞ!」という本能的な欲求を充分に満たされなかった子猫が成長したとき、その欲求不満の捌け口(はけぐち)を人間や犬の体にぶつけているのかもしれませんね。 子猫の育て方
 以下でご紹介するのは、もみもみとマッサージする猫の姿をとらえた動画です。 元動画は→こちら

マッサージと射乳反射

 子猫が母猫の乳首に吸い付いたり乳房をもみもみマッサージすることには、射乳反射を促す効果があるようです。「射乳反射」(しゃにゅうはんしゃ)とは、乳頭に加えられた刺激が引き金となって母乳の分泌が促進される現象のことを指します。具体的には以下です。
射乳反射メカニズム
  • 乳頭に吸引刺激が加えられる
  • 刺激が脊髄から脳の視床下部に到達する
  • 下垂体からオキシトシンホルモンが分泌される
  • オキシトシンが乳腺の星状筋上皮細胞を刺激する
  • 乳腺が圧迫されて母乳が分泌される
射乳反射~乳首への吸引刺激が引き金となってオキシトシンが分泌される  この射乳反射を引き起こす最も大きな要因は、言うまでもなく乳首に対する吸い付きです。しかしマッサージがもつ補助的な効果も無視できません。まず第一に、マッサージによって乳腺に物理的な圧迫が加わると、ちょうど水を含んだスポンジを絞るように、中に含まれる水分が外に押し出されるという効果が期待できます。そして第二に、 乳首に吸い付いた状態で前足を伸ばして乳房を押しのけると、乳首周辺の皮膚が引き伸ばされて吸引刺激が増幅され、結果として射乳反射が促されるという効果も期待できます。つまりマッサージには、「乳腺を圧迫する」という直接的な効果と、「皮膚を引き延ばして吸引刺激を増幅する」という間接的な効果があるというわけです。
 成長した猫がマッサージしている時は、ひょっとすると授乳期のかすかな記憶がよみがえり、「何だか知らないけど安心する!」と感じているのかもしれません。人間で言うと、きっと子供の「指しゃぶり」に近い心理状態なのでしょう。