トップ猫の心を知る猫の習性日向ぼっこが好き

日向ぼっこが好き

 猫の習性の一つである日向ぼっこが好きという点について解説します。
 野良猫は屋根の上や車のボンネットの上、ペット猫は窓辺に陣取って長いこと日向ぼっこをしますが、猫はなぜこのような行動を取るのでしょうか?

猫の行動・その理由は?

 猫は日向(ひなた)ぼっこが大好きです。野良猫は屋根の上やボンネットの上に寝そべり、一日中ゴロゴロすることもあります。あるいは家の中で飼われているペット猫は、お日様が昇ると窓辺に移動し、お気に入りの場所で昼寝を始めたりします。こうした猫の日向ぼっこ好きの理由としては、主に以下のようなものが考えられます。
猫が日向を好む理由
  • 省エネ 体温を維持するためには、ある程度エネルギーを消費する必要があります。日光を浴びていると、自家発電によって体温を一定に保つ割合が少なくなりますので、その分消費エネルギーを浮かせることができるでしょう。
     また犬のように無駄に駆けずり回るのではなく、日向でゴロゴロしていれば、それだけ運動によるエネルギー消費が少なくて済むといった単純な側面もあります。 猫の体温調整
  • 被毛の水分を蒸発させる 毛についた水分を蒸発させることで皮膚病を予防しているという可能性も考えられます。水がなければ菌などが繁殖できないというわけです。 猫の皮膚病
  • 紫外線を浴びる 日光に含まれる紫外線を浴びることで、体毛の表面に付着した細菌を殺菌消毒している可能性もあります。
猫が日向ぼっこを好むのには複数の理由があります。  猫が日向ぼっこを好む理由として、私たち人間と同様、「皮膚に紫外線を浴びることでビタミンDを生成している」という説がありますが、1999年に行われた調査によると、どうやらこの説は成立しないようです。実験では、猫が屋外にいようが室内にいようが、また被毛が厚かろうが薄かろうが、日光浴の量とビタミンDの体内濃度に変化はなかったといいます。理由は、ビタミンDの元となる「7-デヒドロコレステロール」と呼ばれる有機化合物が、猫の皮膚中に不足しているからだとか。つまり、人間がビタミンCを食事から補給するように、猫はビタミンDをエサから補給する必要があるというわけです。 Ineffective Vitamin D Synthesis in Cats

気を付けたい高層症候群

高い場所で日向ぼっこをする猫には、常に「高層症候群」の危険性が付きまとう  「高層症候群」(こうそうしょうこうぐん, high-rise syndrome)とは、2階(7~9メートル)よりも高い場所から落下した猫が被(こうむ)る怪我のことです。もし猫が、高層階のベランダや屋根の上で日向ぼっこをする習慣があるような場合は、常にこの「高層症候群」に陥る危険性があります。
 1987年、5ヶ月間に「高層症候群」として診察された132頭の猫を対象とした調査では、手足の骨折、歯牙の破損、腱や靭帯の断裂、肺を始めとする内臓の損傷などが報告されています。さらに1998~2001年の4年間、同じく「高層症候群」として診察された119頭の猫を対象とした調査では、「59.6%は1歳未満」、「落下時の平均的高さは4階」、「暖かい季節に多い」とのこと。最後の「暖かい季節」は、恐らく日向ぼっこの頻度と関係があるのでしょう。 1987年、132頭の猫を対象とした調査における高層症候群の内訳
 猫はバランス感覚の優れた動物ですが、鳥やトンボに気を取られ、自分がいる場所を忘れてダイブしてしまうかもしれません。ですからベランダの縁で日向ぼっこをさせるの厳禁です。マンションなど高い場所に暮らしている人は、以下に述べるような注意事項を厳守するようにしましょう。
高層症候群・予防策
  • 猫の身体能力を過信しない
  • 赤ん坊や犬用の柵は猫には無意味
  • 猫をベランダに出さない
  • 窓を開けっぱなしにしない
  • 窓には必ず網戸を付ける
 飼い主の不注意から猫がベランダから落下して致命傷を負ってしまうと、自責の念からひどいペットロス症候群にかかってしまうこともあります。ですから猫を安易に外に出すのではなく、室内の日当たりのよい場所にふかふかのベッドやクッションなどを置いてあげるようにしましょう。