ベンガルの基本情報
ベンガルの歴史・ルーツ
ベンガルは、イエネコとヤマネコの交配によって誕生した品種です。1970年代、ロマ・リンダ大学のウィラード・センターウォール医師は、猫白血病に対して先天的な免疫力を持つヤマネコ(アジアン・レパード・キャット/ALC)の研究をし、ワクチンを作るため、野生のヤマネコとイエネコとのハイブリッド種を育成していました。一方同時期、猫のブリーダーであるジーン・ミルは、毛皮の為に密漁されるヤマネコたちの存在に心を痛めていました。彼女は、「ヤマネコのような被毛を持ったペットがいれば、毛皮に対する需要が減るかもしれない」と考え、ヤマネコとイエネコとの交配を計画します。こうした背景の中で、センターウォール医師とジーンが出会いました。
医師から合計9匹のヤマネコ/イエネコハイブリッド種を譲り受けたジーンは、野生のインディアン・マウなどと交配し、ベンガルの基礎を築きました。名前はアジアン・レパード・キャット(ALC)の分類学上における名称「P.b.bengalensis」からで、「ベンガルトラ」とは関係ありません。なお、公認はされていませんが、劣性遺伝によって発現する長毛種は「カシミア」(Cashmere)と呼ばれることがあります。
医師から合計9匹のヤマネコ/イエネコハイブリッド種を譲り受けたジーンは、野生のインディアン・マウなどと交配し、ベンガルの基礎を築きました。名前はアジアン・レパード・キャット(ALC)の分類学上における名称「P.b.bengalensis」からで、「ベンガルトラ」とは関係ありません。なお、公認はされていませんが、劣性遺伝によって発現する長毛種は「カシミア」(Cashmere)と呼ばれることがあります。
ベンガルの特徴・性格
ベンガルの特徴は、ヒョウを思わせるその被毛です。「ロゼット」(2つの色合いをもつスポットまたはマーキングの事)と呼ばれる模様を持つのはベンガルだけで、手触りは非常に滑らかです。ボディは筋肉質なロング&サブスタンシャルタイプ。雰囲気は非常に野生的で、小型のヒョウのようです。
ベンガルの性格は、野生的な外見とは裏腹に、社交的で明るく、甘えん坊でお茶目です。
ベンガルの性格は、野生的な外見とは裏腹に、社交的で明るく、甘えん坊でお茶目です。
ベンガルのお手入れ・注意点
ベンガルのお手入れは、体のチェックを兼ねて一日一回のブラッシングで充分でしょう。
ベンガルの動画
以下でご紹介するのはベンガルの歴史や特徴を解説した動画です。英語ですが、内容はおおむね上で説明したことと同じです。
普通のネコのように「ニャー」と鳴くことがなく、どちらかというと犬が吠えるように「ニャッ」という短い声を出すのが特徴だそうです。猫白血病に対する免疫を有しているのは、祖先であるアジアン・レパード・キャットから受け継いだ財産とも言えるでしょう。活動的で常に遊びを求めるタイプなため、上級者向けとのこと。
普通のネコのように「ニャー」と鳴くことがなく、どちらかというと犬が吠えるように「ニャッ」という短い声を出すのが特徴だそうです。猫白血病に対する免疫を有しているのは、祖先であるアジアン・レパード・キャットから受け継いだ財産とも言えるでしょう。活動的で常に遊びを求めるタイプなため、上級者向けとのこと。
ベンガルの病気
以下でご紹介するのは文献などで報告されているベンガルに発症しやすい病気のリストです。外国のデータも含まれるため日本の猫には当てはまらない場合もありますが、好発疾患の知識は飼い主にとって重要なため記載しておきます。なお病気に関する詳しい内容や元となっているデータは以下のページで解説しています。
猫伝染性腹膜炎(FIP)
猫伝染性腹膜炎(FIP)とは、猫腸コロナウイルスが突然変異を起こして強い病原性を獲得し、腹膜炎を特徴とする激しい症状を引き起こす致死性の高い病気。今現在、病原性の低い「猫腸コロナウイルス」(FECV)と致死性の高い「猫伝染性腹膜炎ウイルス」(FIPV)を事前に見分ける有効な方法は存在していません。ひとたび発症してしまうと効果的な治療法がなく、二次感染を防ぐための抗生物質の投与、免疫力を高めるためのネコインターフェロンの投与、炎症を抑えるための抗炎症薬の投与などで様子を見るというのが基本方針です。
ピルビン酸キナーゼ欠損症
ピルビン酸キナーゼ欠損症(Pyruvate kinase deficiency, PKDef)とは、赤血球上にあるピルビン酸キナーゼと呼ばれる酵素が欠損することにより十分なエネルギーを産生することができなくなり、赤血球の寿命が縮んで貧血に陥ってしまう病気。診断は血液検査を通した貧血の確認や、遺伝子検査を通した疾患遺伝子の確認などで下します。貧血を根本的に改善するには骨髄移植が必要ですが、現実的ではありません。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症とは、メス猫の子宮内に病原体が入り込み、炎症反応が起こって膿が溜まってしまう病気。診断は血液検査や尿検査、エックス線や超音波検査を通して下します。治療は抗生物質による投薬治療や外科的な子宮摘出がメインです。
ベンガル網膜症
ベンガル網膜症とはベンガルにおいてのみ特異的に見られる疾患で、生後2ヶ月齢ころから急速に網膜上の光受容器が変性して失われていくというもの。常染色体劣性遺伝で、網膜の中にあり白黒を判別する「杆体」に関しては生後7週齢ころから減り始め14週齢になる頃には完全に消失、色合いを判別する「錐体」に関しては生後9週齢ころから減り始め26週齢になる頃にはほぼ消失するとされています。また1歳になるまでには完全に視力を失うとも。
多発ニューロパチー
多発ニューロパチーとは、複数の末梢神経に同時に病変が発生し、運動能力などが低下してしまう病気。原因はよくわかっておらず、自然回復する症例もあります。
白内障
白内障とは、眼球内にある水晶体と呼ばれる組織が白く濁り、視力が低下~喪失してしまった状態のこと。診断は目視検査や血液の生化学検査、視力の電気的な検査(網膜電図)などを通して下します。治療は投薬や点眼、外科手術(水晶体吸引)がメインです。
胸壁の奇形
胸壁の奇形とは、背骨、肋骨、胸骨などが正常に形成されず、胸腔が変形してしまう先天的な病気。診断はエックス線やCTスキャン、MRIなどを通して下します。治療は保存療法をメインとし、奇形が重度で呼吸が苦しそうな場合は外科手術や矯正具が用いられることもあります。