ワクチン接種によって猫の腎臓由来のタンパク質に対する抗体が形成される可能性が示されています。
コロラド州立大学の調査チームは生後8週齢の子猫14頭を対象とし、CRFK溶解物および製造工程でCRFKタンパクが混入した可能性が高い生ワクチンを接種した場合の免疫応答を調査しました
(:Lappin, 2005)。
14頭のうち8頭を2頭ずつからなる4つのグループに分け、流通している4種類の生ワクチンを生後0→3→6→50週齢のタイミングで接種しました。3グループは皮下注射、残り1グループは鼻と眼球を通じて接種するタイプです。また残りの6頭を2頭ずつからなる3つのグループに分け、「CRFK溶解物10μg」「CRFK溶解物50μg」「CRFK溶解物50μg+アジュバント」のいずれかを生後50週齢になるまでの間に11回皮下接種しました。
その結果、溶解物接種グループ(6頭)では
接種量に関わらずすべての猫がCRFK溶解物もしくはネコ腎細胞溶解物に対する抗体を形成したといいます。また非経口的ワクチン接種グループ(8頭)では皮下接種を受けた6頭のうち5頭がCRFK溶解物に対する抗体を形成し、全頭がネコ腎細胞溶解物に対する抗体を形成しました。一方、鼻や眼球を通じて接種を受けた2頭では抗体が検知されなかったそうです。調査の前後で腎生検を行いましたが病変は確認されませんでした。
こうした結果から調査チームは、非経口的な接種によりCRFK溶解物もしくはネコ腎細胞溶解物に対する抗体が形成されるものの、少なくとも56週間というスパンでは病変が確認されないと結論づけています。