猫の骨盤骨折・原因と死亡率
調査を行ったのはハンガリーやドイツなど複数の国からなる共同チーム。猫の骨折外傷において高い割合を占める骨盤骨折に関し、その後の死亡率に影響を及ぼす予見因子が何であるかを検証しました。
調査チームはまず、動物病院に保存された電子医療記録(2003年1月~2016年11月)の中から骨盤骨折と診断された症例のうち、基本データやエックス線画像がしっかりと揃っている症例だけピックアップしました。その結果、280頭(オス142+メス127+不明 | 年齢中央値2.2歳 | 体重中央値4kg)の症例が見つかったといいます。次に骨折の原因を調べてみたところ、そのほとんどが交通事故であることが判明しました。具体的な内訳は以下で、「高層階症候群」とは集合住宅の高層階など高い場所から落下して地面に衝突することです。
全体の死亡率は20%(56/280)で、そのうち9割弱までもが安楽死による人為的なものでした。さらに死亡率に影響を及ぼす因子を調べたところ、麻酔を伴う医療的介入が1つ増えるほどリスクが93%減り、逆に受傷部位の数を数値で示した「BRS」(Body Region Score)が1つ高まるにつれ死亡リスクが85%高まったといいます。 Predictors of comorbidities andmortality in cats with pelvic fractures.
Hammer M, Gutbrod A,Sigrist NE, et al. VeterinarySurgery. 2019;1?10.https://doi.org/10.1111/vsu.13369
猫の骨盤骨折の原因
- 交通事故=82.1%
- 高層階症候群=10.4%
- その他=1.4%
- 不明=6.1%
全体の死亡率は20%(56/280)で、そのうち9割弱までもが安楽死による人為的なものでした。さらに死亡率に影響を及ぼす因子を調べたところ、麻酔を伴う医療的介入が1つ増えるほどリスクが93%減り、逆に受傷部位の数を数値で示した「BRS」(Body Region Score)が1つ高まるにつれ死亡リスクが85%高まったといいます。 Predictors of comorbidities andmortality in cats with pelvic fractures.
Hammer M, Gutbrod A,Sigrist NE, et al. VeterinarySurgery. 2019;1?10.https://doi.org/10.1111/vsu.13369
骨盤骨折はただではすまない
今回の調査対象となったのは事故をなんとか切り抜けて動物病院に運び込まれた症例だけです。受傷したその場で死亡した例や、受傷後間もなく死亡した例は除外されていますので、実際のケースはもっと多いと推測されます。さらに医療記録が不十分なため調査から除外された症例まで含めると、その合計数は膨大なものになるでしょう。
死亡率を高める予見因子としては「受傷部位の数」が残りました。死亡症例の中には骨盤の怪我が原因で命を落としたもののほか、併存する外傷部位から予後を悲観したり、経済的な負担ができないことを理由に飼い主が安楽死を決断した症例も含まれます。骨盤を骨折した後かろうじて生き残ったとしても、次のハードルが待ってるというわけです。
さらに安楽死のピンチを切り抜けたとしても、その後には長期に渡るリハビリが待っています。過去の調査では骨盤骨折を負った猫の同時受傷率が72%で、特に仙骨骨折、大腿骨の脱臼や骨折、胸椎の怪我が多かったと報告されています。今回の調査でも、併存症の平均数が2.4箇所、骨盤以外の受傷箇所が1箇所以上では94%、2箇所以上にしぼっても74%という高い受傷率を示したとのこと。特に腹部(58%)、胸部(50%)、軟部組織(49%) 、中枢・末梢神経系(44%)、四肢末端(25%)、顔面(14%) における同時受傷が多かったそうです(※複数回答)。
死亡率を高める予見因子としては「受傷部位の数」が残りました。死亡症例の中には骨盤の怪我が原因で命を落としたもののほか、併存する外傷部位から予後を悲観したり、経済的な負担ができないことを理由に飼い主が安楽死を決断した症例も含まれます。骨盤を骨折した後かろうじて生き残ったとしても、次のハードルが待ってるというわけです。
さらに安楽死のピンチを切り抜けたとしても、その後には長期に渡るリハビリが待っています。過去の調査では骨盤骨折を負った猫の同時受傷率が72%で、特に仙骨骨折、大腿骨の脱臼や骨折、胸椎の怪我が多かったと報告されています。今回の調査でも、併存症の平均数が2.4箇所、骨盤以外の受傷箇所が1箇所以上では94%、2箇所以上にしぼっても74%という高い受傷率を示したとのこと。特に腹部(58%)、胸部(50%)、軟部組織(49%) 、中枢・末梢神経系(44%)、四肢末端(25%)、顔面(14%) における同時受傷が多かったそうです(※複数回答)。
骨盤骨折は防げる怪我
過去に国外で行われた調査では、交通事故に遭った猫が高い確率で死に至ることが確認されています。また2019年に日本で公開された屋外負傷動物の環境省統計データによると、施設に収容されただけで11,184頭、そのうちの7,673頭(68.6%)までもが殺処分という憂き目に遭っていることがわかります。さらに飼育場所の統計データ(2019年版)では、猫の屋外アクセスを許している人の割合が11.6%と推計されています。
こうした人たちが何を考えているのかはわかりませんが、猫を屋外に放置することが交通事故に遭うリスクを高め、結果として骨盤骨折や路上死の原因になっていることは自明です。放し飼いは悪性腫瘍を放置するのと同じように、猫の健康と安全をないがしろにするネグレクトという動物虐待の一種であるという認識を広めなければならないでしょう。#外猫たちの暮らしは過酷
— 子猫のへや (@konekono_heya) March 12, 2019
餌場に向かう途中で車にはねられ、骨盤骨折という大怪我を負った外猫「ミーシャ」~2度びきは免れたものの収容された保健所では治療を行ってもらえず。怖い経験と痛みのためなんだか性格まで変わってしまった。
【えひめイヌネコ会】→https://t.co/hW7hpgupSU