典型的な猫の姿勢
以下は、猫の行動学者であるLeyhausenが1975年に作成した、典型的な猫の姿勢一覧図です。
横軸は、右に行けば行くほど「攻撃性」が高くなります。縦軸は、下に行けば行くほど「恐怖と服従性」が高くなります。また、四隅に位置する典型的な身体姿勢(1~4図)に関しては、さらにその下で細かく解説しました。
猫カフェに行って猫を触りたいときや、近所の野良猫をなでたいとき、猫の出しているメッセージを読み取ることができれば、少なくとも猫に嫌われることは無いでしょう。 「動物行動医学」(チクサン出版社) 「犬と猫の行動学」(インターズー)
猫カフェに行って猫を触りたいときや、近所の野良猫をなでたいとき、猫の出しているメッセージを読み取ることができれば、少なくとも猫に嫌われることは無いでしょう。 「動物行動医学」(チクサン出版社) 「犬と猫の行動学」(インターズー)
リラックス中の猫の姿勢
以下で示すのは、リラックスしているときに猫が見せる典型的な姿勢です。体に力みがなく、心身ともにニュートラルな状態に近いと言えます。人間で言うと、公園のベンチに座ってのんびりハトを眺めているときの気分に近いでしょう。
- 顔瞳孔は中程度に開き、耳は前方に向く。口は閉じて歯は見せない。
- しっぽ緩やかに垂れている。
- 体全体的にリラックスし、強張っていない。
攻撃前の猫の姿勢
以下で示すのは、怒りに満ち溢れ、今すぐにでも攻撃を仕掛けようとしているときに猫が見せる典型的な姿勢です。こうした様子の猫に不用意に近づいてしまうと、高速の「猫パンチ」か飛んでくるか、抱え込んでの「猫キック」を食らう危険性があります。人間で言うと、しかめっ面で舌打ちをしている状態ですので、関わらない方が賢明です。
- 顔瞳孔はやや狭くなる。耳はピンと立ち、やや横を向く。ヒゲが前のめりになる。頭を左右にゆっくり動かすこともある。
- しっぽ急激に下向きに曲がり、やや強張りがある。鞭のように左右に揺らすこともある。
- 体四肢に力が入り、緊張している。猫は前肢よりも後肢の方が長いため、やや尻が持ち上がるような姿勢になり、背中が傾斜する。
怖がっている猫の姿勢
以下で示すのは、怖がっているときに猫が見せる典型的な姿勢です。全身を縮めて、自分をなるべく小さく見せようとしています。人間で言うと、学校の先生が授業中に「誰かにこの問題を解いてもらおう」と宣言した瞬間に近いでしょう。
- 顔瞳孔は大きく開き、耳は頭にくっつけるように平たく寝かせる。
- しっぽ地面の上に置き、体の片側にたくしこむようにしている。恐怖心が強い場合、股の間に挟むこともある。
- 体相手を挑発しないよう、うずくまって自分の体を小さく見せる。恐怖が強い場合は、「カタプレキシー」と呼ばれる硬直反応を示し、全く動かなくなることもある。
葛藤している猫の姿勢
以下で示すのは、恐怖と怒りのはざまで葛藤しているときに猫が見せる典型的な姿勢です。体では威勢のいい振りをしているものの、表情からは恐怖心がうかがえます。人間で言うと、ちょっと怖そうな人が電車の中で携帯電話を使っているときに似ています。
- 顔瞳孔はやや狭くなり、耳は水平よりやや上方で寝かせる。口角は後ろに引いて歯をむき出す。ひげは側方に引き寄せる。
- しっぽ尾はピンと上方に伸び、毛を逆立たせる。
- 体相手に対して体の横を見せ、背中を弓なりにして毛を立たせることで、「自分は大きんだぞ!」と精一杯ハッタリをかます。いわゆる「ハロウィンの猫」。