猫の言葉・気持ちが表れる状況
食事時でもないのに、猫がペロペロと口元をなめています。さて、この時の猫の気持ちは?
猫の言葉・気持ちの解説
食事時でもないのに猫がペロペロと口元などをなめている場合、何らかの不安や葛藤の裏返しということが考えられます。ある感情が全く無関係の別の行動となって表れることを「転位行動(てんいこうどう)」と呼び 、「口元を舐める」のほか、「あくび」や「毛づくろい」といったバリエーションがあります。ただし、何の脈絡もなくしつこく口元をペロペロ舐めている場合は、何らかの口腔疾患にかかっている可能性がありますので、念のため獣医さんにご相談ください。
不安や葛藤を描いたときに現れる転位行動の中で、最も多く見られるのは「自己指向性行動」(self directed behavior, SDB)というものです。これは自分の体に対して働きかける行動のことで、猫の口なめやセルフグルーミングのほか、他の動物においても広く観察されています。具体的には以下です。
動物の自己指向性行動(SDB)
- ネズミ ドブネズミに他のネズミの叫び声を聞かせたところ、セルフグルーミングの時間が延びた(→出典)。
- ヒヒ 優位の個体が近くにいると、アヌビスヒヒのSDBが40%増加した(→出典)。
- チンパンジー 集団飼育されている状況で他の個体の叫び声を聞かせたところ、チンパンジーのSDBが増加した(→出典)。
- アカゲザル エサへのアクセスが制限されている状況において、太もも外側や背中、わき腹といった場所へのセルフグルーミングが増えた(→出典)。