猫の膣炎の病態と症状
猫の膣炎とは、メス猫の生殖器である膣内部に炎症が発生した状態のことです。
猫の膣炎の症状としては以下のようなものが挙げられます。犬と比較し、猫での発症は少ないとされます。
膣炎の主症状
- 膣が赤く腫れている
- ねばねばしたおりもの
- こまめにおしっこをする
- 股間をしきりに舐める
猫の膣炎の原因
猫の膣炎の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
膣炎の主な原因
- 発情期を迎える前の膣炎 発情期を迎える前のメス猫における膣炎の原因は、多くの場合、生殖器の先天的な奇形に伴う尿や糞便による汚染です。具体的には異所性尿管(いしょせいにょうかん)や膣の先天異常などが挙げられます。前者は尿管が尿道や膣に開口している状態のことです。また後者の例としては、膣の内部がまるで巾着袋の取り出し口のようにすぼまった「円形狭窄」、膣弁が垂直に残った「帯状狭窄」、膣の内腔が全体的に狭まった「膣腔狭窄」などが挙げられます。
- 発情期を迎えた後の膣炎 発情期を迎えた後のメス猫における膣炎の原因としては、ウイルス(ヘルペス)、細菌(パスツレラ・レンサ球菌・大腸菌・マイコプラズマ・クラミジア)、化学的刺激、交尾による膣壁の損傷、腫瘍(平滑筋腫)、異物、薬(アンドロゲン)など、様々なものが考えられます。
猫の膣炎の治療
猫の膣炎の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
膣炎の主な治療法
- 発情期を迎える前の膣炎 生殖器の先天的な奇形があり、なおかつ膣炎が何度も再発しているような場合は、外科手術が行われます。具体的には「会陰切開術」といって、猫の肛門から外性器の間にある領域に切れ目を入れ、狭窄部位の修復や尿道乳頭の露出などを行います。
- 発情期を迎えた後の膣炎 ウイルスや細菌が原因と考えられる場合は、抗生物質や抗菌薬の投与と共に膣洗浄が行われます。その他、化学的刺激、腫瘍、異物などが原因の場合は、それらの除去が優先されます。