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猫の眼球脱出~症状・原因から予防・治療法まで

 猫の眼球脱出について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

猫の眼球脱出の病態と症状

 猫の眼球脱出とは、眼球がまぶたの外に飛び出してしまった状態を言います。
 ギョロ目の短頭種の犬(パグやシーズーなど)ではよく見られますが、猫では極めてまれな病気です。
 猫の眼球脱出の症状としては以下のようなものが挙げられます。
眼球脱出の主症状
  • 眼球の突出
  • 眼球の炎症
  • 眼球の乾燥
  • 眼球の壊死(えし)

猫の眼球脱出の原因

 猫の眼球脱出の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
眼球脱出の主な原因
  • 頭部への外傷 頭に対して強い衝撃が加わると、そのはずみで眼球が飛び出してしまうことがあります。通常は急性に発症し、体が小さければ小さいほど、また眼球の露出面積が大きければ大きいほど、発症確率が高まります。猫には極端なギョロ目品種がいないため、種類による発症率に差はありません。ただし外界に対する危機感が薄く、活動性の高い1歳未満の子猫において、頭部外傷を負う危険性は高いと言えます。
  • 眼窩内の腫瘍 眼球を入れているソケットである眼窩(がんか)内に腫瘍ができると、内側からの圧力によって眼球が押し出されてしまうことがあります。通常は徐々に発症します。ちなみに人間においては、眼球の突出を引き起こす病気として甲状腺機能亢進症が有名ですが、猫がこの病気を発症しても眼球の突出はほとんど示しません。

猫の眼球脱出の治療

 猫の眼球脱出の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
眼球脱出の主な治療法
  • 眼球の整復  軽症の場合はまぶたを注意深く引きながら眼球を元の位置に整復します。整復後しばらくの間は患側の目が斜視(本来の位置から黒目がずれること)を示しますが、時間と共に徐々に回復します。
  • まぶたの切開  むくみがひどく、元に戻すのが困難な場合は、まぶたの一部を切開した上で眼球の整復を行います。脱出してから治療するまでの時間が短ければ短いほど予後は良好です。
  • 眼球の摘出  眼球の損傷がひどく、整復しても視力の回復が見込めないような場合は、眼球を摘出してしまいます。当然患側の視力は失ってしまいます。