猫の肥満細胞腫の病態と症状
猫の肥満細胞腫とは、粘膜下組織や結合組織などに存在する肥満細胞がガン化した状態のことです。
肥満細胞腫には、大きく分けて皮膚にできるものと内臓に出来るものがありますが、猫においては、真皮や皮下組織に腫瘤を生じる皮膚型がやや多いとされます。主な症状は以下です。
猫の肥満細胞腫の主症状
- 皮膚型 腫瘤の外見は一定せず、孤立性だったり多発性だったり、毛があったりなかったり、ポコッと盛り上がった丘疹(きゅうしん)だったり、グジグジにへこんだ潰瘍だったり様々です。好発年齢は8~10歳で、大きさは0.2~3cm程度、やや頭頚部に多いとされます。
- 内臓型 内臓型の多くは小腸に発生します。その後、近くの腹腔リンパ節を通じて脾臓や肝臓へ転移し、食欲不振や嘔吐といった漠然とした症状を引き起こします。腹部を触った時、腸管が異常にゴリゴリしていたり、肝臓や脾臓の明らかな腫大を触知できることもあります。
猫の肥満細胞腫の原因
猫の肥満細胞腫の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。
猫の肥満細胞腫の主な原因
- 遺伝(?) シャムは他の品種よりも肥満細胞腫を発症しやすいとされています。特に皮膚型の発症率が高く、「組織球型」という特殊な病態を見せます。これは多発性で密集した皮下結節を特徴とし、肥満細胞の顆粒は乏しい代わりに、多数のリンパ系細胞が見られるというものです。発症例の多くは4歳未満の個体に集中しており、自然退縮することもあります。
- 不明 肥満細胞腫の原因は、多くの場合不明です。
猫の肥満細胞腫の治療
猫の肥満細胞腫の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫の肥満細胞腫の主な治療法
- 手術療法 ガンが小さく、猫に体力がある場合は、外科手術によってがん細胞を除去してしまいます。腫瘍が皮膚の場合は比較的予後が良好ですが、脾臓摘出後の余命は1年ほどで、腸管に腫瘍ができた場合はさらに余命が短くなります。
- 化学療法・薬物療法 ガンが進行して他の臓器に転移していたり、猫に体力がない場合は手術療法が見送られ、抗がん剤治療などが施されます。