詳細
調査を行ったのは、ニュージーランドにあるマッセー大学のチーム。1991年から2015年の期間、大学の繁殖コロニーで飼育されている普通の短毛種(=純血種ではないという意味)を対象とし、212頭は生まれてから生後70週齢までの体重の推移を、そのうち146頭はさらに9歳になるまでの長期的な推移をモニタリングして肥満のリスクファクターを検証しました。オス猫における肥満の定義を「9歳時の体重が5.5kg以上」、メス猫における肥満の定義を「9歳時の体重が4.5kg以上」とし、一体どのような要因が猫の肥満を引き起こすのかを統計的に調べたところ、以下に述べる3つが予見因子として残ったと言います。
Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition, Nick John Cave et al., doi.org/10.1111/jpn.12930
9歳時の肥満リスクファクター
- オス猫メス猫よりもオス猫の方が太りやすい
- 子猫の頃の体重成長率がピークを迎える生後15週齢時の体重が重いほど成長後に太りやすい
- 生まれた時期夏至(南半球のオーストラリアでは12月22日)を境目として後の3ヶ月間(12月中旬~3月)に生まれた子猫は太りにくい
夏至を境目として前の4ヶ月間(9月~12月中旬)に生まれた子猫は上記猫に比べて5.7倍太りやすい
それ以外の時期(3月~9月)に生まれた子猫は6.4倍太りやすい
Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition, Nick John Cave et al., doi.org/10.1111/jpn.12930
解説
今回の調査ではオス猫の去勢率が93%だったのに対しメス猫の避妊率は56%でした。未去勢のオス猫と去勢済みのオス猫を比較したわけではないため、オス猫で確認された太りやすさが遺伝子による先天的なものなのか、それとも去勢手術による後天的ものなのかは確定できません。過去の調査で繰り返し報告されている「不妊手術」を肥満のリスクファクターとして完全には除外できないとしています。
猫においては季節性が妊娠中の母猫に及ぼした影響、生まれた後で子猫に作用した気温の影響、生まれた後で子猫に作用した日照時間の影響などが因子として想定されていますが、詳細なメカニズムについてはよくわかっていません。 肥満のリスクをまとめると「生後15週齢時の体重(オスの中央値は1,484g | メスの中央値は1,345g)が標準より重い+夏至の前4ヶ月間に生まれた+オス猫」となります。このコロニーで観察された現象が日本の猫にも当てはまるかどうかは微妙なところですが、上記した条件をそろえた猫においては将来的にデブ猫になってしまうリスクを覚悟しておいたほうがよいかもしれません。より正確に言うと、猫の生涯における体重がピークを迎えるとされる9歳時において、普通体型のオス猫が4.6kgであるのに対し、ハイリスクの猫ではそれよりも1.3kgほど重い5.9kg程度になってしまう可能性があるとなります。またメス猫においても「生後15週齢時の体重が重い+夏至の前4ヶ月間に生まれた」という条件を満たしている場合、9歳時において普通体型が3.6kgであるのに対し、ハイリスクの猫ではそれよりも1.2kgほど重い4.8kg程度になってしまう可能性を秘めています。ただし北半球にある日本の夏至は6月21日ですのでお間違いなく。 猫が太っているにもかかわらず、飼い主がそのことを認識していないこと自体が肥満のリスクになっていることが指摘されています。猫の体重は飼い主が定期的に計測し、必要とあらばダイエットを行って的生態系を保ってあげましょう。具体的な方法は以下のページに詳しくまとめてありますのでご参照ください。
成長率がピークを迎える生後15週齢頃の体重が重いほど、将来的に太りやすくなるというリスクが確認されました。人間においては幼少期の小児肥満が脂肪細胞の分裂を招き、中性脂肪の貯蔵庫である脂肪組織自体が多くなってしまうとされています。同様の現象が子猫においても起こったのだとすると、特に生後15週齢までにおける豊富な栄養が脂肪細胞の分裂と増殖を招き、成猫になった時の太りやすさを決定付けているのかもしれません。
夏至の前4ヶ月間に生まれた子猫では、後の3ヶ月間に生まれた子猫に比べて5倍以上も肥満に陥りやすいというリスクが確認されました。20歳以上のカナダ人を対象とした調査では、冬から春にかけて生まれた人では、その他の季節に生まれた人よりもおよそ50%も病的に太る確率が高かったといいます。また日本の子供を対象とした調査では、春から夏にかけて生まれた子供の方が背が高く体重も重くなるという傾向が確認されたとも。猫においては季節性が妊娠中の母猫に及ぼした影響、生まれた後で子猫に作用した気温の影響、生まれた後で子猫に作用した日照時間の影響などが因子として想定されていますが、詳細なメカニズムについてはよくわかっていません。 肥満のリスクをまとめると「生後15週齢時の体重(オスの中央値は1,484g | メスの中央値は1,345g)が標準より重い+夏至の前4ヶ月間に生まれた+オス猫」となります。このコロニーで観察された現象が日本の猫にも当てはまるかどうかは微妙なところですが、上記した条件をそろえた猫においては将来的にデブ猫になってしまうリスクを覚悟しておいたほうがよいかもしれません。より正確に言うと、猫の生涯における体重がピークを迎えるとされる9歳時において、普通体型のオス猫が4.6kgであるのに対し、ハイリスクの猫ではそれよりも1.3kgほど重い5.9kg程度になってしまう可能性があるとなります。またメス猫においても「生後15週齢時の体重が重い+夏至の前4ヶ月間に生まれた」という条件を満たしている場合、9歳時において普通体型が3.6kgであるのに対し、ハイリスクの猫ではそれよりも1.2kgほど重い4.8kg程度になってしまう可能性を秘めています。ただし北半球にある日本の夏至は6月21日ですのでお間違いなく。 猫が太っているにもかかわらず、飼い主がそのことを認識していないこと自体が肥満のリスクになっていることが指摘されています。猫の体重は飼い主が定期的に計測し、必要とあらばダイエットを行って的生態系を保ってあげましょう。具体的な方法は以下のページに詳しくまとめてありますのでご参照ください。