詳細
調査を行ったのはイギリスにあるハーパーアダムス大学のチーム。去勢避妊手術のために動物病院を訪れた猫42頭(オスメス21頭ずつ | 8割以上は普通の短毛種 | 5ヶ月齢~4歳)を対象とし、病院内のステンレスケージに収容した猫たちのストレスの度合いを「CSS」と呼ばれる指標を用いて客観化しました。
Charlie Wright, Stephen Baugh, The Veterinary Nurse | July/August 2018, Volume 9 No 6, https://doi.org/10.12968/vetn.2018.9.6.328
- CSS
- CSS(キャットストレススコア)とは猫の表情や仕草などからストレスの度合いを7段階に分類する指標。最もストレスが少ない1~最もストレスが大きい7まで。詳しい内容は以下のページにて。
ケージスタイルと猫のストレス
- タオルグループがケージ前方で過ごす時間(39%)は他のグループより多い
- 対照グループはCSSが平均値でも中央値でも最高
- どのグループもCSSが高いほど隠れ行動が多く見られた
- 対照グループは隠れ行動(34%)が最多だったが他のグループとの間に有意差はなし
- 対照グループと隠れ箱グループの間にはCSSの有意差あり
- 隠れ箱グループは68%の時間を箱の中で過ごしたが、タオルグループはわずか30%しか使わなかった
Charlie Wright, Stephen Baugh, The Veterinary Nurse | July/August 2018, Volume 9 No 6, https://doi.org/10.12968/vetn.2018.9.6.328
解説
猫にとっての隠れ家の重要性は過去に行われた数多くの調査において繰り返し述べられています。今回の調査では「入口を部分的にタオルで隠す」ことがどの程度ストレスの軽減に役立っているかが検証されましたが、残念ながら明白な効果が確認されませんでした。ですのでスペースに余裕がある場合は可能な限り隠れ家を用意してあげることが強く推奨されます。具体的には動物病院のケージ、公共の保護施設、民間のシェルター、譲渡会場、猫カフェなどです。
SNSではトイレの中で休む猫や炊飯ジャーの中に潜り込んだ猫、洗濯機のドラムの中で眠ってるの猫の写真をよく見かけます。これらは笑い事ではなく、猫がストレスを感じているときの「隠れ行動」の一種です(Gourkow and Fraser, 2006; Vinke et al, 2014)。猫からの「ちゃんとした隠れ家を用意してくれよ!」というメッセージとして捉えなければなりません。温度と湿度がしっかりと管理され、騒音がなく風が当たらない場所にちゃんとしたシェルターを用意してあげれば、イレギュラーな場所は使わなくなるはずです。猫からのメッセージを受け取ったら、Twitterに投稿する前にもう一度部屋の中を見回し、猫にとっての理想的な隠れ家が用意されてるかどうかを確認してみてください。必ず改善の余地があるはずです。具体的なセッティングの仕方は以下のページをご参照ください。