詳細
「アスペルギルス症」はアスペルギルス属の真菌によって引き起こされる局所~全身性の疾患。菌はほこり、麦わら、刈りとられた草や干し草といった場所に広く生息しており、猫よりも鼻腔面積が広い犬の方が感染しやすいとされています。臨床上問題となる主な種類は以下で、太字は検出頻度が高いことを示しています。
結局、投薬治療が奏功しなかった理由は判然としませんでしたが、おそらく基礎疾患として抱えていた糖尿病による免疫力の低下が、菌の増殖を後押ししてしまったのではないかと推測されています。また、ガンに対する化学療法の増加や免疫抑制剤を投与する機会の増加、および猫の高齢化に伴う基礎疾患の増加などにより、宿主の免疫力低下につけ込んで勢いを増す日和見感染症の症例は、今後も増えていくだろうと予測しています。 The first case of feline sinonasal aspergillosis due to Aspergillus fischeri in Japan
主なアスペルギルス属
- 鼻腔炎の代表菌A.fumigatus | A.flavus | A.niger | A.nidulans
- 全身感染の代表菌A.terreus | A.deflectus
アスペルギルス症の症状
- 鼻腔からの粘液膿排出
- くしゃみ
- いびき
- 鼻先を気にする
- 鼻出血
- 鼻腔内の肉芽腫
結局、投薬治療が奏功しなかった理由は判然としませんでしたが、おそらく基礎疾患として抱えていた糖尿病による免疫力の低下が、菌の増殖を後押ししてしまったのではないかと推測されています。また、ガンに対する化学療法の増加や免疫抑制剤を投与する機会の増加、および猫の高齢化に伴う基礎疾患の増加などにより、宿主の免疫力低下につけ込んで勢いを増す日和見感染症の症例は、今後も増えていくだろうと予測しています。 The first case of feline sinonasal aspergillosis due to Aspergillus fischeri in Japan
解説
オーストラリアで22頭の猫を対象として行われたアスペルギルス症の調査によると、「Neosartorya spp.=73%」、「A. fumigates=18%」、「Neosartorya fischeri=4.5%」、「A. lentulus=4.5%」という結果だったといいます(→出典)。また過去に日本において報告された事例では、「A. terreus」、「A. nidulans」、「A. Udagawase」といった種類が挙がっています(→出典1・出典2)。厄介なのは全ての種類が同じ薬剤に等しく反応してくれるわけではないという点で、効果的な投薬計画を立てるためには、抗体テストのみならず分子的な同定と薬剤に対する反応テストを、適宜組み合わせる必要があります。また飼い主の側で出来る日和見感染症予防法は、免疫力の低下を招くような病気を予防すること、および環境エンリッチメントによって猫のストレスを可能な限り軽減することです。ちなみにアスペルギルス症に関しては、ややペルシャの発症頻度が高いとされています。