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猫の口の中の病変は全身性疾患の警報装置

 口の中に病変を抱えた猫を診察したところ、すべてのケースにおいて全身性疾患を併発していることが明らかになりました(2016.6.15/トルコ)。

詳細

 調査を行ったのは、トルコ・イスタンブール大学獣医学部のチーム。2011年10月~2014年9月の期間、大学付属の動物病院を訪れた猫のうち、口の中に何らかの病変を抱えている猫合計220頭を対象とした統計調査を行いました。口内病変の具体的な内容は、食欲不振、流涎(よだれ)、嚥下障害(うまく飲み込めない)、口臭、口内潰瘍、開口障害です。
 血液検査などを通して猫の健康状態を詳細に検査したところ、すべてのケースにおいて何らかの全身性疾患を併発していたといいます。以下は、具体的な内訳を多い順に並べたグラフです。
併発全身性疾患
口内病変と依存症
  • コロナウイルス(FCoV)=36頭(16%)
  • FIV + FeLV=21(10%)
  • FIV + FCoV=19(9%)
  • 免疫不全ウイルス(FIV)=18(8%)
  • 慢性腎臓病=18(8%)
  • カリシウイルス=17(8%)
  • 白血病ウイルス(FeLV)=16(7%)
  • FIV + FeLV + FCoV=16(7%)
  • 肝機能障害=12(5%)
  • 免疫介在性疾患=11(5%)
  • ヘルペスウイルス=11(5%)
  • 消化管障害=10(5%)
  • 糖尿病=6(3%)
  • 好酸球性肉芽腫=5(2%)
  • 栄養失調=4(2%)
 こうしたデータから研究チームは、口腔内の病変を予防するためには、口の中のみならず全身をチェックする必要があり、また全身性疾患を早期発見するためには、口の中を定期的にチェックして何らかの病変がないかどうかを確認することが重要であるとしています。 猫の口内炎 Prevalence of systemic disorders in cats with oral lesions

解説

 猫の口内病変は、口そのものに異常があって現れるというより、何らかの全身性疾患に付随して現れることが多いようです。上記調査内では、よくある症状として以下のようなものが挙げられました。
よくある口内病変
猫によく見られる口内病変
  • 流涎=100%
  • 口臭 =90%
  • 口内潰瘍=80%
  • 歯肉炎=70%
  • 歯周炎=60%
  • リンパ節腫脹=60%
 こうした症状を日常的にチェックしていれば、全身性疾患の早期発見につながると考えられます。口の中をなかなか見せてくれない猫の場合は、餌の食べ方を観察することで間接的に口の状態を評価するのが有効かもしれません。例えば「食べるのが遅い」、「ボロボロこぼす」、「食後もずっと口をくちゃくちゃ鳴らしている」、「フードをあまり噛まなくなった」、「おなかがすいてフードのところまで行くが食べようとしない」などの徴候が見られた場合は、口の中に炎症性の病変が生じている可能性が大です。念のため健康診断を受けたほうが無難だと思われます。 猫の「正常」を知る 猫の口内病変は、全身性疾患を早期発見するための警報装置