詳細
報告を行ったのは、国立台湾大学の獣医学チーム。「チアミン欠乏症」(ビタミンB1欠乏症)と診断された17頭の猫を対象に調査を行ったところ、猫たちが共通して食べていたフード内に含まれるチアミンレベルが、「NRC」(米国学術研究会議)が定める基準値を下回っていたと言います。さらに15頭では、餌としてそのフードしか食べていなかったとも。
「チアミン欠乏症」の症状は、まず食欲不振、元気がない、嘔吐といった非特異的なものが先行し、その後さまざまなレベルの両側性前庭症状(バランス感覚が乱れてフラフラになる)に移行したといいます。その他の神経症状としては、以下のようなものが報告されました。
ほとんどの猫ではチアミン投与によって2週間以内に回復し、 2ヶ月後には普通の生活に戻りました。回復が遅い個体でも、6ヶ月後にはおおむね復調し、発作の症状を示していた個体でも1年後の追跡調査では症状が消えていたと言います。
こうした知見から研究チームは、MRI所見は必ずしも欠乏症の度合いを反映しないものの、適切な治療さえ施せば、ほとんどの猫は急速な回復を見せ、予後も良好であるとしています。 Outbreak of thiamine deficiency in cats associated with the feeding of defective dry food
「チアミン欠乏症」の症状は、まず食欲不振、元気がない、嘔吐といった非特異的なものが先行し、その後さまざまなレベルの両側性前庭症状(バランス感覚が乱れてフラフラになる)に移行したといいます。その他の神経症状としては、以下のようなものが報告されました。
チアミン欠乏による神経症状
- 精神の変調=76%
- 一過性の盲目=59%
- 発作=59%
ほとんどの猫ではチアミン投与によって2週間以内に回復し、 2ヶ月後には普通の生活に戻りました。回復が遅い個体でも、6ヶ月後にはおおむね復調し、発作の症状を示していた個体でも1年後の追跡調査では症状が消えていたと言います。
こうした知見から研究チームは、MRI所見は必ずしも欠乏症の度合いを反映しないものの、適切な治療さえ施せば、ほとんどの猫は急速な回復を見せ、予後も良好であるとしています。 Outbreak of thiamine deficiency in cats associated with the feeding of defective dry food
解説
日本で販売されているペットフードに「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています」 または「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める給与試験の結果、総合栄養食であることが証明されています」 という表記がある場合、「AAFCO」(米国飼料検査官協会)が規定している最少栄養要求量「フード100kcal中140μg」を満たしていることになります。フードのメーカーがよほど悪質な詐欺会社でない限り、チアミン欠乏症に陥る事はまずありません。
市販フードよりも危険なのは、むしろ手作りフードの方です。猫と人間の栄養要求は異なりますので、人間と同じ食事を与えてはいけませんし、栄養価の計算をせずに適当な食事を与えてもいけません。上記した症例にあるチアミン欠乏症はビタミンB1不足で発症します。ですから手作りフードを与える場合は、ビタミンB1が不足しないようにしっかり計算すると同時に、ビタミンB1を破壊する「チアミナーゼ」を多く含有する生の魚介類を避ける必要があります。生のイカばかり食べさせていると、古い格言にあるように本当に腰が抜けてしまいますので要注意です。詳しくは以下のページもご参照ください。
市販フードよりも危険なのは、むしろ手作りフードの方です。猫と人間の栄養要求は異なりますので、人間と同じ食事を与えてはいけませんし、栄養価の計算をせずに適当な食事を与えてもいけません。上記した症例にあるチアミン欠乏症はビタミンB1不足で発症します。ですから手作りフードを与える場合は、ビタミンB1が不足しないようにしっかり計算すると同時に、ビタミンB1を破壊する「チアミナーゼ」を多く含有する生の魚介類を避ける必要があります。生のイカばかり食べさせていると、古い格言にあるように本当に腰が抜けてしまいますので要注意です。詳しくは以下のページもご参照ください。