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猫の祖先は「リビアヤマネコ」ですが、中国で発掘されたヤマネコの骨を解析したところ、「ベンガルヤマネコ」を祖先とする別系統の猫が生まれていたかもしれないという可能性が浮上してきました。
中国では、2013年に行われた遺跡(5,560~5,280年前)の発掘調査で小さいヤマネコらしき動物の骨が見つかり、「中国における最初期の猫の家畜化の痕跡ではないか?」という憶測が流れていました。今回の調査を行った中国、フランス、イギリスなどから成る多国籍研究チームは、上記した仮説を立証するため、発掘された動物の下顎骨を形態学的に解析し、ヤマネコのうちどの種類に属するのかを検証しました。その結果、ほぼ間違いなく現在も中国北東部から朝鮮半島かけて生息している「ベンガルヤマネコ」(P. bengalensis)のものであることが確認されたと言います。
さらに研究チームは、歯のすり減り具合や頭蓋骨の小ささなどから考え、このヤマネコは完全な野生種ではなく、ある程度家畜化の途上にあったのではないかという可能性をつきとめました。
現在、世界中に生息しているイエネコの祖先は、すべて中東に生息していた「リビアヤマネコ」(F. s. lybica)であるとされています。しかし研究チームによると、「中国のベンガルヤマネコを祖先としたイエネコ」という全く違った家畜化のシナリオが起こっていた可能性が十分にあるとのこと。今日、中国に生息しているイエネコはすべてリビアヤマネコの子孫であり、ベンガルヤマネコのDNAは入っていないと考えられています。中国の歴史の中からなぜ突如としてベンガルヤマネコが姿を消し、リビアヤマネコが台頭してきたのかに関しては謎のままです。しかし「ベンガルヤマネコ」は完全に表舞台から消えたわけではなく、猫の品種の1つである「ベンガル」という形で、ひっそりと現代のイエネコ文化に入りこんでいます。
Earliest “Domestic” Cats in China Identified as Leopard Cat