猫の言葉・気持ちが表れる状況
猫の顔を見つめていたらゆっくりとまぶたを閉じて半開きの状態になりました。この時の猫の気持ちは?
猫の言葉・気持ちの解説
猫が見せるゆっくりとした瞬きは「キティキス」(Kitty Kiss)や「スローブリンク」(Slow Blink)などとも呼ばれ、多くの書籍やインターネット上の記事では愛情表現と解釈している人が多いようです。しかしこうした解釈には明白な根拠がなく、「そうであってほしい」という人間の側の願望が多分に含まれているように思われます。こうした願望をいったん置いといて、猫の行動を冷静に観察したところ、瞬きが持っているのは愛情という意味ではなく、逆に不安や緊張という意味であるという可能性が示されました。
調査を行ったのはイギリス・リンカーン大学とオーストラリア・クイーンズランド大学からなる共同チーム。29頭(オス猫14頭)の猫たちを統一した環境内に置き、ケージの中に猫だけがいる「孤立状況」と、人間と接触している「交流状況」における反応を細かく録画観察しました。その結果、「人間と交流している」と「フラストレーションを感じている」という条件が重なったときだけ「目を半分閉じる」という行動が見られたといいます。また「人間と交流している」と「恐怖を感じている」という条件が重なったときだけ「まばたきをする」という行動が見られたとも。
つまり「ゆっくりまばたきをする」とか「目を半分閉じる」といった行動は、近くにいる人間によって不安や恐怖が引き起こされたときに出るというのです。
猫の顔を正面からじっと見つめていると、顔をそらせたり毛づくろいを始めたり、急に床の匂いを嗅ぎはじめたりします。これらはすべて「あなたに興味はないので、私のこともほっといて」というアピールです。これと同様「ゆっくりまぶたを閉じる」という行動には「落ち着かないのでやめてもらえませんか?」といった意味があるように思われます。愛情表現と勘違いして猫と頻繁ににらめっこをしていると、ストレスの原因になるかもしれませんのでほどほどにしておきましょう。
🚨2020年10月、「猫と仲良くなるにはゆっくりまばたきするのがよい」という情報がネットを中心として流布(るふ)しました。イギリスで行われた調査が風説の出どころですが、実は見知らぬ人間が猫の目を見つめるとネガティブな反応が見られたため、視線をそらせた状態でハーフブリンクするという手法に切り替えられています。ネット情報ではこの大事な一文がすっぽり抜けていますので、くれぐれも猫を凝視して良いと勘違いしないようにして下さい。
調査の具体的な内容は以下で紹介してあります。結論だけ述べると「猫がゆっくりまばたきする理由は争いの回避」です。