猫の時間差弁別実験方法
デンマークにあるコペンハーゲン大学の調査チームは14頭の短毛種(2.2~5.2kg)を対象とし、2つの給餌器の中央にワイヤーケージを置き、中に猫を入れて一定時間拘束した後に給餌器からおいしいおやつ出すという行動強化を行いました。具体的には、5秒間拘束した場合は右側の給餌器からおやつが出て、20秒拘束した場合は左側の給餌器からおやつが出るというデザインです。この状況を言い換えると、5秒間拘束された後にケージが開き、猫が左側の給餌器に向かってしまったらおやつが出ず、20秒間拘束された後に右側の給餌器に向かってしまったらおやつが出ないということになります。
上記訓練の後、猫がいったいどのくらい正確に時間差を弁別できるかを確かめるため、左側の給餌器からおやつが出るまでの拘束時間だけを20秒から2秒刻みで少しずつ短くしていきました(18秒→16秒→14秒...)。例えば拘束時間を20秒から10秒にまで短くしても正しく左側の給餌器に向かうことができた場合、猫は右側の5秒と左側の10秒の時間差(=5秒間)を体感で区別できると判断されます。
上記訓練の後、猫がいったいどのくらい正確に時間差を弁別できるかを確かめるため、左側の給餌器からおやつが出るまでの拘束時間だけを20秒から2秒刻みで少しずつ短くしていきました(18秒→16秒→14秒...)。例えば拘束時間を20秒から10秒にまで短くしても正しく左側の給餌器に向かうことができた場合、猫は右側の5秒と左側の10秒の時間差(=5秒間)を体感で区別できると判断されます。
猫の時間差弁別実験結果
訓練の結果、1頭は5秒と12秒(=時間差7秒)、6頭は5秒と10秒(=時間差5秒)、そして7頭は5秒と8秒(=時間差3秒)を弁別できるようになったといいます。猫における体内リズムとしては睡眠(:Sterman, 1965)、体温(:Refinetti, 1992)、摂食(:Randall, 1985)、眼圧(:DelSole, 2007)、ノルエピネフリン(:Reis, 1968)などで確認されていますが、これらはどれも24時間という長い時間の中で見られるサーカディアン・リズムです。潜在能力として猫たちは、数秒間というごく短い時間差も認識できるのかもしれません。
Discrimination of time intervals in cats
C E Rosenkilde, I Divac, Acta Neurobiol Exp (Wars) 1976;36(3):311-7
C E Rosenkilde, I Divac, Acta Neurobiol Exp (Wars) 1976;36(3):311-7