猫の慢性胃炎の病態と症状
猫の慢性胃炎とは、胃の粘膜に繰り返し炎症が起こる状態のことです。急性胃炎が治まらず、1週間以上持続したときにこう呼ばれます。
猫の慢性胃炎の症状としては以下のようなものが挙げられます。炎症が悪化し、潰瘍やびらんに発展することも少なくありません。
猫の慢性胃炎の主症状
- 数週間にわたる断続的な嘔吐
- 食欲不振
- 体重減少
- 水を大量に飲む
- 腹痛(触ると痛がる)
猫の慢性胃炎の原因
猫の慢性胃炎の原因としては、主に以下のようなものが考えられますが、不明な部分も多い疾患です。
猫の慢性胃炎の主な原因
- 基礎疾患 急性胃炎、胃潰瘍、胃の腫瘍など、胃に生じた何らかの病変が引き金になっていることがあります。その他、慢性の尿毒症、アジソン病、肝臓疾患など、胃以外の疾患が原因となることもあります。
- 寄生虫 大小さまざまな寄生虫が胃炎を引き起こすことがあります。具体的には、回虫、フィサロプテラ(胃虫)、Ollulanus tricuspis(猫胃虫)、Aonchotheca putorii(毛細線虫)などです。
- 薬剤 ある種の薬が胃炎を引き起こすことがあります。具体的には非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、グルココルチコイドなどです。
- 胃の運動異常 食物を十二指腸に送り出す胃の動きが悪かったり(胃運動低下症)、胃の出口である幽門部が狭くなっていたりすると(幽門異常)、胃の内容物が長時間とどまり、胃酸などの影響で炎症を引き起こしてしまうことがあります。
- アレルギー 何らかの食物アレルギーがあるにもかかわらず、飼い主がそのことに気付かず、延々とアレルゲンを含む食事を与えている可能性があります。「アレルゲン」とはアレルギー反応を引き起こす原因物質のことです。
猫の慢性胃炎の治療
猫の慢性胃炎の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫の慢性胃炎の主な治療法
- 基礎疾患の治療 別の疾病によって慢性胃炎が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。
- 対症療法 疾患の原因を取り除くよりも、症状の軽減を目的とした治療が施されます。たとえば胃酸の分泌を抑える薬を投与したり、食事を高繊維・低脂肪食に切り替えるなどです。また嘔吐によって失った体液を補うため、輸液が行われることもあります。