猫の前立腺膿瘍の病態と症状
猫の前立腺膿瘍とは、前立腺が化膿して膿(うみ)がたまってしまった状態を言います。
前立腺(ぜんりつせん)とは、膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在しているオスにのみある生殖器です。主な働きは前立腺液を分泌し、精嚢(せいのう)から分泌された精嚢液を、精巣で作られた精子と混合して精液を作ること、および射精時における収縮や尿の排泄を補助することなどです。 前立腺内で発生した炎症(前立腺炎)の副産物として膿が発生し、これが尿道を通じて適切に体外に排出されないと、前立腺内に膿がどんどんたまっていきます。この状態が「前立腺膿瘍」です。最悪のケースでは前立腺破裂による敗血症(全身の血液の中に病原体が紛れ込むこと)や腹膜炎と言った重篤な症状につながる危険性があるため、前立腺炎に比べて緊急度は高いと言えます。
猫の前立腺膿瘍の主な症状は以下です。多くの場合膀胱炎を併発しているため、必然的に症状は膀胱炎のそれに近くなります。
前立腺(ぜんりつせん)とは、膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むかたちで存在しているオスにのみある生殖器です。主な働きは前立腺液を分泌し、精嚢(せいのう)から分泌された精嚢液を、精巣で作られた精子と混合して精液を作ること、および射精時における収縮や尿の排泄を補助することなどです。 前立腺内で発生した炎症(前立腺炎)の副産物として膿が発生し、これが尿道を通じて適切に体外に排出されないと、前立腺内に膿がどんどんたまっていきます。この状態が「前立腺膿瘍」です。最悪のケースでは前立腺破裂による敗血症(全身の血液の中に病原体が紛れ込むこと)や腹膜炎と言った重篤な症状につながる危険性があるため、前立腺炎に比べて緊急度は高いと言えます。
猫の前立腺膿瘍の主な症状は以下です。多くの場合膀胱炎を併発しているため、必然的に症状は膀胱炎のそれに近くなります。
前立腺膿瘍の主症状
- ぐったりして元気がない
- 食欲不振
- 発熱
- 水をたくさん飲む
- おしっこの回数が増える
- 尿の色が濃い
- 尿がにごっている
- 血尿
- 尿のにおいが強い
猫の前立腺膿瘍の原因
猫の前立腺膿瘍の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
前立腺膿瘍の主な原因
- 前立腺炎 前立腺膿瘍の前段階には、多くの場合前立腺炎が関わっています。炎症を引き起こす原因菌として多いのは、大腸菌、ブドウ球菌、ストレプトコッカス、プロテウス属、クレブシエラ・ニューモニエ、エンテロバクター属、ヘモフィラス属、シュードモナス属、パスツレラなどで、まれなケースとしては、他所の病原体が血液に乗ってたどり着くというものもあります。前立腺内に侵入してきた病原体を除去しようとして免疫細胞が集まり、その副産物である膿が徐々に溜まっていくというのが発症メカニズムです。
猫の前立腺膿瘍の治療
猫の前立腺膿瘍の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
前立腺膿瘍の主な治療法
- 投薬治療 病状が進行しており、前立腺破裂による敗血症や腹膜炎を引き起こしそうな場合は、取り急ぎ患猫を入院させて前立腺に感染している細菌を特定し、最も効果があると思われる抗生物質や抗菌薬を投与します。前立腺破裂は時として死にもつながる危険な病態ですので、予断は許しません。
- 手術療法 前立腺自体を取り除いてしまったり、前立腺に穴を開けて膿だけを吸い出すなどの手術が施されることがあります。しかし再発率が高かったり、重大な副作用を引き起こすこともありますので、万能な治療法というわけではありません。
- 去勢 去勢によって男性ホルモン(テストステロン)の分泌が抑制されると、前立腺が退縮して炎症が起こらなくなります。再発予防のための最も効果的な治療法です。