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マンチカンに多い病気~原因・遺伝性から検査・治療法まで

 マンチカンがかかりやすい病気を原因、遺伝性、検査法、治療法などに分けて一覧リストでご紹介します。なお出典データには海外のものも含まれているため日本に暮らしている猫には必ずしも当てはまらないことがあります。

小猫症(軟骨形成不全)

 小猫症(dwarfism)とは何らかの理由により骨格が正常に発育せず、身長や体長が小さいまま成長する病気。成長ホルモンの異常で骨が発育しないとか、生まれつきの染色体異常で軟骨が十分に発育しないなど、原因はさまざまです。根本的な治療法はありませんので、猫も飼い主も障害と付き合いながら暮らしていくことになります。 骨軟骨異形成の症状・原因・治療

疾患遺伝子

 ミズーリ大学の調査チームは7頭のマンチカンを対象としてMRI、CTスキャン、レントゲン撮影を行い、小人症と関連した骨格系の異常を調べました(→出典)。その結果、後ろ足よりも前足の短縮化が大きく、上腕骨のほか前腕を構成している尺骨(しゃっこつ)と橈骨(とうこつ)が全て短くなっていることが確認されたといいます。またマンチカン26頭と足の長さが通常の猫70頭を対象として遺伝子検査を行った所、マンチカンのネコB1染色体に特徴的な変異が見られたとのこと。具体的にどの遺伝子に変異が生じているのかまではわかりませんでしたが、遺伝形式は常染色体優性遺伝で、両親のどちらか一方だけから変異遺伝子を受け継ぐと軽度の短足化が引き起こされ、両親の両方から受け継ぐと重度の短足化が引き起こされるそうです。 マンチカンの短縮化した前肢 マンチカンの短縮化した後肢  人間の軟骨形成不全(もしくは無形成)は、ヒト第4染色体に含まれる「FGFR3」(fibroblast growth factor receptor 3)と呼ばれる遺伝子の変異で起こることが確認されています。そしてネコB1染色体はこのヒト第4染色体に相当する部分です。マンチカンのB1染色体で変異が確認されたことから、この品種で見られる小人症はおそらく軟骨形成不全によるものだろうと推測されています。
 なお2020年に発表された調査内容により、UGDH遺伝子における3.3kbの欠失変異および106bpのダウンストリーム挿入変異が疾患に関わっている可能性が示されました。この遺伝子はUGDH(UDP-グルコース-6-デヒドロゲナーゼ)という酸化還元酵素を生成し、軟骨細胞内におけるプロテオグリカンの健全な生合成に関与しているものです。マンチカンの骨端軟骨で確認された組織学的所見と合わせ「UGDHが機能不全→軟骨細胞内におけるプロテオグリカン生成が減少する→短足」という発症メカニズムが有力と考えられています。詳しい内容は以下のページにまとめてありますのでご参照ください。 猫の最新レファランスゲノム「Felis_catus_9.0」が完成