下部尿路症候群
下部尿路症候群(LUTD)とは、膀胱から尿道口をつなぐまでのどこかに結石などを生じてしまう病気。猫ではシュウ酸カルシウム結石やストラバイト結石が大半を占めています。診断は尿内の結晶検査やエックス線撮影で下します。治療は結石の除去と食事療法がメインです。
発症率と発症リスク
ミネソタ大学の調査チームが1981年から1997年の期間、ミネソタ尿石センターを受診した尿路疾患を抱えた猫(シュウ酸カルシウム結石7,895頭+ストラバイト結石7,334頭)と北米とカナダの動物病院を受診した尿路疾患を抱えていない猫150,482頭のデータを比較したところ、シャルトリューがシュウ酸カルシウム結石を発症する確率は標準の2.3倍、ストラバイト結石を発症する確率は6倍に達することが明らかになったといいます(→出典)。
また1981年から2008の期間、ドイツ国内にある動物病院に集積された合計5,173件の尿石症事例を統計的に計算した所、 やはりシャルトリューにおいて1.7%という高い有病率が確認されたとも(→出典)。
また1981年から2008の期間、ドイツ国内にある動物病院に集積された合計5,173件の尿石症事例を統計的に計算した所、 やはりシャルトリューにおいて1.7%という高い有病率が確認されたとも(→出典)。
心房中隔欠損症
心房中隔欠損症とは、心臓の右心室と左心室の間にある壁に、生まれつき穴が空いている病気。診断は胸部エックス線や心エコー検査、心臓カテーテルや心電図検査などを通じて下します。治療はうっ血性心不全を予防するための投薬、および運動制限がメインです。
発症率と発症リスク
2001年から2005年の5年間、フランスのアルフォールにある心疾患医療ユニットが心エコー検査などで心房中隔欠損症(ASD)と診断された犬猫を対象とした統計調査を行いました(→出典)。その結果、心房中隔欠損症が僧帽弁の形成不全に次ぐ多さで見られ、98.7%が二次孔型心房中隔欠損タイプ、73.7%が無症状だったといいます。症状としては左の心基底部における収縮期雑音(20.2%)、運動ですぐバテる(7.0%)、卒倒・失神(5.3%)、呼吸不全(2.6%)、咳(2.6%)などが多く見られました。そして品種別の発症リスクを計算した所、シャルトリューの発症率が4.7%(2/43)と高く、標準と比較して4.9倍もリスクが高かったそうです。
右房室弁の形成不全
房室弁の形成不全(房室弁異形成)とは、心臓の心室と心房の間にある弁(房室弁)に何らかの異常がある病気。「右房室弁」といった場合は、特に右心室と右心房を指します。診断は胸部エックス線や心エコー検査、心臓カテーテルや心電図検査などを通じて下します。治療はうっ血性心不全を予防するための投薬、および運動制限がメインです。
発症リスク
2004年、フランスのアルフォールにある心疾患医療ユニットが、右房室弁の形成不全と診断された14頭の猫と36頭の犬を対象とした統計調査を行いました(→出典)。三尖弁異形成の38頭とエプスタイン奇形12頭を、未発症の動物85,250頭と比較したところ、犬ではラブラドール・レトリバーとボクサーの発症リスクが高く、猫ではシャルトリューの発症リスクがが他の品種に比べ11倍も高いことが明らかになったといいます。
多発性嚢胞腎(?)
発症リスク
2010年、イタリア・パルマ大学の調査チームが多飲・多尿を主訴としたシャルトリュー(12歳・メス)の症例を報告しました(→出典)。触診で腎肥大が確認され、また超音波検査で肝臓や腎臓に複数の嚢胞が確認されたことから遺伝子検査を行った所、多発性嚢胞腎に関与した変異が確認されたとのこと。この品種で腎不全の兆候が見られた場合は、多発性嚢胞腎の可能性を常に考慮しなければならないとしています。
肥大型心筋症(?)
肥大型心筋症とは、心臓の壁が厚くなりすぎて収縮に支障が生じ、血液をしっかり全身に送れなくなる病気。診断は胸部エックス線や心エコー検査、心電図検査などを通じて下します。治療は心臓の収縮力を高めるための投薬、およびストレス管理がメインです。