プロピレングリコールとは何か?
プロピレングリコール(propylene glycol)とは酸化プロピレンの加水分解によって製造される人工物質です。ほぼ無色無臭の粘っこい液体で、わずかな甘みを持っています。毒性が低いことから保湿剤、潤滑剤、乳化剤として医薬品、化粧品、食品などに広く使用されています。なお名前は似ていますが、不凍液などに用いられる「エチレングリコール」とは全くの別物です。こちらは猫における最小致死量が1.5mL/kgという高い毒性を有していますので混同しないようご注意ください。
プロピレングリコールの化学構造式は以下です。 成分の分類上は「増粘安定剤」に属し、フードの食感を変える作用を持っています。
プロピレングリコールの化学構造式は以下です。 成分の分類上は「増粘安定剤」に属し、フードの食感を変える作用を持っています。
プロピレングリコールの安全性情報・概要
- 厚生労働省=指定添加物
- IARC=発がん性なし
- EFSA=使用基準500mg(5歳未満は50mg)/体重1kg/日
- JECFA=使用基準25mg/体重1kg/日
- ペットフード=猫には使用不可
日本での使用基準
日本では厚生労働省によって指定添加物として認可されており、さまざまな食品に製造用剤や品質保持剤として用いられています。
生めん、いかくん製品の使用基準は2%まで。ギョウザ、シュウマイ、春巻き及びワンタンの皮の使用基準は1.2%まで。その他の食品の使用基準は0.6%までと規定されています。
生めん、いかくん製品の使用基準は2%まで。ギョウザ、シュウマイ、春巻き及びワンタンの皮の使用基準は1.2%まで。その他の食品の使用基準は0.6%までと規定されています。
海外での使用基準
キャットフードに入れると危険?
プロピレングリコールを猫が摂取した場合、少量でも赤血球の異常が生じて(ハインツ小体)貧血に陥る危険性がありますので、FDA(アメリカ食品医薬品局)ではキャットフードへの使用を禁止しています。また日本国内においてもペットフード安全法によって猫向けフードへの使用が禁止されています。
かつて猫向けのウエットフードには高濃度のプロピレングリコールが増粘剤として含まれていました。しかし1990年代に入り、この成分がハインツ小体性貧血や乳酸アシドーシスを引き起こす危険性が確認されたため、現在ではキャットフードへの使用が禁止されています。具体的な実害データは以下です。
海外から輸入されたキャットフードや猫用おやつに関しては製品ラベルをしっかりと確認するようにした方がよいでしょう。輸入会社がいい加減で、しっかりとした受け入れ規格を設けていないと、プロピレングリコールの含まれた製品が混じり込んでしまうかもしれません。本当に悪質な場合はラベルにすら記載されていない可能性もあります。
かつて猫向けのウエットフードには高濃度のプロピレングリコールが増粘剤として含まれていました。しかし1990年代に入り、この成分がハインツ小体性貧血や乳酸アシドーシスを引き起こす危険性が確認されたため、現在ではキャットフードへの使用が禁止されています。具体的な実害データは以下です。
プロピレングリコールによる猫への害
- 乳酸アシドーシスフード内に含まれるプロピレングリコールの含有濃度が高くなればなるほど血中のD-乳酸レベルが増加し、元気喪失や運動失調といった乳酸性アシドーシスの症状が見られるようになった。アニオンギャップの上昇は体重1kg当たり1日1.6gですでに観察された(:Christopher, 1990)。
- ハインツ小体の形成体重1kg当たり1.6gのプロピレングリコールを5週間に渡って給餌された猫においては、赤血球中でハインツ小体の占める割合が28%に増加し、体重1kg当たり8gのプロピレングリコールを3週間に渡って給餌された猫においては92%にまで増加した。また赤血球の半減期に関しては、1.6g含有グループで18.8%、8g含有グループで60%もの短縮が観察された(:Christopher, 1989)。
- 赤血球の寿命短縮猫を7頭ずつからなる3つのグループに分け、プロピレングリコールを乾燥重量中0、6、12%の割合で含んだフードを2週間に渡って給餌した。その結果、ハインツ小体の形成が確認され、その度合いはプロピレングリコールの含有濃度が高いほど大きかった。12%含有グループにおいては赤血球数や点状網状赤血球症が有意に増加し、赤血球の寿命が55%短縮した。また6%含有グループでも赤血球の寿命が30%短縮した。(:Bauer MC, 1992)
海外から輸入されたキャットフードや猫用おやつに関しては製品ラベルをしっかりと確認するようにした方がよいでしょう。輸入会社がいい加減で、しっかりとした受け入れ規格を設けていないと、プロピレングリコールの含まれた製品が混じり込んでしまうかもしれません。本当に悪質な場合はラベルにすら記載されていない可能性もあります。
2012年にはアメリカ国内で製造された猫用おやつにプロピレングリコールが混入した疑いがあるとして自主回収が行われています。犬用のウエットフードやおやつにも要注意です。